日経記事;『パナソニック最終赤字7800億円 環境・エネ拡大急ぐ』に関する考察 [事業再生、集中と選択]
2012年2月4日
皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。
2月4日付の日経新聞に、『パナソニック最終赤字7800億円 環境・エネ拡大急ぐ 12年3月期』のタイトルで記事が掲載されました。
本日はこの記事に関して考えを述べます。
記事の主な内容は以下の通りです。
『パナソニックは3日、2012年3月期連結最終損益(米国会計基準)が7800億円の赤字(前期は740億円の黒字)に膨らむと発表した。子会社化した三洋電機の収益低下に伴う減損損失など約7600億円の構造改革費用を計上、円高やタイ洪水被害も響く。
大坪文雄社長は「(業績悪化の)責任の重さを痛感している」と語った。環境事業の強化を軸に「収益構造の変革を急ぎ業績のV字回復を果たす」と強調した。
パナソニックが計上する7800億円の最終赤字は日立製作所がリーマン・ショックのあった09年3月期に計上した7873億円と並び、製造業として過去最大規模。
大坪社長は「課題と認識しているものをすべて出し切り、新しい方向に進む」と述べた。具体的には発電効率が世界で最高水準にある高性能太陽電池の販売を伸ばす。12年末には約450億円を投じてマレーシアに新工場を建設する。
車載用のリチウムイオン電池は、12年度に11年度比5倍超の売上高を見込む。トヨタ自動車のプラグインハイブリッド車(PHV)「プリウスPHV」への供給を始めるなど、世界の主要5社で10車種以上への採用が決まったという。
プラズマパネルでは「電子黒板」など新市場に参入し、テレビ以外の用途を開拓する。白物家電は12~13年にインド、ブラジル、ベトナムで相次ぎエアコンや洗濯機などの新工場を建設。2桁成長を維持する計画だ。
13年3月期はテレビ事業の再建など構造改革の効果などで2500億円の収益改善を見込む。
12年3月期の赤字額が従来予想の4200億円から7800億円に拡大するのは、09年に三洋電機買収で発生した「のれん」と呼ぶ資産の減損処理として新たに2500億円の損失を計上することが主因だ。
景気減速や円高で、通期の売上高も8%減の8兆円と、従来予想を3000億円下げた。テレビは年間販売台数の目標を1800万台に見直した。従来予想を100万台減らし、前期実績を11%下回る。タイの洪水被害が営業利益で600億円の減額要因となった。
「のれん」の減損処理は買収した企業が想定していたほど利益が見込めなくなった場合に計上を迫られる。成長分野と期待する電池事業でも韓国メーカーとの競争激化で利益率が低下しており、価格競争力をどう高めるかが課題になる。
大幅な赤字計上で自己資本比率は昨年末の33%から「3月期末に29%まで低下する」(上野山実常務)。財務体質の改善策も求められそうだ。』
昨日は、日経記事;『ソニー「痛み伴う改革」新体制、不採算事業撤退」』に関する考察のタイトルで、ソニーの新体制下での課題克服のポイントについて述べました。
本日も、同じ家電業界のパナソニックについて書きます。
パナソニックの最終赤字が7800億円になるとのことで、この数字が製造業として過去最大規模であることが報道されています。
この赤字幅が大きくなったのは、一時的な要因も入っていますので、過渡的なものであり大きな問題ではありません。
記事によると、パナソニックは12年3月期の赤字額が従来予想の4200億円から7800億円と増えましたのは、
09年に三洋電機買収で発生した「のれん」と呼ぶ資産の減損処理として新たに2500億円の損失を計上することが主因とのこと。
構造的な問題は、ソニーと同様にテレビ事業の赤字です。昨日の新聞発表をみますと、液晶パネルの固定費を削減するため、液晶用パネルの7割を外部調達にしたり、液晶パネルの使用先をテレビ以外にするなどの方法を取るとしています。
ソニーの場合は、固定費削減をしながら、、「テレビは家庭内のエンターテイメントの重要な製品」であるとして、引き続き同事業を継続する方針です。
パナソニックは、テレビ事業を継続するようですが、今後とも事業の柱とするかどうか明確にする必要があります。
どの家電メーカーも同じですが、「集中と選択」を徹底的に行う時期に来ています。単なる合理化でコスト圧縮を図るやり方では、勝ち残れません。
その理由は、海外メーカー、特に韓国、台湾、中国企業の力が伸びており、これらの競合他社と同じやり方を取っていると、一気に汎用化した市場で価格競争に陥ってしまうからです。
テレビ事業が典型的な事例になります。エコポイントの終了による市場縮小も追い打ちをかけてテレビの販売台数も減った結果、典型的な価格競争に入ってしまい、国内家電メーカーは疲弊しました。
集中と選択を行う場合の一つのポイントは、コアとなる事業基盤の明確化と確立です。コアとなる事業基盤を明確にしたら、その事業分野・市場ではオンリーワンになるように集中的に投資を行い、強みを最大化することです。
この集中化を中途半端に行うと、あっという間に競合他社に後れをとります。総合家電メーカーの看板を見直し、既存事業分野の取捨選択を短期間に検討・実行する必要があります。
パナソニックは、環境分野を強化する方針です。その一つである太陽電池やPHVなどに搭載するリチウムイオン電池は、決して他社に負けないように集中投資し、コアでない事業は捨てて、当該事業のみに特化することが重要です。
この集中と選択を厳格に行うと、当面の売上が減少し、既存製品群の事業縮小や販売ルートの整理など大きな痛みを伴いますが、この痛みは避けて通れない道です。
その痛みを最小限に抑えて実行することが肝要です。私も幾つかの事業撤退を行ってきた経験からその大変さは想像できます。最新の注意を払って行うことが肝要です。
パナソニックは、極めて優秀な経営を行っている企業であり、第三者がその経営についてとやかく言う必要はありません。過去、様々な苦境を乗り越えてきた実績があります。
私は、昨日のソニーの場合と同じように、今後のパナソニックの動きに注目しながら、中小企業が「集中と選択」を行う場合の参考例にするつもりです。
例えば、東芝も環境事業を中心にする事業構造の変化を行っています。苦しい経営環境下にある大手電機メーカーがどのような方法で勝ち残っていくか、上記各企業のやり方を注視していきます。
よろしくお願いいたします。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁










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