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日経記事;『真相深層GM、脱「1000万台クラブ」 欧州、インドなど次々撤退』に関する考察 [事業再生、集中と選択]

                                                     2017年7月15日

皆様、
こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

7月15日付の日経新聞に、『真相深層GM、脱「1000万台クラブ」 欧州、インドなど次々撤退』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『世界各国の市場から米ゼネラル・モーターズ(GM)の車が消えていく。GMは今年に入り欧州やインドからの撤退を次々に決断。

トヨタ自動車や独フォルクスワーゲン(VW)などと「1000万台クラブ」を形成するGMがあえて規模縮小の道を進む。

「これからどうやって売ればいいのか」。ムンバイ市内のGM販売店で営業責任者を務めるラヴィ・ワズィールさんは嘆く。かつてインドで200を超えていた販売店は150に減った。1万8000台あるとされる在庫処分に頭を悩ませる。

上位3社で6割

インドの2016年度の乗用車市場は約300万台。2ケタ近い成長が続き世界5位の規模となったが、競争は厳しい。排気量1000cc前後の小型車が全体の6割を占め、マルチ・スズキなど上位3社が6割近いシェアを持つ。タタ自動車やマヒンドラ・アンド・マヒンドラなど地場メーカーも上位に食い込む。

GMの販売台数は12年度から5年連続で減少し、16年度は約2万6000台。シェア1%以下では「長期的に利益を上げるのは難しい」(GMインターナショナルのステファン・ジャコビィ社長)と判断した。

インドだけではない。GMは3月には独オペルなどを売却し欧州から撤退すると発表した。オペルは赤字続きとはいえ、16年の販売台数は約100万台。売却は「1000万台クラブ」からの脱落を意味する。それでもメアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)は「業績を高め勢いを加速させる大きな一歩になる」と誇らしげに発表した。

GMの世界販売台数は中国と米国が4分の3を占める。いびつな構造にもかかわらず、バーラCEOはさらに地域を絞る戦略を進める。

インドネシアやロシア、南アフリカなどからも撤退する一方で、利益が期待できる中国やブラジルなどへの投資は拡大する。バーラCEOは「地域ごとの事業の最適化をこれからも続ける」と宣言する。

米自動車サイト、オートトレーダーのミシェル・クレブス上級アナリストは「GMが進めているのは利益率が低く将来性がない市場から撤退する選択的グローバリゼーションだ」と指摘する。

1990年代後半、自動車産業では合従連衡が相次いだ。独米大手の合併でダイムラークライスラーが誕生し、日産自動車は仏ルノーの出資を受け入れた。規模こそが生き残りの条件とされ、「400万台クラブ」との言葉も生まれた。

それから約20年。見えてきたのは、国や地域によって規制や競争相手などが異なり、思うように規模のメリットを生かせない現実だ。

GM以外の自動車大手も地域に偏りがある。VWは欧州と中国が販売台数の約8割を占め、トヨタも日本と北米で全体の半分を売る。自動運転車や電気自動車(EV)などの開発費が膨らむ中、強い地域での利益確保が欠かせなくなっている。

米市場停滞が影

米国市場が停滞し始めていることもGMの背中を押す。米フォード・モーターは株主の圧力の高まりを受けマーク・フィールズ前CEOを事実上解任した。株価が伸びないGMにも、著名投資家デイビッド・アインホーン氏率いる米ファンド、グリーンライト・キャピタルが圧力をかける。

新興国市場を切り離す動きはほかの産業でも広がっている。米マクドナルドは1月、中国事業を中国国有企業などに2400億円で売却。英携帯通信大手ボーダフォン・グループは3月、インド事業を現地携帯大手と統合し連結対象から外すと発表した。

90年代、低成長下で事業の多角化を進めていた欧米企業は、新興国市場の急拡大を背景に本業回帰とグローバル化にかじを切った。そして今、規模よりもライドシェア(相乗り)サービスなど新事業の育成を優先するGMが象徴するように、欧米企業のグローバル戦略に転機が訪れている。

規模追求か利益優先か。国内市場が縮み海外展開が欠かせない日本企業も避けては通れない課題だ。』

現在、世界の大手自動車メーカーは、ここ数十年の間で経験したことがない、事業環境下に入ろうとしています。

最近、三つの大きな動きが出ています。

まず一つ目は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関を搭載した自動車の需要が、そう遠くない将来激減する可能性が高いことがあります。

その理由は、CO2削減を行わないと地球温暖化の動きを抑えられないことと、空気の汚染防止のために、内燃機関を搭載した自動車そのものの販売を禁止する動きです。

アメリカのカリフォルニア州やニューヨーク州などは、排ガスを出さない無公害車の販売を義務付けるZEV;Zero Emission Vehicle規制を2017年より強化します。

ここで求められる自動車は、一切のCO2を出さない自動車ですので、HV(ハイブリッド車)は対象外となり、販売できる自動車販売、EV(電気自動車)か水素燃料電池車になります。

アメリカ市場では、テスラモーターズやグーグルなどが積極的にEVの開発・実用化を進めていることと、現時点では水素ステーション設立の動きが本格化していないことなどから、EVが次世代環境対応車の主力になります。

また、フォルクスワーゲンなどの欧州自動車メーカーは、ディーゼルエンジンの燃費性能の不正操作を行ったことで、一斉にEV対応を加速させています。

また、最近、独ダイムラーが100万台以上のディーゼル車で違法な排ガス制御をしていた疑いが7月12日に報じられました。現在、捜査中とのことです。

一方、スウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーは7月5日、2019年以降に発売するすべての車種を電気自動車(EV)やハイブリッド車などの電動車にすると発表しました。

中国政府は、大気汚染への対応などからEVなどの普及に力を入れる方針を明らかにしています。

このように、日本を除く海外市場では、EVの開発・実用化が加速しています。もし、次世代自動車の主役がEVになると、内燃機関を搭載した自動車の開発・実用化ノウハウの多くは、不要になります。

内燃機関を搭載した自動車の開発・実用化に比べて、EVの開発・実用化の難易度が低くなります。

このことは、多くのEVメーカーが自動車市場に参入することを意味します。EVの販売単価も、内燃機関を搭載した自動車に比べて、構造が単純なことから、安く設定されるとみています。

二つ目は、自動運転車の開発・実用化です。この自動運転車の開発・実用化で、他社より先行しているのは、米大手ITベンダーのグーグルです。

グーグル自身は、決して自動車メーカーにならないと、現時点では宣言しています。グーグルは、自動運動機能付EVを開発・実用化して、動く電子端末機器とする事業計画をもっています。

動く電子端末機器が増えると、インターネット活用の機会が増えて、検索エンジン連動型の広告収入の拡大を見込めます。

自動運転車は、IoT対応になりますので、グーグルは毎日多くのデータを収集でき、人工知能の性能向上に大きく貢献します。

人工知能性能を向上させて、インターネットを通じたサービスを新規に開発・実用化して、更なる収益拡大を実現する動きになります。

自動運転車の開発・実用化は、すべての自動車メーカーが加速させていますので、2020年ころには一定程度の性能をもった自動車が市場に導入されます。

三つ目は、自動車を所有する形態から、複数の人で共有する、あるいはシェアリングの形になる割引が増える可能性があることです。

人々が自動車を共有することは、自動車の市場が縮小して販売台数が減少することを意味します。

このたび、GMが収益確保を見込めない地域や国からの事業撤退を決めた背景には、上記三つの大きな事業環境変化があるとみています。

GMは、事業規模の拡大より、集中と選択を加速させて、筋肉体質の経営体にして、巨額の開発投資資金を確保する動きです。

かって、米の大手コンピュータメーカーであるIBMが、収益確保が困難になると判断して、パソコン事業を中国企業に売却した動きと同じです。

今後、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車などの国内自動車メーカーが、どのような動きを行うのか、注目していきます。

これは、自動車産業が国内経済に大きな影響をもっていることによります。また、事業環境が激変する中で、各国内自動車メーカーの動きは、中小企業の参考になります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『リコー、カメラ事業縮小 個人向け撤退も検討 スマホ拡大、業務用シフト』に関する考察 [事業再生、集中と選択]

                                        2017年4月12日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

4月12日付の日経新聞に、『リコー、カメラ事業縮小 個人向け撤退も検討 スマホ拡大、業務用シフト』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『リコーはカメラ事業を縮小する。価格競争が激しい個人向けは撤退も含め検討し、経営資源を車載向けなど業務用に集中させる。同事業は2011年にHOYAから一眼レフカメラ「ペンタックス」を買収後も赤字が続く。スマートフォン(スマホ)に市場を奪われ、デジタルカメラの世界出荷台数はピークの10年と比べ5分の1になっており抜本改革に乗り出す。

コンパクトデジタルカメラ「GR」シリーズや一眼レフカメラ「ペンタックス」など個人向けカメラを中心に製品戦略を見直す。12日に発表する中期経営計画に盛り込む。個人向けカメラは撤退も視野に生産販売体制を抜本的に見直す。

カメラ事業はリコーにとって祖業にあたる。高級カメラがなかったため、デジカメ市場が既に縮んでいた11年にHOYAから100億円で「ペンタックス」事業を買収した。ペンタックスの一眼レフカメラブランドを前面に出し、個人向け販売を増やす戦略だった。

ただ販売は伸び悩み、リコーのレンズ交換式カメラの世界シェアは現在6位、カメラ全体では8位だ。360度カメラ「シータ」など特徴ある製品もあるが、高精細な写真を撮影できるスマホ市場の拡大を受け個人向けカメラ事業は買収後も赤字が続いていた。

一方で車載カメラなど業務用に人員や設備を振り向ける。車載用は18年度にも初めて製品化し、車載向けレンズなどで20年に500億円の売り上げを見込む。生産余力が大きいベトナムなどのコンパクトデジタルカメラの工場の一部も車載向け増産にあてる計画だ。

リコーは収益源の事務機事業も伸び悩む。カメラや半導体など周辺事業の見直しのほか、事務機本体の販売体制の見直しにも着手する。

米国では買収したIT(情報技術)企業などと重複していた販売網を再編し、1千人規模の人員削減に踏み切った。国内では定年退職後のシニア雇用対象者などに早期退職相当の扱いで退職者を募る計画だ。

カメラ映像機器工業会によると、2016年の世界デジカメ出荷台数は約2400万台で、ピークだった10年に比べ5分の1に縮んだ。なかでもスマホと競う小型デジタルカメラが不振だ。

出荷台数のピークは08年で、その前年の07年に「iPhone」が発売された。その後のスマホの急速な普及で小型デジカメは前年比3~4割減のペースで出荷台数が減り、16年は08年の約10分の1の約1200万台。レンズ交換式カメラとほぼ同規模となっている。

利益を維持しているのはキヤノンやニコンといったレンズ交換式に強い企業だ。日本が強い光学技術はノウハウの蓄積が必要で、サムスン電子や中国企業など海外企業は日本勢に追いつけない状態だ。ただ日本勢だけでも参入企業は多く、各社は事業の再構築を迫られている。』

本日の記事は、個人用カメラ市場が急速に減少していく状況下での、カメラ事業が経営の柱の一つになっているリコーの「集中と選択」について書いています。

個人用カメラ市場は、少々極端に言いますと、一部の高級、あるいは特殊用途を除けば、無くなるものととらえています。

カメラ事業で過去の歴史をみますと、かっては銀塩式の写真フイルムが主流でした。その時、メインプレーヤーは、アメリカのコダック、ドイツのアグファ、日本の富士フイルム、コニカの4社であり、ほぼこの4社で市場を独占していました。

しかし、ビデオ技術などのデジタル写真技術の進歩が写真フイルムの事業基盤を徹底的に破壊しました。破壊速度は、急激でした。

その時、富士フイルムは、脱写真フイルムを一気に進めて、複写機、デジタルカメラ、電子部品・電子材料など、蓄積された技術の周辺で応用分野を広げる形での事業・商品の広範な多角化によって生き残りました。

コダックの場合、M&Aで事業の多角化を図りましたが、いずれの施策も中途半端なものになっていました。買い取った技術やノウハウを社内に蓄積して、徹底的な差別化・差異化を実現しなかったのです。

この結果、写真フイルムの名門企業であったコダックは、2012年1月に経営破綻しました。

写真フイルム市場の縮小は、今の個人用カメラ市場のそれと似ています。アップルが2007年にiPhoneを出して以降、スマートフォン(スマホ)の売上は、急拡大しました。

少々大げさに言いますと、スマホは、世界市場レベルでで個人や企業が使うインタネットの活用の仕方に、個人生活やビジネスのやり方まで大きく変えました。

当然のごとく、いくつかの既存事業基盤は、破壊されたり、再構築されたりしてきたのがこの10年です。

個人用カメラ市場は、スマホのカメラ機能・性能が毎年新機種が出るごとに向上していますので、スマホ事業拡大と反比例して縮小するのは当然のことです。

ソニーやパナソニックなどの国内家電AVメーカーは、アップルなどの海外勢に市場の主導権を奪われて、テレビやスマホなどの大型市場から撤退、あるいは事業規模の縮小を、巨額の赤字に直面しながら、何とか「集中と選択」作業を行ってきました。パナソニックは、まだ「集中と選択」作業が残っています。

ソニーは、スマホ市場でのアップルやサムスンとの直接対決は止めて、スマホカメラの中核デバイスであるCMOSセンサーの事業を柱の一つに据えて、大きな収益確保・拡大を実現しています。

リコーは、個人用カメラ市場の急激な縮小下で、カメラ事業を継続してきましたが、ここにきて当該事業の「集中と選択」作業を本格的に行う決断をしたようです。

本日の記事によりますと、リコーは今後カメラ事業に関しては、車載カメラなど業務用に注力していくようです。

私は、今まで多くの「集中と選択」作業に携わってきました。この経験から言いますと、「集中と選択」作業を行う場合、一般的には経営余力のあるうちに、短期間に一気に加速して行う方が成功しやすいとみています。

経営余力があると、会社全般の経営問題に目を向けて、不必要な事業対象を徹底的に洗い出すことが可能です。

並行して、新規事業の柱となる候補を冷静に分析・検証して、当該技術・ノウハウを磨けば、徹底的な差別化・差異化を実現できるかどうか見極められるからです。

経営基盤が脆弱になった企業は、落ち着いて「集中と選択」作業を行うことは不可能です。

個人用カメラの代表企業の一つであるリコーが、短期間に効果的な「集中と選択」作業を行うことを切に期待します。

決してコダックの二の舞いになってはならないのです。合理化・撤退は、痛みを伴いますが、忍耐と時間・コストをかければ実現できます。

ポイントは、徹底的な差別化・差異化を実現できる技術・ノウハウをもって、新規事業を立ち上げて世界市場で勝ち組になれるかどうかによります。

たとえば、リコーが目指す車載カメラなど業務用途の市場には、すでに上記のソニーも含めて多くの競合他社がいます。リコーがどう差別化・差異化を実現していくかが課題になります。

この視点から、今後のリコーの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『パナソニック リストラ再び デジカメなど6事業 収益源探し、悩む電機』に関する考察 [事業再生、集中と選択]

                                             2017年3月25日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

3月25日付の日経新聞に、 『パナソニック リストラ再び デジカメなど6事業 収益源探し、悩む電機』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『パナソニックが不採算の6事業を対象に一段のリストラに踏み切る。2018年3月期に液晶パネルの生産ラインや半導体事業会社の株式の売却を検討するほか、今春にはデジタルカメラなど3つの事業部を解体して人員を減らす。

12年に就任した津賀一宏社長は大規模リストラに取り組んで健全な経営を取り戻したが、足元の業績は低迷している。リストラ後の次の一手が見えないパナソニックは、新たな収益源の育成に悩む世界の電機大手の姿を映す。

3事業部解体

パナソニックはプラズマテレビやプラズマパネルから撤退し、鉛蓄電池など多くの事業を売却してきた。今回のリストラは残された赤字事業の最終処理にあたる。

リストラ案は津賀氏の意向を反映し、本社の経営企画部がまとめた。具体的には兵庫県姫路市の液晶パネル工場にある2ラインのうち1ラインで生産を停止し、設備の売却を目指す。住宅用太陽光システム事業は国内工場再編を視野に入れる。半導体はイスラエル企業との合弁生産会社の株売却を含め検討に入った。

デジタルカメラや電話交換機、光ディスクを手掛ける3つの事業部は解体する。ほかの事業部の傘下に移管して人員も減らし、事業規模を縮小する。昨春時点で37ある事業部のうちリストラ対象の6事業の17年3月期の売上高は計約3800億円と全体の5%を占め、営業損益は計約460億円の赤字になる見通し。

パナソニックはプラズマテレビ事業の失敗などにより、13年3月期までの2年間で計1兆5千億円超の最終損失を計上した。事業継続も危ぶまれる危機に際し、津賀氏は大規模リストラに取り組んだ。

米国と中国でのテレビ生産や国内の個人用スマートフォン事業から撤退。一部の半導体工場や鉛蓄電池事業の売却などを通じ、14年3月期以降は1000億円を超える最終黒字を出す体質に改善した。

2割減益予想

巨艦をうまく操縦した津賀氏は、経営危機に陥ったシャープなどに比べリストラが迅速だと市場には映った。しかし、その後の業績は伸び悩む。同じ領域の事業を続けた結果、幅広い商品で価格競争力が低下し、17年3月期まで2期連続で通期業績を下方修正する事態に追い込まれた。

今期の最終利益(国際会計基準)見通しは1300億円と前期比2割減。売上高は7兆3500億円と4%減り13年3月期以来の低水準となる。リストラは固定費を削減しても新しい収益基盤の育成につながらない。不採算部門の改善も先送りしていた。中堅社員からは「社内に停滞感が漂う」との声が聞かれる。

今回のリストラは事業赤字を一掃し、再成長に向けて取り組む体制を整える狙い。津賀氏が今後の柱と位置付ける自動車、住宅の両分野は堅実な成長が見込める一方、新分野といえない。現状の経営は不採算事業の整理にとどまり、ポートフォリオ(事業構成)の再構築やサービス中心の事業転換に至っていない。

「2年で倍増」

世界の電機大手はコモディティー(汎用品)化と呼ぶ価格下落に悩まされてきた。それを打開しようと米ゼネラル・エレクトリックは仏アルストムのエネルギー事業を買収し、家電事業を売却。日立製作所はイタリアの鉄道車両製造事業を買収し、リースや物流は連結対象外にした。事業の入れ替えを進める先例を津賀氏は見つめている。

「17年度は選択と集中を進め、締め切りをもうけて改革に取り組む」。津賀氏は年初に全社員に表明した。創業100年を迎える19年3月期に掲げる連結純利益の目標は2500億円以上。2年で利益を倍増させるには新しい収益源が欠かせない。車載用電池での米テスラとの提携をはじめ、種はまき始めた。リストラだけでない改革をどう進めるかが、日本を代表する老舗企業の先行きを決める。』

私は、本ブログ・コラムで、国内大手電気機器メーカーがここ数年行ってきた「集中と選択」作業について多く書いています。

対象企業は、日立製作所、東芝、パナソニック、ソニーなどです。この中で、日立製作所は、大手電機メーカーの中で、いち早く集中と選択に取り組み、結果を出していると考えます。

東芝についても、一時期、日立に次いで集中と選択に着手し、エネルギー・環境分野を中心に事業構造を変える目途をつけたと考えました。その後、巨額の不正経理操作が発覚して、正直東芝の経営施策にはガッカリしました。

現在、東芝は米原子力事業者であるウエスチングハウス(WH)の原子力発電事業で7000億円を超す巨額損失を計上する大きな課題を抱えています。この要因は、多くのメディアで語られていますが、上記不正経理操作を含めて経営の未熟さを感じています。

パナソニックとソニーは、日立や東芝に次いで、集中と選択を行いました。ソニーは、長年引きずってきた不採算事業であったパソコン、スマートフォン、テレビなどの事業を大幅に縮小、あるいは撤退する作業を、新経営陣の下で短期間に行うことで一連の赤字状態から脱却できました。

ソニーは、家電あるいはエンターテインメント分野では、CMOSセンサーデバイス、ゲームに経営資源を集中させて、一定規模の収益確保を実現しています。

パナソニックの場合、現経営陣の下で、コモディティ化が進む家電商品事業から撤退して、家庭向、車載用途などの産業機器や環境分野を含めた業務用途事業へ経営資源を集中する方向で、集中と選択作業を行ってきたと理解しています。

本日の記事は、そのパナソニックの集中と選択作業がまだ不徹底であり、これからさらに行うことについて書いています。

私は、会社員時代に集中と選択作業の一環として、事業撤退を担当したことがあります。

事業撤退は、売上源の消失、人員削減、既存取引先との関係見直し、などの大きな負荷を与えます。

しかし、いったん事業撤退を決めれば、所定の目的・目標が達成できるようにけれんみなく実行することが極めて重要なことになります。

事業撤退を不完全に行うと、負の残った遺産がいつまでも会社にマイナスのダメージを与え続けることになります。このマイナスのダメージは、過剰在庫が企業の資金繰りを悪化させ、毒になるのと同じように会社に決定的な影響を与えるリスクがあります。

その視点からみますと、パナソニックが前回行った不採算事業の集中と選択作業が不十分であったことになります。

集中と選択作業の中で行う事業撤退やリストラなどの負の作業は、基本的に短期間に1回に行うことが必要です。

本日の記事に、米GEが過去行った集中と選択作業のことについて書いています。GEは、コモディティ化が進み、収益確保が困難と判断された家電事業を大胆にカットしました。

現在は、業務用途に特化して、IoT対応を含めてインターネット・IT技術・ノウハウを獲得しつつ、大きな収益基盤を作成・拡大しています。

以前に、日立、東芝、パナソニックなどの大手総合電機機器メーカーが集中と選択作業で目指す事例の一つが、GEであると本ブログ・コラムで書きました。

本日の記事によると、パナソニックの社長は、集中と選択作業の事例として、GEのやり方を見ているようです。

パナソニックが、今回の一連の集中と選択作業で合理化に目途をつけ、新規事業を立上げて新生パナソニックの姿を見せてくれることを大いに期待します。

この視点から、パナソニックの今後の事業展開に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『DeNA、ゲーム開発で欧米撤退 米・チリの子会社解散』に関する考察 [事業再生、集中と選択]

                                                2016年10月19日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

10月19日付の日経新聞に、『DeNA、ゲーム開発で欧米撤退 米・チリの子会社解散』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『ディー・エヌ・エー(DeNA)は18日、欧米でのスマートフォン(スマホ)ゲーム開発から撤退すると発表した。米国子会社と南米チリの子会社を解散する。すでに欧州拠点も閉じており、欧米地域での開発機能がなくなる。今後は国内で任天堂などの提携先とゲームを開発し、世界に向けて配信する方針だ。

米国サンフランシスコのDeNAグローバルとチリのサンティアゴにあるアタカマ・ラブズの2社を解散する。合計約150人の社員は退社する見通し。拠点閉鎖などに伴って、2016年10~12月期に30億円前後の費用が発生するという。

DeNAは08年から米国でモバイルゲーム開発を続けてきた。10年には米エヌジーモコを300億円超で買収して開発機能を拡充した。ただ、日本とは商習慣や文化が違う米国でスマホゲームをヒットさせるのは難しいうえ、エンジニアの奪い合いも激しく、米国事業は赤字が続いていた。

「ポケモンGO」など人気キャラクターが登場するゲームが脚光を浴びている。DeNAも任天堂との開発で年内配信を予定する「スーパーマリオラン」など、日本発で世界で受け入れられるスマホゲームに力を入れていくとみられる。米国のスマホゲーム事業を巡ってはグリーも買収した米ファンジオなどで200億円を超える損失を計上し、立て直しを急いでいる。』


スマホ用ゲームソフトやアプリソフトのビジネスは、激戦市場での競争に打ち勝たないと収益確保・拡大ができません。

また、いったん、あるゲームソフトやアプリソフトでヒットしたとしても、継続できるのはごく少数のものに限定されます。

私は、今まで何社かのゲームソフトやアプリソフトを開発・実用化するITベンダーを支援してきましたし、今も支援しています。

これらのITベンダーは、国内市場だけでは収益確保・拡大が難しくなる一方ですので、欧米やアセアンを中心とした海外市場の開拓も積極的に進めています。

ゲームソフトやアプリソフトに対する国内顧客の好みと海外市場の顧客の好みは、当然のごとく、一般的には異なります。

最近大ヒットした「ポケモンGO」のような世界市場で同時にブームになるアプリソフトは、レアケースと言えます。

今までハードウエアやソフトウエアの開発事業者に一般的に言われてきたことは、海外市場の潜在顧客のVOC(顧客の好みや要求内容など)を知るには、対象市場・顧客に近いところに開発拠点を設置してビジネスを行うことであると言うことです。

本日の記事にありますDeNAが、2008年にサンフランシスコにゲームソフトの開発拠点を設置したのも、欧米市場の攻略を目的としてだと考えます。

しかし、最近、私はハードウエアやゲームソフトやアプリソフトの開発・実用化を行うときに、必ずしも豆腐外市場中か隣接地に開発拠点を設置する必要性を感じなくなっています。

私の知っている何社かの国内ITベンダーは、サンフランシスコやシリコンバレーに拠点を設置して、ソフトウエアエンジニアを雇用して、ゲームソフトやアプリソフトの開発・実用化を行いました。

多くの場合、非常な困難を伴い、撤退した会社もあります。最も高い理由は、優秀なソフトウエアエンジニアを雇用できないことと、雇っても日本流のマネジメントを行ったことによります。

進出前に、上記のようなリスクがあることを説明して、再検討を促しましたが、何社かは実行しました。

サンフランシスコやシリコンバレーでは、ソフトウエアエンジニアの確保が非常に難しい状況が続いています。

また、ソフトウエアエンジニアの給料も、グーグル、アップル、マイクロソフトなどの米大手ITベンダーが、相変わらず積極的な採用を継続していますので、上がる一方です。

不動産や食品関連の値段も高く、ここで住み続けるにはかなりの収入がないと難しい状況になっています。

このような状況下で、DeNAやグリーのような国内では大手のゲームソフトベンダーであっても、優秀なソフトウエアエンジニアを雇用して、ヒットするゲームソフトを開発・実用化するのは一般的に困難です。

DeNAやグリーが米国から撤退する真の理由はわかりませんが、上記のようなことは推測できます。

私の支援先のITベンダーの中には、シリコンバレーのITベンダーと共同開発契約を締結して、共同でゲームソフトやアプリソフトの開発・実用化を進めている企業があります。

ほとんどの場合、チャットやSkypeなどの電話会議などのツールを使ってコミュニケーションしています。ソフトウエアの開発成果物は、GitHubを使って管理・共有化しています。

このITベンダーは、アメリカへの投資ではなく、連携・協業(アライアンス)の手法でゲームソフトやアプリソフトの開発・実用化を進めています。

また、開発したアプリソフトは、Kickstarterに出品して、投資ファンドを集めたり、投資家の反応から市場性を検証したりしています。


さて、一方DeNAの経営方針は、今回の米国事業からの撤退や、10月7日に発表された、「DeNAショッピング」「auショッピングモール」などDeNAの主要EC事業を、KDDIに譲渡することでケレンミのないものになっている印象をもっています。

これらのEC事業は、DeNAの創業時からの事業です。しかし、現時点では利益がでているものの、アマゾン、楽天などの競合他社との競争激化から、将来性はなく主力事業から外したものと推測します。

今、DeNAは遺伝子情報解析や自動運転などの新規事業立上をいろいろと試しています。DeNAは、動きの早いIT業界にあって、自社の強みを最大化して、持続的な収益確保・拡大ができるビジネスを継続して探し、挑戦する姿勢を持ち続ける意思をもっているとみています。

DeNAにとって、収益の柱となる事業は今後とも変化していくとみます。米国ヤフーやIBMなどの米大手ITベンダーの動きも同じであることによります。

DeNAの動きは、国内ITベンダーにとって参考事例の一つになります。この視点から、今後のDeNAの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『日立、2事業売却へ 日立工機など1000億円超』に関する考察 [事業再生、集中と選択]

                                                        2016年10月5日

皆様、
こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

10月5日付の日経新聞に、『日立、2事業売却へ 日立工機など1000億円超』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日立製作所はグループの工具事業と半導体製造装置事業を売却することで調整に入った。主要グループ会社の日立工機のほか、日立国際電気の一部事業が対象で、売却総額は1千億円超になる見通し。

日立は国内電機の中で「勝ち組」とされるが、世界景気の先行きが不透明ななか一段と選択と集中を進め、収益力の引き上げを加速する。

国内電機大手は売上高を追わず、収益性を高める戦略で再び競争力を取り戻しつつある。パナソニックが住宅・自動車分野などに集中し、ソニーもデジタル機器やエンターテインメント事業で攻勢に移っている。

日立はインフラやIT(情報技術)事業へのシフトを進めており、工具や半導体製造装置事業とは相乗効果が薄いと判断した。2016年3月期に6%台と国内の競合他社に比べると高い営業利益率をさらに引き上げ、世界市場で戦える収益基盤を確立する。

今年に入り、SGホールディングスと物流分野で、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と金融分野で、それぞれ資本・業務提携し、日立物流や日立キャピタルへの出資を受け入れた。

日立はグループで、日立工機が持つ自社株を含め、同社の発行済み株式の5割以上を保有する。17年前半までの売却完了をめざし、入札手続きに入った。売却額は500億円を超える見込みで、米投資ファンドのカーライル・グループなどが取得に意欲を示している。

5割超を保有する子会社、日立国際電気でも半導体製造装置事業を17年に売却する案が出ている。市場に流通する残りの全株をTOB(株式公開付け)で日立製作所がいったん取得したうえで事業を売却する案がある。現在の保有株の一部を事業会社に直接売却する構想もある。

大型の事業売却に踏み切ることでインフラやITの機器販売を手掛けながら、保守などサービス事業に軸足を移すビジネスモデルへの転換を急ぐ。電動工具や半導体製造装置は機器販売が主体で、サービスを重視するグループ戦略にもそわないと判断した。』


日立製作所は、何度か本ブログ・コラムで取り上げていますように、国内総合電気機器・家電大手メーカーの中で、いち早く「集中と選択」作業に取り組みました。

その結果、数年前に、他の国内大手メーカーに比べて、一定程度の収益確保・拡大を実現できる基盤を固めました。

その後、本日の記事に書いていますように、パナソニックやソニーも「集中と選択」作業を集中的に行い、最近、両社の経営数字にその結果が反映されるようになりました。

その日立製作所が、さらに追加する形で「集中と選択」作業を行うことになります。具体的には、
中核とならない事業である、半導体製造装置事業、建設現場などで使う電動工具事業、金融事業、物流事業がその対象になります。

米国では、継続的に「集中と選択」作業を行っている代表企業の事例として、IBMが良く取り上げられます。

IBMは、他の米国大手ITベンダー(マイクロソフト、グーグル、アップル、アマゾン、セールスフォース・ドットコムなど)との熾烈な競争環境下でビジネスをしており、今までの「集中と選択」作業の結果だけでは、収益確保・拡大が難しい状況になっています。

このため、IBMはさらにハードウエア事業への依存度を下げるとともに、人工知能であるワトソンを核にした新規事業立上を継続的に行っています。

マイクロソフトも、今までパソコン向けWindowsOSやアプリケーションソフトOfficeで築いた圧倒的な市場基盤が、競合他社との競争が激化して劣化しつつあり、対抗策の一つとしてオープンイノベーション方式を取り入れつつあります。

インターネット、IT、人工知能、IoTなどの急速な開発・実用化が進んでいますので、これらの事業に関わる企業は、いったん築いた事業基盤も競合他社との熾烈な競争により、急速に破壊されてしまうリスクに直面しています。

本日の記事にあります日立製作所や米IBM、マイクロソフトが直面している課題が、その事例の一つになります。

このことは、今の勝ち組企業が現在の事業基盤を維持拡大するために、不断の自己変革を継続的に行わないと生き残れない状況が続くことになります。

現時点では、グーグルやアマゾン勝ち組企業の一つになります。

このような事業環境下でビジネスを行う国内ベンチャー・中小企業は、日米欧の勝ち組大手企業の動きを見つつ、柔軟性をもって事業活動を行う必要があります。

たとえば、グーグルやアマゾンが提供する検索エンジンやインターネット通販などのプラットフォームは、彼らが勝ち組である間はこれを最大限利用して、自社事業の収益確保・拡大を図ります。いわゆる勝ち馬に乗るやり方になります。

同時に、自社商品やサービスの差別化・差異化の維持拡大と、新規ニッチ市場と販路開拓に邁進します。いったん、自社が築いた市場でも、その市場自体が破壊・変革させられてしまう可能性や、競合他社が急に参入してくるリスクを常に想定して、事業する姿勢が重要になります。

社会環境、経済環境、市場環境、競合他社の動きなどを注視しながら、自社の競争力やビジネスモデルを柔軟に維持・拡大・変更する柔軟性が、今後のベンチャー・中小企業に求められます。

その時に、本日の記事にあります日立製作所などの大手企業がどのように対応していくのか、そのやり方や成果を客観的に情報収集・評価することが役に立ちます。

この視点から、私は日米欧の大手企業の動向にいつも注目しています。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『東芝、中国・美的に白物家電売却へ アジアで再編加速』に関する考察 [事業再生、集中と選択]

                                             2016年3月15日

皆様、
おはようございます。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

3月15日付の日経新聞に、『東芝、中国・美的に白物家電売却へ アジアで再編加速』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝は冷蔵庫や洗濯機などの白物家電事業を、中国家電大手の美的集団(広東省)に売却する方向で最終調整に入った。会計不祥事を契機にリストラを進める東芝と、日本や東南アジアで家電事業を拡大したい美的の思惑が一致した。

台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業がシャープを買収する協議を進めるなど、アジアの新興企業が参画する形で日本の家電再編が加速する。

今夏までに全額出資子会社、東芝ライフスタイルの株式の大半を手放す方向で交渉しており、売却額は数百億円とみられる。国内での東芝の白物家電の販売方法や従業員の雇用など美的と詰めの協議に入った。

美的は「Midea」ブランドで家電を販売し、14年の売上高は約2兆7000億円。英調査会社ユーロモニターによると白物全体の15年の世界シェア(台数ベース)は4.6%で2位。エアコンや洗濯機に強い。東芝の地盤が強い日本や東南アジアに白物家電の販路を広げる足がかりを得て世界戦略を加速する。

東芝は医療機器子会社の売却に向けてキヤノンと18日までの合意に向けて最終交渉している。パソコン事業も富士通の部門やVAIO(バイオ、長野県安曇野市)と統合交渉中。一定の事業規模がある白物家電の売却先も決めることで、リストラにメドをつける。

かつて安定した事業だった白物家電はインドネシアなど海外で大半を生産しており、円安の影響で採算が悪化していた。白物を中心とする家電事業の2014年度の売上高は約2200億円で赤字とみられている。

東芝の白物家電は官民ファンドの産業革新機構が主導してシャープと統合する案が浮上していた。シャープが鴻海の傘下に入る方向になったことで、東芝は以前に交渉していた中国やトルコのメーカーとの話し合いを再開。美的は家電製品で技術提携した実績があるほか、空調事業で合弁会社を設立している。かねて技術と人的な面でつながりが深く円滑に事業を移行できると判断した。

日本の家電は国内市場の停滞で業績が伸び悩み、海外企業による買収が相次ぐ。12年にはパナソニックが三洋電機から引き継いだ白物家電事業を中国の海爾集団(ハイアール)に売却している。

アジアの家電事業は1990年代まで欧米発の技術を受け入れた日本がけん引したが00年代以降は韓国企業がテレビや半導体で先行。リーマン・ショック後の日本の電機は企業向け製品やサービスにシフトして再成長を遂げる一方、白物家電は低コスト生産に強い中国などアジアの企業がリードする構図が強まる。』

本日の記事は、東芝が白物家電事業を中国家電大手の美的集団に売却することが基本的に合意されたことについて書いています。

東芝は、経営再建中の企業になります。過去の会計処理を不適切に行ったことで、経営危機に直面していました。

東芝は、今後の事業の柱として期待されていた医療ビジネスをキャノンに売却することを決めています。

白物家電も経営再建策の一つとして、家電大手の美的集団への売却が決定されました。パソコン事業も、今までの新聞記事によると、富士通やVAIOと経営統合に向けて交渉中とされます。

今回の一連の集中と選択作業で、東芝は、エネルギー・環境事業と半導体の「電子デバイス事業」を中核とした専門型企業に特化して事業再生しようとしています。

東芝が一連の集中と選択作業後に、中核とした事業分野で世界市場で勝ち組になれないと経営が傾くリスクがあります。

日本の大手電気機器メーカーの中では、日立製作所、ソニー、パナソニックなどが集中と選択作業を行って、自社の強みを発揮できる事業分野に経営資源を集中して、世界市場で勝ち組になれるように動いています。

別の見方をしますと、日立製作所、ソニー、パナソニックなどの大手電気機器メーカーは、競合他社に対して差別化・差異化できる事業分野をもっているので、集中と選択作業を行って、自社の得意分野に集中できたと言えます。

米大手企業の場合では、IBMがパソコン事業を売却して、自社の強みを発揮できる事業分野であるソフトウエアなどの事業に集中できました。

米GEは、創業事業である家電事業や大きな収益をあげていた金融事業を売却して、自社の強みを発揮できる事業である重電事業を中核にしてIoT対応などで差別化・差異化するやり方をとっています。

日立製作所、ソニー、パナソニックなどの国内大手企業は、IBMやGEなどを手本にするやり方で、集中と選択作業を行いました。このやり方が通用するのは、自社に世界市場で勝ち組になれる技術や事業をもっていることによります。

東芝は、これからが経営再建の山場を迎えます。自社の強みを発揮できるとする事業分野で、世界市場での勝ち組になれるかどうかにかかっています。

中小企業も東芝と同じ課題に直面する可能性があります。あるいは、中小企業はもっとその可能性やリスクが高くなる事態が想定されます。

これは、中小企業の対象市場が、中堅・大手企業のものに比べて小さいことにより、当該市場で勝ち組になっても市場自体が縮小、あるいは横ばいになると収益確保・拡大が難しくなるからです。

そのときに、中小企業が世界市場での競合他社に対して、差別化・差異化できる商品・技術・サービスなどをもっていることが重要になります。

今後、中小企業は国内市場に特化して収益確保・拡大が難しくなる事態が想定されます。国内市場は、人口、とくに15歳から64歳までの生産年齢人口減少により縮小していきます。

市場縮小は、BtoCおよびBtoB両タイプのビジネスに大きな影響を与えます。収益確保・拡大したい中小企業は、必然的に海外市場・顧客開拓をすることが必要になります。

このときに、重要な役割を果たすのが、差別化・差異化できる事業や技術・サービスになります。これさえもっていれば、海外販路開拓・集客のやり方を基本的なやり方にしたがって着実に実行することで、海外売上確保・拡大が実現できます。

逆に言いますと、差別化・差異化できる事業・技術・サービスなどをもっていないと、海外販路開拓・集客は非常に困難なことになります。

最近、多くの中小企業が海外販路開拓・集客に高い関心をもっており、問合せや支援依頼が増えています。

このようなときに、私がまず中小企業にお願いしますのは、自社のもっている技術・ノウハウ・サービス、商圏などを冷静に棚卸して、世界市場で通用する差別化・差異化できるものをもっているか確認することです。

もっていない場合、他社との事業連携・協業か、M&Aで差別化・差異化できるものを手に入れることも考え、実行する場合があります。

それもできない場合、当該中小企業に対して、海外販路開拓・集客を現状では見合わせることもアドバイスします。

中小企業が海外販路開拓・集客を行う場合、国内市場と同じように、中堅・大手企業が入ってこないニッチ市場で勝ち組になることがポイントの一つになります。

中小企業経営者の勢いや意気込みだけで、海外販路開拓・集客はできません。冷静に自社の強みを発揮できるものを見極めた上で、計画作成・実行する合理的なやり方が基本になります。

私は、中小企業が海外販路開拓・集客するための参考事例・情報として、今後の東芝の事業展開のやり方について大きな関心をもっています。

この視点から東芝の動きについて引き続き注視していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


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日経記事;『シャープ経営陣、革新機構の再建案評価』に関する考察 [事業再生、集中と選択]

                                                  2016年1月31日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー  山本雅暁です。

1月31日付の日経新聞に、『シャープ経営陣、革新機構の再建案評価』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『シャープ経営陣は30日、産業革新機構などからの再建案について本社で対応を協議した。革新機構の幹部と台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘董事長がシャープ本社を訪れてそれぞれの再建案を説明した。シャープは革新機構案の方が優れていると評価しており、受け入れる方針だ。

革新機構はシャープ本体への3000億円の出資や、不振の液晶事業の分社化などが柱となる再建案を正式に提示し、詳細を説明したもようだ。シャープ経営陣は革新機構が主導する業界再編を通じた再建策が経営の抜本的な立て直しにつながるとみている。

鴻海は経営トップである郭董事長自らがシャープ経営陣に直談判して、総額7千億円規模を投じる案を伝えたようだ。郭董事長は代理人を通して「シャープのブランドの起死回生を図っていきたい」「シャープ社員には安定的な仕事をコミットする」などとのコメントを発表した。

ただ、シャープ経営陣の間では鴻海への不信感もある。両社は2012年3月に資本・業務提携を発表したが、出資を巡って関係が悪化。現在は堺市にある液晶パネルの生産会社を共同で運営するにとどまっている。

革新機構はシャープの液晶以外の事業でも再建を急ぐ構えで、太陽電池でも昭和シェル石油の子会社との事業統合を検討していることが明らかになった。シャープはこれまでも昭シェルなど他社との提携を模索していたとされるが、実際には交渉が進んでいなかった。

昭シェル側は過剰設備を残したままの統合を避けたい考え。革新機構主導でリストラが進むかが成否を握りそうだ。』


シャープをめぐる経営再建策については、1月の後半に大きな動きが幾つかありました。この動きの中で、中心となっていたのは産業革新機構です。

産業革新機構は、正式名を株式会社産業革新機と言います、この会社は旧産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法・現産業競争力強化法に基づき、2009年7月に設立された官民出資の投資ファンドです。(出典元;ウィキペディア)

産業革新機構は、たとえば、2012年4月にソニー株式会社・株式会社東芝・株式会社日立製作所の中小型液晶ディスプレイ事業を統合した会社である、株式会社ジャパンディスプレイを設立しました。

産業革新機構は、このときシャープにも参加提案をしましたが、シャープは独自路線を行くということで参加しませんでした。

産業革新機構は、会計不祥事で巨額損失が明るみに出た東芝とシャープを中心に、国内家電関連事業の基盤再構築を狙っているようです。東芝については、1月23日に、日経記事;『東芝、半導体を主力除き売却 メモリーに集中 発電設備と2本柱に』に関する考察 [事業再生、集中と選択〕のタイトルで記事を書いています。

液晶パネル事業の場合、国内メーカーは大きくジャパンディスプレイとシャープの陣営に分かれていました。

シャープは、省エネ性能などに定評がある独自技術「IGZO(イグゾー)」をもっており、独自技術の優位性により自社単独で経営再建できると判断して、その当時、ジャパンディスプレイに加わりませんでした。

しかし、その後テレビやスマートフォンなどの電子機器の世界市場での需要が増加しないことと、韓国勢との競争が一段と激化して市場での優位性やシェアが低下する事態に直面して経営危機を迎えました。

シャープは、さらに、経営再建を提案した台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との連携も思わしくなかったことも事態の悪化につながりました。

液晶パネル事業は、スマートフォンの先進国市場での飽和、中国や新興国市場での安価製品の台頭、タブレット端末の低需要、パソコン販売の低下、テレビ機器の汎用化による価格低下など、全体の事業環境が売上・収益の両面で右肩上がりが期待できません。

さらに、次世代のディスプレイ技術として、有機ELへの対応も必要になります。有機ELについては、韓国のLGが一歩先行する形で事業展開を進めています。

有機ELについては、2015年12月に、米Apple社が3年後、iPhoneに有機ELディスプレーを採用するという報道が出されました。このとき、韓国のLG Display社とSamsung Display社が有機ELディスプレーの供給メーカーとしてあげられていました。

ジャパンディスプレイは、現時点では有機ELディスプレイを商品化していませんので、供給メーカーに入っていないことは当然のことです。

また、LGは2015年11月に、韓国北西部の坡州(パジュ)に有機ELパネルの工場を新設すると正式に発表しました。総投資額は10兆ウォン(約1兆700億円)以上。2018年上半期に最初のラインを稼働させ、段階的に拡大する、としています。

液晶パネルや有機ELの事業は、最終的には韓国や中国のメーカーとの激しい競争に直面しますので、圧倒的な技術力と価格競争力をもたなければ勝ち残れません。

今回の産業革新機構の動きは、国内メーカーを絞り込んで経営資源を集中して、世界市場での勝ち組になることを目的としているのは明確です。

液晶パネルや有機ELは、将来汎用化が進みますので、世界市場で圧倒的なシェアをもつことで残存者利益を享受できます。ジャパンディスプレイを中核とした国内メーカーが、韓国、中国勢との競争に打ち勝つようなやり方を工夫して、実現できるかがポイントになります。

産業革新機構は、シャープと東芝の白物家電事業も統合して、世界市場での競争力強化を計画・実行しようとしています。

今回の一連の統合の動きは、産業革新機構が中心となって青写真を描いて実行しようとしています。この統合の効果を出すためには、ジャパンディスプレイ、東芝、シャープなどの企業が、集中と選択作業を加速させて、技術および価格の両面で世界市場での競争力をもてるかによります。

これらの企業の動きは、中小企業にとって、集中と選択作業や新規事業立上に対する大きな参考事例になります。

この視点から、ジャパンディスプレイ、シャープ、東芝などの関連メーカーの動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『東芝、半導体を主力除き売却 メモリーに集中 発電設備と2本柱に』に関する考察 [事業再生、集中と選択]

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

1月23日付の日経新聞に、『東芝、半導体を主力除き売却 メモリーに集中 発電設備と2本柱に』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝は中核事業である半導体部門の一部を売却する方針を固めた。自動車や産業機械などに広く使われる汎用的な半導体が対象で、3月末をメドに売却先を選定する。同社は会計不祥事を受けて、収益力回復に向けた抜本的な事業構造改革を進めている。

半導体の主力であるスマートフォン(スマホ)向け中心のフラッシュメモリー事業と、原子力などの発電設備事業の2つを柱に経営再建に道筋を付ける。

売却対象はNAND型フラッシュメモリーを除く大半の半導体事業となる。具体的にはアナログ半導体、大規模集積回路(LSI)、マイコンや省電力半導体と呼ばれる製品群。自動車や産業機械のほか、家電、住設機器などに幅広く使われる。

対象事業の年間売上高は計2000億円程度とみられ、全体を売却した場合の金額も2000億円規模になるもよう。NAND型フラッシュメモリーは東芝最大の収益源で韓国サムスン電子に次ぐ世界2位のシェアを持つ。事業再編で得る資金は、四日市工場(三重県四日市市)でのメモリーの設備増強などに投じる。

東芝は入札手続きを進めており、まず日本政策投資銀行が名乗りを上げた。政投銀はセイコーホールディングスと共同で半導体事業を手掛ける出資会社を抱えており、東芝の半導体事業との連携を模索する。ファンドなども応札する見通し。買い手側の条件や顧客の意向次第では、東芝が引き続き事業を保有する可能性もある。


東芝は半導体部門のリストラでは、すでに大分工場(大分市)で手掛ける画像センサーの生産設備をソニーに売却することで合意済み。赤字が続いた白色発光ダイオード(LED)からの撤退も決めている。

また全社的な事業の選択と集中を進める中で、パソコンは富士通などと統合交渉に入っているほか、白物家電はシャープとの統合を検討している。1万人規模の人員削減にも踏み切る計画で、リストラ費用の積み増しなどで2016年3月期は5500億円の最終赤字となる見通し。一段の財務体質の悪化は避けられず、収益源の1つである医療機器子会社の東芝メディカルシステムズも売却する方針だ。

一方で、フラッシュメモリー事業と並び国際競争力を維持できる原子力や火力などの発電設備事業には力を注ぐ。特に原発設備では、傘下の米ウエスチングハウス(WH)の最新鋭原子炉をインドなどの新興国を中心に売り込む計画。この2事業に経営資源を集中し、15年度中に構造改革に区切りを付け、16年度以降の成長につなげる。』


東芝については、昨年の会計不祥事が明るみに出るまで、日立製作所と並んで、国内電気電子機器メーカーの中で、ソニーやパナソニックなどに先行して集中と選択作業を行った点を評価して何度か本ブログ・コラムで取り上げました。

会計不祥事が表面化したあとは、発表されていた経営数字が実態をまったく反映していなかったので、東芝の状況について様子見をしていました。

その東芝が今回本格的な集中と選択を短期間で行うとしています。本日の記事によると、東芝は、事業の柱をフラッシュメモリーの半導体事業と原子力発電や火力発電などの発電設備事業を中核事業とするようです。

会計不祥事で発足した新経営陣が、国内企業としては短期間にリストラ計画を作成したことは、今後の東芝が収益拡大を実現する足場を固めつつあるとみます。

東芝は、集中と選択作業で現行事業の再編を以下のように行うとしています。

・半導体事業のうち、画像センサーの生産設備をソニーに売却し、撤退する。
・白色発光ダイオード(LED)から撤退する。
・アナログ半導体事業を売却する。
・ハードディスク(HDD)事業を工場閉鎖などにより縮小する、代わりに、最近パソコンに大量され始めたフラッシュメモリーを使った「ソリッド・ステート・ドライブ(SSD」事業を拡大する。
・かって新規事業の柱の一つにするとしていた電力事業のうち、送配電事業から撤退する。
・医療機器子会社を売却して、医療機器事業から撤退する。
・パソコン事業を、富士通やVAIOとの統合する検討を行っている。
・産業革新機構主導で動いているシャープの経営再建に関連して、白物家電を統合する検討を行っている。など

もし上記のことがすべて実現しますと、東芝は完全に総合電気機器メーカーの看板を外して、フラッシュメモリーの半導体事業と発電設備事業を中核とした電気機器メーカーになります。

最近の電気機器メーカーの集中と選択作業では、1月15日付の日経新聞に、米GEが家電事業を中国・海爾集団(ハイアール)に40億ドル(約4700億円)以上で売却することで近く合意するとの記事が掲載されました。

GEは、創業時の家電事業を売却して、重電事業とIoT対応を軸にしたソフトウエア事業を両輪にして専業メーカーとして、世界市場で勝ち組になるように動きを加速しています。

技術・商品が汎用化して価格競争が起こる領域や、市場が縮小している領域の土俵から下りて専業化することで、競合企業との競争に勝とうとしています。

東芝の場合、もし粉飾決算が表面化していなければ、従来の経営施策を続けており、最近になって矢継ぎ早に出されている集中と選択作業が生まれていなかったと考えます。

実質的な赤字の垂れ流しは、企業の体力を弱めていきますので、もっと先になって赤字体質が表面化したときには、手遅れになっている可能性がありますので、東芝にとっては不幸中の幸いになったとみています。

今後の東芝に対する期待は、自社の強みを最大化できる事業を最強化して、世界市場で圧倒的なシェアをとる勝ち組になることです。

半導体事業で言えば、ソニーの画像センサーのように、世界市場のガリバーになることです。ソニーも不振の家電事業を合理化することで、ようやく収益確保ができる経営体質をもてるようになりつつあります。

東芝は、身軽になった経営体で、GEをしのぐ速さで集中した事業分野で世界市場で圧倒的なシェアをもつメーカーになって欲しいと考えます。

中小企業が大いに参考になる模範的な企業になることを期待します。その観点から、今後の東芝の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『ハイアール、GE家電買収 6300億円、ブランド取り込む』に関する考察 [事業再生、集中と選択]

                                           2016年1月16日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

1月16日付の日経新聞に、『ハイアール、GE家電買収 6300億円、ブランド取り込む』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『中国家電大手、海爾集団(ハイアール)は15日、米ゼネラル・エレクトリック(GE)の家電事業を買収すると発表した。買収額は54億ドル(約6370億円)で、家電部門の人員や米国での事業基盤を引き継ぐ。知的財産や「GE」ブランドも取り込む。欧米など先進国市場を本格開拓する足がかりにする。

英調査会社ユーロモニターによると、家電市場の世界シェアはハイアールが世界7位、GEが19位だ。買収後のハイアール・GE連合は日本のパナソニックや米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)を抜き、世界5位に浮上する。

GEは2014年に家電事業を欧州同業のエレクトロラックスに売却することでいったん合意していた。今回の買収額は、そのときの33億ドルを大きく上回る。

ハイアールは家電子会社を通じ、GE家電部門の関連資産を買収する。米国内の9工場のほか、販売や仕入れのネットワーク、アフターサービスのための拠点を手に入れる。GE側の1万2千人の人員も雇用を継続する方針だ。4~6月期中の手続き完了を目指す。

GEは食器洗浄機や冷蔵庫など大型家電を得意とし、家電備え付け住宅が主流の北米市場で高いブランド力を持つ。一方、ハイアールは中国で高いシェアを占めるが、先進国市場の開拓が課題となっていた。GEはガスタービンや航空機エンジンなど重電・機械分野に事業の軸足を移す。

ハイアールはGEから家電の研究開発部門も引き継ぐ。開発力を強化し、自社製品の品質を高める考えだ。「GE」ブランドを継続して使える権利も取得する。12年には旧三洋電機の白物家電事業を買収した。相次ぐ大型買収をテコに「低価格ブランド」というイメージの払拭を目指す。』
 
本日の記事は、米GEが家電事業を中国のハイアールにすべて売却することについて書いています。以前からGEは、創業時からの主力事業である家電事業を売却するとの方針を打ち出していました。このことが最終的に決まったということになります。

アメリカの大手企業は、集中と選択に関して日本企業と比べると意思決定や実行速度が格段に早くなります。ケレンミなく行うことも特徴になります。

たとえば、米IBMはノートパソコンは今後汎用化が進み、収益確保が難しくなると判断して、当該事業を中国企業に売却しました。当時、IBMはソフトウエア事業を中心に投資を行い、収益拡大を可能にするやり方を選択しました。

GEも同じ動きをかけています。現在の社長の基本スタンスは、まず本業回帰です。かってGEを収益面で潤した金融事業を大幅に削減しました。

家電事業はGE創立時からの重要なものですが、IBMと同じように、家電事業から収益拡大を実現することは、汎用化がさらに進むので収益拡大実現をできないので、本業から外すという決断をしました。

現在のGEは、本業の軸足をガスタービンや航空機エンジンなど重電・機械分野に移すことを明確にしています。

また、GEは単に重電・機械分野に軸足を移すのではなく、IoT対応を徹底的に行って自社工場の生産性を飛躍的に向上させる、GE商品からインターネットを通じて稼働状態をリアルタイムで情報の収集・分析を行って、顧客の保守管理費用を削減するなどを実現することで、事業の付加価値や収益性を飛躍的に向上させようとしています。

このため、GEは「インダストリアル・インターネット」と呼んでいる動きを加速させています。
「インダストリアル・インターネット」は、ガスタービンや航空機エンジンなどに、多数のセンサーを付けて、無線LANなどを通じて収集した膨大なデータを分析して、製品開発・実用化や改良に要する時間を短縮する、最新の稼働状態を把握・分析することでより効率的な運用方法や保守管理のやり方を計画・実行することなどを目指しています。

GEは、「インダストリアル・インターネット」を実現するために、日欧米の主要メーカーなどに参加を提案しており、多くの企業が賛成して当該プロジェクトが動き出しています。

いわば、ドイツの「Industry 4.0」の民間版になります。もっとも、「Industry 4.0」は、工場や販売会社などの関連事業者をすべてインターネットでつないで、最適な資材発注・在庫、生産計画・実生産、市場での製品在庫把握と物流などの総合的なモノやカネの流れを可視化して、最適解を算出・実行するようにしますので、GEの「インダストリアル・インターネット」とは概念が異なります。

GEの本気度は、「インダストリアル・インターネット」を実現するために、サンノゼに数千人規模のソフトウエアエンジニアを集めた大規模なラボを設立したことで示されています。

また、これらのエンジニアは、インターネットに接続し、膨大なデータを短時間に解析するためのソフトウエアを開発・実用化します。

GEは、多様な産業機器が生み出す膨大なデータを解析する共通のソフトウエア・プラットフォームとなる「Predix」を開発・実用化しました。これは、パソコンのOSに相当します。

GEは、多くのソフトウエアベンダーや関連企業と協業・連携して、「Predix」上で動くアプリケーションソフトを開発・実用化しています。

日経記事によると、。GEは2015年までの4年間に10億米ドル(約1200億円)以上を投資し、米国、欧州、中国にソフトウエアセンターを開設したとのこと。

GEは2020年までに、ソフトウエアの売上高を2015年見込みの3倍に当たる150億米ドル(約1兆8000億円)に引き上げる目標をもっています。

GEは、明確に重電や機械分野の事業分野にてハードウエアおよびソフトウエアの両面から、世界市場で勝ち組になることを目指しています。

GEが家電事業を売却したのは、このような壮大な事業目標を達成するのに、非中核事業でないもは不要とする明確な意思をもったことによります。

国内大手メーカーは、GEのような大胆な集中と選択を短期間に行うことはありませんし、できません。

しかし、中小企業は、経営者が決断すれば可能です。GEのやり方は、自社の主力事業を再確認して、成熟した既存事業基盤の中でインターネットをフル活用して、事業の付加価値・収益性を最大化することを目指しています。

GEの今後の展開は、中小企業にとって大いに参考になります。この視点から、GEの状況について引き続き注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『パソコン3社 事業統合 東芝・富士通・VAIO交渉へ 国内シェア首位浮上』に関する考察 [事業再生、集中と選択]

                                          2015年12月4日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

12月4日付の日経新聞に、『パソコン3社 事業統合 東芝・富士通・VAIO交渉へ 国内シェア首位浮上』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東芝、富士通、ソニーのパソコン部門が独立したVAIO(バイオ、長野県安曇野市)の3社はパソコン事業を統合する検討に入った。実現すれば国内シェアで3割強とNECレノボグループを抜いて首位のパソコン企業が誕生する。

会計不祥事を受けて東芝が進めるリストラを機に、日本のパソコン勢が生き残りをかけて結集する再編が動き出す。

3社は近く統合に向けた具体的な交渉に入る。年内にも基本合意し、来年4月に新体制を発足させたい考え。実現すれば国内のパソコンシェアで計3割強とNECレノボグループ(26.3%)を抜いて首位に躍り出る。

VAIOが存続会社となり、各社が出資して事業を移管する案が有力。関連する人員も移し、国内外で開発から製造、販売までを一体運営する案を軸に検討するもようだ。

東芝、富士通とVAIOの筆頭株主である投資ファンド、日本産業パートナーズ(JIP、東京・千代田)はそれぞれ3割前後を出資する意向とみられる。

東芝は世界初のノートパソコンを世に送り出し市場をリードした老舗メーカー。現在も「ダイナブック」ブランドのノートパソコンが主力だ。富士通も個人向けの「FMV」ブランドやタブレット(多機能携帯端末)などを持つ。

東芝は中国・杭州の製造子会社や海外販社を持ち、北米市場に強い。富士通は島根県出雲市やドイツに製造子会社があり、欧州市場が得意だ。2014年7月にソニーが切り離して発足したVAIOもブランド浸透度が高く、根強い人気がある。

米調査会社IDCによると、14年の世界のパソコン出荷台数は3億836万台。中国レノボ・グループ、米ヒューレット・パッカード(現HP)、米デルが市場の約半分を占める。富士通と東芝、VAIOの3社のシェアは約6%で世界6位の米アップル(6.3%)に迫る。

東芝のパソコン事業の売上高は14年度に6663億円だったが、白物家電などとともに赤字が続く。不適切会計問題が発覚した09年3月期から14年4~12月期のパソコン事業の利益水増し額は578億円にのぼり、事業の売却を含めた大幅リストラを検討していた。

一方、富士通はパソコン事業を来年春に分社すると10月下旬に発表済み。14年度に470万台だったパソコン出荷実績は15年度は420万台に減る見通し。2社の事業とVAIOを統合することで間接費の削減や部品調達の交渉力を高める。3社は統合に向けてリストラ素案を作成中。統合効果が乏しいと判断すれば、白紙に戻る可能性もある。』


パソコン市場の規模は、新聞などで報じされていますように、年々日本および世界で縮小しつつあります。

これは、スマートフォンやタブレット端末の急速普及で、Webサイト閲覧、インターネット通販、個人間のeメールやり取り、FacebookやTwitterなどのSNS活用などの用途が、パソコンを使わなくても可能になったことによります。

スマートフォンやタブレット端末は、ノートパソコン比べて小型軽量であること、販売価格が安いことなども、従来のパソコンユーザーがパソコンの代替品として使われるようになっています。

スマホやタブレット端末がパソコン機能をすべて代替して、完全に置き換わるとする見方もあります。

私は、現在ノートパソコンとスマホを公私目的で使用しています。タブレット端末をパソコンの代わりに使用できるかどうか試してみました。

かなり高性能のタブレット端末を購入して、パソコンで行っている文章作成、資料作り、Excelを活用した表計算などを行いました。

その結果、現行のタブレット端末では、ノートパソコンの機能を代替できないことを認識しました。とくに文字入力では、かなりのストレスを感じました。

そこで、文字入力や資料作成のために、別売りのキーボードを購入して、外出先でタブレット端末で何度か試しました。

その結果、タブレット端末とキーボードを持ち歩くことと、ノートパソコンを持ち歩くことは、重量や製品の大きさで比べると、同じになることを体験しました。

また、タブレット端末に装着するキーボードの使い勝手も、私の購入したものは、ノートパソコンのキーボードに比べると劣りました。

私個人の体験では、現状のタブレット端末とノートパソコンでは、使用目的が全く異なると認識しました。

今は、タブレット端末は自宅やオフィスで電子書籍を見る目的で使用しています。インターネットからの情報収集・検索や文章・資料作成などの行為は、すべてノートパソコンで行っています。

外出先での情報収集・検索やeメールなどの受信は、スマホで行っています。タブレット端末は持ち歩いていません。必要があるときは、ノートパソコンを持ち歩いています。

私の体験から感じることは、情報発信・テキスト情報作成・資料作成などの行為は、現時点ではノートパソコンの方がタブレット端末より優れています。

Webサイト上の情報収集・閲覧、営業目的で外出先での情報検索・顧客へのプレゼンテーション、簡単な情報入力作業などの使用用途は、ノートパソコンよりタブレット端末の方が優れています。

要は、上記しましたように現状ではノートパソコンとタブレット端末の使用目的・機能は異なるので、ノートパソコンの販売数量は下がってもニーズ自体がなくならないということです。

このようなノートパソコンの市場環境下で、国内パソコンメーカーの3社;東芝、富士通、VAIO
が事業統合することは、合理的なことです。

3社は、共にそれぞれ独自の技術とブランド力をもっています。この事業統合を成功させるためには、この技術力とブランドを単に3社合計の和にするのではなく、掛け算で最低でも9倍くらいのインパクトをもつ商品の開発・実用化が重要になります。

アップルのMacパソコン比べてそん色ない、デザイン、使用感などの人の官能をくすぐる付加価値も重要になります。ノートパソコンは、上記しましたように使用目的が、タブレット端末とは異なりますので、その使用目的に特化した商品の開発・実用化が重要であり、必要になります。

たとえば、パナソニックのレッツノートは、ビジネス用途に特化して、主に国内市場中心に販売しており、一定の売上を維持しています。

レッツノートの耐久性やキーボードの打ち易さなどが高評価につながっているようです。レッツノートのデザインは、Macに比べると率直に言って洗練されていませんが、一貫性をもったデザインが踏襲されています。レッツノートは、一定の差別化ができています。

もし、上記3社が事業統合して新しいノートパソコンの商品開発・実用化をするときに、世界市場の競合他社とどのように差別化していくのか、どのような潜在顧客に訴えていくのか、明確に見極める必要があります。上記しましたように、最低でも現行品に比べて、9倍のノートパソコンを商品化することを大いに期待します。

価格競争に陥らない用途を主戦場とし、かつ国内だけでなく世界市場でも着実に進化・発展するビジネスとすることを事業統合する新会社に期待します。

この視点から今後の3社による事業統合の動きについて、注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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