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日経記事;『ベトナム、対米輸出拠点に クラレ、縫製ライン増設/伊藤忠、織布生産を増強』に関する考察 [海外進出・海外移管]

                                                   2016年1月15日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

1月15日付の日経新聞に、『ベトナム、対米輸出拠点に クラレ、縫製ライン増設/伊藤忠、織布生産を増強』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『クラレ、伊藤忠商事など日本企業がベトナムで相次ぎ生産増強や販売強化に動いている。クラレは協力工場で7月に縫製ラインを増設。伊藤忠も生地工場の生産が拡大している。環太平洋経済連携協定(TPP)が発効すると、輸出入にかかる税負担が軽減される見通し。技術力の高いベトナムを拠点に対米輸出を増やす考えだ。

東レ子会社の蝶理もベトナムを縫製主力拠点に

クラレはベトナムでスポーツ衣料の縫製ラインを増設する。繊維事業子会社のクラレトレーディング(大阪市)が中部ダナン市の協力工場に縫製ラインを設ける。協力工場の負担分と合わせて3億円を投じる。

日本から輸出した生地をベトナムで縫製し、米国に輸出する。縫製品に占めるベトナム生産の比率は、現在の55%から7月以降に60%超に高まる見込み。将来は南部ホーチミン市近郊で織布や染色関連の数十億円規模の設備投資も検討する。

伊藤忠はTPPをにらみ、ベトナムに月50万メートルの織布生産能力を持つ生地工場を14年に設立した。同社はシャツを受託生産し、主な販売先は米国。能力は現在2倍に増強したが、TPP発効で対米輸出が増え、需要が拡大するとみている。需要増に対応し新たな設備投資も検討している。

東レもベトナムで縫製品の生産を拡大中。子会社の蝶理がホーチミンに現地法人を設け、米国などに縫製品を輸出する。東南アジアの縫製技術の指導役を集め、縫製の拠点としても育てる。綿紡績のシキボウは中国子会社の縫製工場を縮小し、ベトナムの協力工場での生産を増やす。近く協力工場で寝装品向けの織布の生産を始める。

バングラデシュやミャンマーより賃金は高いものの、ベトナムの縫製工の技術力は高い。日本製原糸をベトナムで縫製して輸出するモデルが定着すれば日本の繊維産業の復調を後押ししそうだ。

他の製造業にもベトナムでの増産の動きは広がっている。時計製造大手のリズム時計工業は中国で製造していた米国向けの腕時計や置き時計の完成品などの製造をベトナムの工場に順次移管する。現在、米国向けは時計の完成品で7%程度の関税がかかっている。

日本勢を含め外資のベトナム投資拡大が相次いでいるのは、中国の半分程度の人件費に加え、政府が規制緩和を推進しているためだ。TPPや東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体のほか、韓国や欧州連合(EU)とも貿易協定などを広げており、魅力が高まっている。

縫製業では中国、台湾、韓国からの投資が多く、縫製以外でも靴、革製品、農水産品がTPPの恩恵を受けると有望視されている。規制緩和では、15年に原則禁止してきた外国人の不動産所有を最長100年間認められ、最高49%だった上場企業への出資規制も撤廃された。』

最近、ベトナムに対する関心が高まっています。本日の記事は、ベトナムに対する関心が高まっている理由や背景について書いています。

私は、半年に1度くらいの頻度でハノイ市やホーチミン市を中心に訪問しています。半年に1度くらいの頻度でも、両市の変貌・発展していく様を実感しています。

ベトナムの魅力は、幾つかあります。私にとって最も魅力的なことは、ベトナムでは15歳から64歳までの生産年齢人口が増えていることです。

生産年齢人口の増加は二つの意味をもっています。一つは、製造工場などでの労働力確保が可能になることです。もう一つは、消費者市場の中核を担う中間所得層が成立することです。

何度か本ブログ・コラムで書いていますように、電気電子機器や自動車関連機器などの日本の製造事業者は、約50年以上継続してタイに投資してきました。タイの政情が他のアセアン諸国に比べて安定していること、親日的、生産年齢人口が増加していたことなどが主な理由になります。

その結果、タイはアセアン地域で有数の産業集積した国になりました。バンコク周辺の工場団地では、日本の東京や大阪などと同じように、6次下請けの事業構造が構成されるようになりました。

タイの軍事政権設立後、一般的に経済状況は以前ほど活発になっていませんが、現時点でも失業率はほとんどゼロに近い状況になっています。

また、タイの生産年齢人口は、2015年ころをピークに今後減少していきます。さらに、タイの労働者賃金も、シンガポールやマレーシアほどではないですが、高くなっています。

つまり、タイはアセアンの中で製造業を中心した高度経済成長が終わりつつあり、安定した消費者市場になりつつあることを示しています。

一つの例として、タイから日本への観光客数が増えていることは、中間所得層の購買力が増えていることを示しています。

アセアン域内では、ベトナム、フィリピン、インドネシアが第2のタイを目指しています。日本や欧米からの投資を呼び込んで、産業基盤を育成強化しようとしています。

これらの3カ国の中で、トップを走っているのがベトナムです。ベトナムの港湾施設や鉄道・道路などの社会インフラが、比較的整備されつつあることも理由の一つになります。

さらに、ベトナムが一歩抜きん出たのはTPPに参加したことです。ベトナムは、社会主義国です。中国ほどではありませんが、社会主義国特有の問題を抱えています。その一つとして、役人から要求される賄賂があります。

ベトナム政府は、この問題の深刻さを理解しており、賄賂撲滅の動きをかけていますが、実体はあまり以前と変わっていないのが実情です。

しかし、TPPが日本や米国で批准されて実行されるようになると、ベトナム内の経済・ビジネス活動の透明性が増すことになりますので、徐々に役人からの賄賂要求の頻度減少が期待できます。

ベトナムでは、外資に対する規制が存在していますが、TPPが実施されると規制緩和が進みます。本日の記事によると、「15年に原則禁止してきた外国人の不動産所有を最長100年間認められ、最高49%だった上場企業への出資規制も撤廃された」とあります。

ベトナムは、タイが歩んだのと同じような道を歩くことになります。現時点では、中国の50%程度とされる労働者賃金もいずれ上昇していきます。

同時に、ベトナムで失業率が減少し、多くの労働者の賃金が上昇すると、今のタイ以上の消費者市場が形成されるようになります。

今後、アセアン域内あるいはバングラデシュなどの近隣諸国で、事業展開するときは生産年齢人口の動き、今までのアセアン諸国の経済的変化や、アセアン経済統合の効果・影響、TPPを含めた各種の自由貿易協定(FTA)、社会インフラ整備状況などの情報を事前に入手・分析して、しっかりとした行動計画を作成して、実行することが重要になります。

今後のアセアンの動きについて、引き続き注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『東南アで広がる調達網 共同体発足先取り イオンがPB商品を国境越え流通。。。』に関する考察 [海外進出・海外移管]

                                              2015年12月17日

皆様、
おはようございます。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

12月17日付の日経新聞に、『東南アで広がる調達網 共同体発足先取り イオンがPB商品を国境越え流通 矢崎総業は車部品タイ・カンボジア間で』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『東南アジア諸国連合(ASEAN)地域で商品や部品を国境を越えて融通する動きが広がっている。イオンはタイとマレーシアで開発するプライベートブランド(PB=自主企画)商品を域内に広く投入。製造業では人件費格差などを踏まえた分業が進む。12月31日のASEAN経済共同体(AEC)発足を先取りし、企業の調達網が広がりを見せている。

東南アの中間層の需要は均質化が進む(クアラルンプールのイオン店舗)

イオンは2016年1月、カンボジアにあるショッピングモール「イオンモールプノンペン」でPB「トップバリュ」の魚醤(ぎょしょう)を売り出す。商品づくりを担うグループ会社、イオントップバリュタイランドが開発した。タイの提携工場で生産し、カンボジアに持ち込む。

開発会社はマレーシアにもあり、2社で域内共通のPB商品を生み出す。イオングループのアセアン地域本社の鷲沢忍社長は「文化は違っても、中間層の消費ニーズは域内で均質化している」と話す。域内どこでも売れるならスケールメリットで採算もよくなる。

これまでにカンボジア製の日傘(ベトナム、タイ、カンボジアで販売)やベトナム産コーヒー(同)などを発売。ベトナム製の蚊帳は同じ3カ国のほかマレーシアでも近く売り出す。

タイ製の魚醤はマレーシア政府系の認証機関からイスラム教の戒律に沿った「ハラル認証」も受けた。タイ発のPBで初の試みだ。生産を任せる提携工場も域内で開拓し、調達網を充実させる。

ただ、なお障害はある。ASEAN各国では関税の撤廃と引き換えに「特別税」などの名目で別の税を課す事例や、通関当局が輸入免許を出し渋るなど保護主義的な動きが相次ぐ。食品の安全基準なども国ごとにバラバラだ。イオンがタイ製の魚醤をまずカンボジアで売る背景にもタイ独自の規制の存在がある。

自動車などの製造業では部品調達のサプライチェーン(供給網)も国境を越えて拡大している。

タイ国境に接するカンボジアのコッコン。自動車部品大手の矢崎総業はこの地でワイヤハーネス(組み電線)をフル生産する。タイで調達した電線やテープなどの部材を輸入し、コッコンで完成品に仕上げてタイに戻す。往復型の供給網だ。

タイとの間を24時間おきにトラックが走る。完成品をタイに戻すのにも関税はかからない。AECの枠組みで規定された免税の取り決めの適用を受けている。矢崎は人件費が一般にタイの3分の1とされるカンボジアをサプライチェーンに組み込み、生産に人手が欠かせないワイヤハーネスの競争力を高めた。

コッコンの工場長はタイ人で、技術指導なども原則タイ人が担う。現地法人で生産を統括する植松賢二氏は「タイで育てた人材を生かし、隣接国と連携して、タイ単独で生産する以上の恩恵を得ている」と話す。

関税免除の恩典を受けるには、煩雑な通関手続きに対処する必要がある。タイ国内にあるかのようにコッコン工場とタイがボーダーレスにつながるのはまだ先だ。それでも矢崎をはじめ、トヨタ紡織や三菱マテリアルなどの日系企業は生産分業を実践し始めている。』


アセアンの経済統合(AEC)は、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、2015年12月31日に発足します。

今回の統合の目玉は、アセアン域内の関税撤廃です。すでにアセアン域内の関税は、基本的には低くなっていますので、AECの発足はそれを組織的に確実なものにすることになります。

AECは、関税撤廃だけでなく、加盟している10カ国が物品・サービスの貿易や資本、ヒトの移動の自由化などを進める包括的な経済連携です。

しかし、現時点ではこのAECの基本方針は、12月31日時点では完全履行されません。各国の経済状況や政治状況が異なりますので、一朝一夕に実行することが困難であることによります。

本日の記事は、AEC発足後のアセアン域内での製造業に関するビジネスの流れや方向性について書いています。この流れは、AEC発足とは無関係にすでに定着化しつつあります。

日系企業は、電気電子機器や自動車関連を中心に、約50年に渡ってタイに継続的に投資してきました。

その結果、バンコク周辺の工場団地では、多くの日系製造事業者が集積しており、日本の東京や大阪などと同じように高度な産業集積が出来上がりました。

タイでは、軍事政権発足後若干の経済不況にありますが、タイでの失業率はほとんどゼロの状態が続いています。

また、タイでは15歳から64歳までの生産年齢人口層が2015年くらいをピークに、今後減少していきます。タイの労働者賃金も上昇し続けています。つまり、タイは通常製品の分野でアセアン域内で成熟した工業立国になりつつあります。

飲食などのサービス業でも、タイの人手不足の問題に直面しており、周辺国のカンボジアやラオスなどから従業員を確保する動きが加速しています。

本日の記事にありますように、タイを中心に製造業分野で、製造分業が加速しています。港湾、鉄道、道路網などの社会インフラ整備・強化もモノの移動を可能しています。

今後は、ベトナムやインドネシアなどでも、製造分業の動きが加速するとみています。AEC発足は、モノの移動を加速させる効果があります。

現在多くの日系企業が、ベトナムへの投資を加速させています。ベトナムでは、タイヤマレーシアなどと比べて、まだ労働力確保が容易なことと、労働者賃金が相対的に低いことによります。

労働者賃金に関しては、ベトナムでも毎年二けた上昇していますので、そう遠くない時期に業界によっては採算が合わない事態になる可能性があります。

このときには、ベトナムが現在のタイと同じように、製造業のハブになる可能性があります。同時に、ベトナムは日本、シンガポール、マレーシアと共にTPPに参加しています。

TPPが各国で批准されて発足後は、ベトナムのアセアン域内での製造業分野での位置付けも変化していきます。基本的には、ベトナムの重要性が増すとみています。

タイは、上記しましたように、ほぼ完全雇用の状態で労働者賃金が一定水準になっていますので、大きな中間所得層が出来上がっており、消費者市場としての魅力があります。

今後、中小企業がアセアン域内でビジネスするときは、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどの経済状況などを総合的に情報収集・分析を行って、決定・実施することが重要になります。

たとえば、製造拠点は、工業団地から土地や建物を借りて設立して、経済や政治状況などに変化があった場合、柔軟かつ迅速に製造拠点を移動しやすくしておく工夫も必要になります。

今後、アセアン域内でビジネスする中小企業は、販路開拓・集客を確実に行える事業環境を整備・強化しつつ、投資活動はリスクを最小化するような方策で計画作成・実行することが重要であり、必要になります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『世界の工場 中国に陰り 神鋼,投資を延期 ダイキン,国内回帰 労働コスト 日本超す』に関する考察 [海外進出・海外移管]

                                                2015年12月6日

皆様、
こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

12月6日付の日経新聞に、『世界の工場 中国に陰り 神鋼,投資を延期 ダイキン,国内回帰 労働コスト 日本超す』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『「世界の工場」と呼ばれる製造業の拠点である中国の地位に陰りが見えている。神戸製鋼所は米国で自動車部品の増産投資を決める一方、中国での投資を延期。

カジュアル衣料大手のアダストリアは生産の中国比率を9割から7割に引き下げる。中国市場の成長鈍化が影響しているほか、人件費の上昇も影を落とす。

表面的な人件費に労働生産性も加味した「単位労働コスト(総合・経済面きょうのことば)」では日本との逆転現象も起き、日本企業の国内回帰も広がりつつある。

神戸製鋼は衝撃を吸収するサスペンションに使うアルミ鍛造部品の増産投資を延期する。当初は今年秋に生産能力を4割高める計画だったのを1年程度延期しており、さらに先に延ばすという。中国の新車市場の成長が鈍化傾向にあるためだ。

一方、新車市場が堅調な米国では、同じ部品で約70億円を投じて生産能力を8割高める。

2014年まで中国市場が急拡大したスマートフォン(スマホ)も飽和感が強まり、関連企業に影響が出ている。スマホ部品の精密加工などに使う小型旋盤大手のツガミは中国で月1500台の生産能力を持ち、今春は月800台程度を生産していたが、足元は300~400台にとどまる。

人件費の上昇を受けて中国生産比率を引き下げる動きもある。「グローバルワーク」などのブランドを持つアダストリアは、今後5年以内に9割から7割に下げる。

代わりにベトナムなど東南アジアを1割から3割に高める。日本への輸送コストは膨らむが、人件費の抑制で全体のコストは1割下がるという。

衣料品国内最大手のファーストリテイリングはかつて9割以上だった中国比率がすでに6~7割に低下したとみられる。

日本国内に生産を切り替える動きも広がる。ダイキン工業は家庭用エアコンの中国での生産を今年度は前年度比約2割、15万台減らし、滋賀製作所(滋賀県草津市)の生産を同20万台増の100万台に引き上げる。

中国などアジア生産を拡大してきたTDKは、日本との人件費の差の縮小を受けて「新たに人件費が安い地域を探すよりも、国内生産で競争力を高める」(上釜健宏社長)という方針に転換。本荘工場(秋田県由利本荘市)などに新しい製造棟を建設している。

中国の人件費は年1割程度の上昇が続き、日本貿易振興機構によると工員の平均月給は北京が566ドル(約7万円)、上海が474ドルとなった。2千ドル超の日本を大きく下回るが、生産性も加味した単位労働コストで比べると様相は変わる。

SMBC日興証券の試算では、日中のドル建ての単位労働コストは1995年時点では日本が中国の3倍以上だった。ところが、その差は次第に縮小し13年に中国が日本を逆転。14年は中国が日本を引き離している。

第2次安倍政権の発足後、人民元に対して約4割の円安が進んだことも背景にある。同証券の渡辺浩志シニアエコノミストは「労働者の高い生産性が求められる高付加価値品ほど日本での生産が有利になる」と指摘する。

日中の労働コストは当面、再逆転しないとの見方が多い。第一生命経済研究所の星野卓也エコノミストは「円高が日本の労働コストを押し上げても中国の賃金上昇の影響が上回る」とみている。


中小企業庁が、毎年発行している中小企業白書の中に、国内製造事業者が海外投資を行うパターンや目的などの変化を経時的変化でとらえた内容がありました。

その調査結果によると、多くの中小製造事業者は、新規に工場建設を中国やアセアン地域などで行う場合、当初は低賃金の労働コスト確保を最優先に考えます。製造コスト削減が海外に工場建設するときの最優先課題になることによります。

そのあと、当該地域あるいは国に多くの製造企業が工場建設すると、多数の就労機会が生まれて、一般的には労働者賃金が上昇していきます。

多数の就労機会が生まれ、かつ、労働者賃金が上昇すれば、当該地域あるいはその国の経済状況が活性化していきます。

たとえば、タイでは過去50年くらいの間多くの製造企業が連続して投資してきた結果、日本の東京や大阪などと同じような産業集積が実現されています。

その結果、タイでは失業率が極めて低くなり、ほとんど失業がない状態になっています。現在、軍事政権発足後、タイ経済は不調になっていますが、失業率は高くなっていません。

労働者賃金も一定率で毎年上昇しています。

現在、タイに低い労働者賃金を求めて、新規に工場建設する国内企業はいません。アセアン域内で、低い労働者賃金を求めて国内企業が進出しているのは、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ミャンマーなどです。

しかし、ベトナム、フィリピン、インドネシアでも、毎年二けたで労働者賃金が上昇していますので、将来、タイや中国のように低い労働者賃金確保が困難になるのは確実です。

現在のタイは、2015年ころから15歳から64歳までの生産年齢人口が日本と同じように減少していきます。

つまり、タイは労働者賃金と労働力確保の両面から、新規に工場建設する対象国ではなくなっています。

代わりに、タイの魅力は、比較的高い労働者賃金を確保できている生産年齢人口層が構成する中間所得層です。

タイの中間所得層は、消費意欲が旺盛であり、日本への観光客数も伸びています。つまり、現在のタイは、消費者市場としての魅力になります。

中国もタイと同じ状況になります。中国の労働者賃金も毎年上昇していますし、一人っ子政策の影響で生産年齢人口も日本と同じように今後大幅に減少していくと予想されています。

中国の魅力は、タイと同じように今後消費者市場としての魅力になります。中国は、巨大市場ですので、国内製造企業が工場建設などの進出目的は、当該市場の大きな需要獲得になります。

ここで上記しました中小企業白書に戻りますと、製造企業の進出目的は、低い労働者賃金確保から消費者市場確保のための工場建設であり、販路開拓になります。

アセアン域内でみますと、ベトナム、フィリピン、インドネシアの将来は、タイと同じになります。

そこで、中小製造事業者は、新規に工場建設するときに、進出先の現状と将来を予想して、しっかりとした事業計画(行動計画)を作って、自前の販路開拓を行っておくことが重要になります。

工場建設地域や国の事業環境が変化しても、事前に撤退や工場移管の行動計画を作っておき、環境が変化したら迷わずに実行することが必要であり、重要になります。

海外に工場建設した中小製造事業者にとって重要なことは、自前の販路開拓を海外進出前から入念に行うことになります。自前の販路をもっていれば、どこに工場をもっていても検討して行動しやすい状況になります。

販路開拓は、代理店、販売会社を活用したり、インターネット通販を含めて直販体制を確立するなどのやり方があります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


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日経記事;『「6億人市場」へ一歩 ASEAN経済共同体が来月発足 サービス自由化など遅れも』に関する考察 [海外進出・海外移管]

                                             2015年11月23日

皆様、
こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

11月23日付の日経新聞に、『「6億人市場」へ一歩 ASEAN経済共同体が来月発足 サービス自由化など遅れも』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『12月末に発足する東南アジア諸国連合(ASEAN)経済共同体(AEC)はすでに高水準の関税自由化を進めてきた。6億人の人口を抱えるASEAN域内で、経済発展の度合いに応じて生産工程の水平分業が進めば、「世界の工場」の新たなエンジンになるとの期待が高まる。一方でサービス分野などの自由化は遅々として進まず「見切り発車」も否めない。

22日にクアラルンプールで開いた署名式典。今年のASEAN議長国であるマレーシアのナジブ首相は、列席した安倍晋三首相や中国の李克強首相を前に「ASEAN発足から48年を経て、歴史的で最も重要な瞬間を迎えた」と胸を張った。

AECの最大の成果はモノの自由化だ。タイやシンガポールなど先発6カ国間ではすでに99%の品目の関税がゼロだ。カンボジアなど後発4カ国も18年までにほぼ撤廃する計画で、多くの企業が恩恵を受けている。

ただし抜け道もある。各国内の非関税障壁の存在だ。AECではその撤廃も掲げるが、現実にはインドネシアが鉄鋼製品への反ダンピング課税を発動するなど、新たに導入する事例がみられる。

理想と現実の乖離(かいり)は、発足時点での達成が先送りとなったヒトの移動やサービス分野の自由化も同様だ。

熟練労働者の移動自由化は建築士や医師などの8分野を対象とするが適用事例はまだない。物流などサービス分野で70%以上の外資出資を認める方針だが、複数の加盟国が同意していない。

欧州連合(EU)と違いAECの合意事項の実施は各国に委ねられ、法的拘束力がない。また1人あたり国内総生産(GDP)で首位のシンガポールと最下位のカンボジアの差が50倍超あるように、域内格差が取り組み遅れの一因となっている。

AEC構想は1997年のアジア通貨危機や、中国・インドの台頭への危機感から浮上した。外資の目を引くため「単一の市場・生産基地」など規模のメリットを前面に打ち出したが、各国の経済成長で外資の注目が高まったがゆえに、逆に保護主義的な考え方が強まっている面がある。

環太平洋経済連携協定(TPP)のようなより自由化度合いの高い自由貿易圏の枠組みが始動する中で、ASEANの経済統合は後戻りが許されない状況にある。日本貿易振興機構の助川成也・東南アジア事業推進主幹は「TPPなど広域の自由貿易圏構想の進展がAECの進化へ背中を押すだろう」とみている。』

以前から、ASEANでは、経済共同体(AEC)の発足を2015年末までに行うことを計画・発表してきました。本日の記事は、ASEANが最終的にAECの署名を12月31日に行うことを公式表明しました。

ASEAN域内では、タイやシンガポールなどの先進国を中心に、製造品を主対象にして域内の輸出入関税が9割超の品目ですでに撤廃されています。

当初の計画では、サービス事業も関税撤廃の対象であり、サービス事業への進出も自由化されることになっていました。

しかし、各国は自国の現地企業を海外企業との競争から守るため、対象128業種で外資の出資比率70%以上を認める計画が先送りされました。また、製造品についても、インドネシアなどでは自国の現地企業を守る規制が撤廃されません。

AECの全体のトーンは、当初計画より後退した印象をもっています。しかし、ASEANが自分たちの意思としてAECを発足させる計画を実行することに大きな意義があります。

これは、ASEANの熟成を意味していることによります。政治が安定して、経済が着実に発展・拡大できる土壌が出来上がりつつあることを示しています。

確かに、ASEAN域内では先進国のシンガポールと発展途上国のカンボジアの間では、GDPの差が50倍以上あり、国家間の経済規模や状況は大きく異なります。

一方、タイの発展が周辺国のカンボジアやミャンマーなどを潤しつつある現況もあります。ASEAN域内の、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシアの経済が発展すれば、ASEAN全体が経済発展することになります。

国内企業が約50年間継続的に投資してきた結果、タイの経済発展は揺るぎないものになっています。現在の軍事政権下での経済状況は、しょうしょう不安定になっていますが、ほとんど失業率がゼロに近い水準である状態が続いています。

タイは、製造事業の投資対象国というよりは、サービス業や飲食業などの第三次産業の投資対象国となっており、大きく発展した中間所得層の潜在需要獲得がポイントになっています。

ベトナムは、インドネシアやフィリピンとともに、第2のタイを目指しています。この中で、現在国内企業が投資対象国としてもっとも高い関心を示しているのが、ベトナムです。

製造事業の観点からみますと、ベトナム人の勤勉さ、手先の器用さ、比較的低い労働者賃金などは魅力になっています。

しかし、このベトナムでさえ、まだ官僚の汚職は明確に残っており、国内企業にとってわいろを要求された場合の対処の仕方は難しいものになっています。ベトナムで汚職が多い原因の一つが、公務員の低賃金にあると言われています。

ベトナムが経済発展して、国全体が豊かになり公務員の給与が上がれば、汚職の頻度も減少するとみています。

最近、大枠合意したTPPに対して、ベトナムは同じASEAN域内のシンガポール、マレーシア、ブルネイとともに参加しています。

ベトナムがTPPで規定された枠組みで経済活動を行うことは、必然的に公務員の汚職行為に対する規制も強化されます。ベトナムがTPP効果もあって、さらに安定した政治状況下で経済発展すれば、確実に第2のタイになれます。

多くの国内企業は、ASEAN域内で活発に事業展開しています。今後、新規参入や事業の多様化を考えている国内企業は、ASEANの今と将来をしっかりと見据えて、情報収集・分析と計画作成して実行することが肝要です。

ASEANでの事業展開は活発化していますが、「隣の芝生が青く見える」的な発想で安易に新規投資を行うと失敗するリスクが高くなります。

まずは、代理店(Representative)や販売会社を確実に確保して、集客や販路開拓をしっかりと行って、安定した売上が確保できるようになってから、工場建設や自前の販売会社設立などの新規投資を行うやり方が、上記リスクを低く抑えることにつながります。

海外展開には、失敗リスクを低減化させるやり方があります。リスクをゼロにはできませんが、ASEANでの事業展開はそのやり方に従って行うことが重要であり、必要です。

計画作成は、大胆かつ詳細に、行動は慎重かつ迅速に行うことが重要です。ASEANは魅力的な地域ですが、実際のビジネスには多くのリスクを伴いますので、足が地についた事業活動を行うことが必要です。

私の支援先企業には、このようにしてASEANでの事業展開を行ってもらっています。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『車部品、自動生産を加速 ヨロズ、米新工場に140億円 ノウハウを新興国に移植』に関する考察 [海外進出・海外移管]

                                             2015年10月11日

皆様、
おはようございます。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

10月11日付の日経新聞に、『車部品、自動生産を加速 ヨロズ、米新工場に140億円 ノウハウを新興国に移植』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『自動車部品メーカーが日米で生産ラインの大幅な自動化を進める。大手のヨロズは140億円で米南部アラバマ州にサスペンション製品の工場を新設し、材料などを自動で運ぶ装置を大量導入する。

エンジン部品のケーヒンや車体部品のジーテクトは、日本で製造ロボットの設置を増やす。人件費を抑えるとともに、生産効率の高い最新工場のモデルを確立して新興国に順次展開する。

ヨロズは部品の組み立てロボットの開発を進めている。

ヨロズの工場は米国で2カ所目となる。2016年初めに着工し、17年夏から車体とタイヤ部分をつなぐ足回り部品のサスペンションを作る。

主要取引先の日産自動車のほか、周辺のトヨタ自動車やホンダ、独ダイムラーなどの工場に納入を目指す。20年度に135億円の年間売上高を目指す。米新車市場が景気回復で10年ぶりの規模に広がるなか、自動車メーカーからの受注が増え、テネシー州の既存工場では手狭になっていた。

無人搬送機(AGV)や組み立てロボットなど自動化装備を多数導入するため、部品工場としては高水準の140億円という投資規模になる。

従来は人手をかけていた生産ラインに部材を運んで設置する作業を、全て自動化する。テネシー州の工場より、従業員1人あたりの生産性が単純計算で約8割高まるという。

日本の自動車部品工場でも自動化を進めた生産ラインの開発が相次ぐ。

ケーヒンは15年度中にも、部品の組み立てや完成した製品の目視検査を自動化したラインを国内工場で稼働する。機械式の部品供給装置や、カメラや重量センサー付きロボットを組み合わせ、従来6人必要だった工程を1人で担当できるようにする。ラインの長さも1割程度短くできる。

ジーテクトは車体部品の溶接時に、必要な部品を正確な位置にセットするロボットを開発した。人手に頼りがちだった位置決めをカメラで判断する。年内にも国内工場の一部に導入する。

日本の部品メーカーは完成車メーカーに合わせて工場を海外展開してきた。以前は人件費の安かった中国やタイなどの新興国も経済成長で人件費が上昇し、多くの部品メーカーにとって悩みの種となっている。

ヨロズは米国の新工場を高効率工場の最新モデルと位置づけ、他国の工場に自動生産のノウハウを提供する。

ケーヒンやジーテクトも、日本の主力工場を新製品や自動化設備の開発拠点と位置づける。今後、新興国工場にノウハウを移植した際に使用料などの収入も得る。

人口が減少傾向にある日本の新車市場は拡大が見込みにくい。部品各社は他国の工場へ生産技術を供給する拠点として国内工場の活路を見いだす。』


現在多くの中小を含む製造事業者が、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどのアセアン地域で工場建設を進めています。

工場建設を進めている理由は、日本や中国に比べて安い労働者賃金と、消費者市場に隣接して需要に柔軟に対応できる事業環境確保などになります。

タイは、数年前まで国内製造事業者が最も投資していた対象国でした。しかし、最近、失業率がゼロに近い状態にあり、また、労働者賃金も高騰していることから、新規工場投資は大幅に減少しています。

代わりに、ベトナム、インドネシア、フィリピンなどの、相対的に労働者賃金が低い国に対する新規工場建設の投資が増えています。

しかし、多くの製造事業者は、これらの国々でも、将来は労働者賃金が高くなることを理解しておく必要があります。たとえば、インドネシアは社会の安定を維持するため、意図的に労働者賃金を高くする政策をとっています。

衣料や皮革製品などの労働集約型産業の場合、ベトナム、インドネシアなどの労働者賃金では採算確保が難しいため、より安いミャンマーやバングラデシュなどの国への投資を増やしています。

労働者賃金が高くなることは、今のタイのように中間所得層が拡大して、消費者市場が形成されますので、大きなメリットになります。

製造事業者の視点からは、一般的に労働者賃金が高くなった国は一般的に工場建設・運営の面で魅力がありません。

アセアン地域が発展してくると、必然的に労働者賃金が高くなります。製造事業者は、高くなる労働コストの課題を克服しないと、当該地域で工場運営の維持が将来的には難しくなります。

労働コストを低減化させるやり方の一つが工場の自動化です。日本では、ファナックやキャノンなどの大手製造事業者が、すでに工場の自動化を行っており、日本で製造された製品を海外に輸出するビジネスモデルの構築・維持に成功しています。

本日の記事は、車部品メーカーが工場の自動化を実行していることについて書いています。ヨロズは、多くの自動車メーカーが工場を稼働している米国内に自動化工場を建設・稼働しようとしています。

ケーヒンやジーテクトは、日本国内の工場を自動化する動きを加速させています。日本は、少子化で労働者不足が今後顕著になってきますので、工場の自動化は、日本で工場を稼働させるには、極めて有効な手段となります。

中小製造事業者も、創意工夫することで、巨額投資なしに工場の半自動化や自動化を実現することが可能になっています。

仮にある程度大きな投資になっても、半自動を含む高効率な自動化工場を安定して運営ができれば、投資回収を行うことが可能です。

さらに、この自動化工場を市場の需要に柔軟に対応させる工夫も必要です。取引先となる部材メーカーや販売先などとインターネットやITをフル活用して、受発注数量と最適な生産・在庫数量
などを算出できる仕組み作りも構築・運営する必要があります。

工場自体の自動化だけでなく、工場周辺の事業環境も機械化・自動化する工夫が必要です。インターネットやITの活用がポイントになります。

私の知っている中小の製造事業者の中に、工場の半自動化を進めながら、関連取引先とグループウエアを共同使用することで、市場の環境に合わせて、材料手配数量、納入時期、工場からの出荷数量や時期などを機械的に処理するシステムを構築・維持している企業があります。

このやり方は、多くの大手製造事業者ですでに採用されています。工場の自動化と合わせて行うことで、さらに大きなメリットを生みだします。

インターネットやITの進化やハードウェアの高度化は、投資コストを低減化させており、中小の製造事業者にも工場の自動化や、周辺事業者との高効率な運営システムの構築・維持を可能にしつつあります。

IoT対応も含めて、多くの製造事業者は工場や周辺事業環境の自動化・機械化を考える時期に来ていると感じています。

競争力のある部品・機器を提供できる製造事業者は、多少の投資をしても、高効率に製造・供給できる仕組みをもっていれば、投資回収は確実に行えます。

TPPの大枠合意は、今後、アメリカを中心としたビジネスに追い風になる可能性があります。加えて、メキシコやカナダは、TPP加盟国としてだけでなく、アメリカと自由貿易協定(FTA)を結んでいます。

ベトナムは、TPP加盟国です。TPPが批准されば、アメリカ、メキシコ、カナダなどとの貿易障壁が低くなります。

当面、上記しましたようにベトナムへの投資が加速するとみています。ベトナムで工場を作る場合、将来的には労働者賃金が高騰することも見据えて、工場を移転するか、あるいは自動化対応なども考えておく必要があります。

今後、中小の製造事業者は、アセアンや中南米などの海外に工場を作る場合、アセアンの経済統合、TPP、FTAなどのビジネス的な環境と、インターネットやITの進化や機械の高度化などを見据えた工場の自動化などを総合的に勘案して、柔軟に対応する創意・工夫が必要になります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『タイ、車輸出120万台へ ASEAN自動車編「アジアの工場」競争力を磨く 昨年 世界10位の拠点』考察 [海外進出・海外移管]

                                              2015年9月18日

皆様、
こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

9月18日付の日経新聞に、『タイ、車輸出120万台へ ASEAN自動車編「アジアの工場」競争力を磨く 昨年 世界10位の拠点』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『世界経済をけん引するアジア。中国の景気減速や世界的な株安で先行きに不透明感が漂うが、中間層の拡大が続く有望市場であることに変わりはない。そんな成長エンジンのアジアビジネスを業界ごとに分析する「Asia Biz MAP」。初回は東南アジア諸国連合(ASEAN)の自動車編。

タイ中部アユタヤ県。自動車用空調部品を作る日系部品工場の一角はひっそりしていた。「タイ国内向けのラインは稼働率が落ちている」と担当者。フル操業の輸出向け中心のラインとの違いが鮮明だ。

7月まで27カ月連続で新車販売が前年実績を下回ったタイ。トヨタ自動車が同国でのハイブリッド車の生産を一時休止するなど、前政権の消費奨励策のツケが自動車業界にのしかかる。

通勤ラッシュでごった返すミャンマー最大都市ヤンゴン。大通り沿いでは建設中の新車販売店が目に付く。マツダなどの販売代理店を展開する香港財閥系企業の担当者は「不動産で財を成した富裕層を中心に顧客が増えている」とビジネスの先行きに自信を見せる。

明暗を分けるASEAN新車市場。それでもスズキが5月にインドネシアで新工場を稼働するなど、自動車各社は今後の成長を見越した投資を続ける。米調査会社IHSオートモーティブによると、2014年のタイなど主要5カ国の生産台数は385万台。20年には528万台に拡大すると予測する。

内需不振の現地工場の頼みの綱は輸出だ。中でも1970年代から乗用と商用を兼ねる1トンピックアップトラックの物品税を優遇することで、自動車メーカーの投資を呼び込み、自動車産業を集積させたタイの存在感が高まる。

タイ東部に位置するトヨタ自動車のゲートウェイ第1工場。小型車「ヤリス(日本名ヴィッツ)」や「ヴィオス」が次々と流れる。ASEAN域内に加え、オーストラリアや中東、欧州など世界100カ国以上に供給する。マツダもオーストラリアや英国向けに14年秋から順次輸出を始めた小型車「マツダ2」(日本名デミオ)が好調で、今年の輸出台数は14年比で2倍超の見通しだ。

タイの自動車輸出台数は14年に112万台で、世界10位。今年は120万台と、日本の約4分の1の規模に膨らむ。07年にはタイ政府が欧州の厳しい環境規制に対応するエコカー生産優遇策を策定、「輸出車種や仕向け地の幅が広がっている」(浜銀総合研究所の深尾三四郎主任研究員)。事実、14年の輸出先は4分の3がアジア域外だ。

今年末にはASEAN経済共同体(AEC)が発足し、域内でのモノのやり取りがよりスムーズになる。2200社の部品メーカーが集積するタイで完成車を集中生産し、域内外に輸出する流れが強まる公算が大きい。

ただ、アジアではインドも欧州向けを中心に輸出台数を増やしている。タイが輸出競争力を一段と磨くにはエンジニアの育成や開発能力の強化が欠かせない。自動車各社がどこまで現地化を進められるかが焦点になる。』


本日の記事は、タイの自動車輸出の状況について書いています。タイの自動車産業は、トヨタ自動車などの日系自動車メーカーが長期間投資を行ってきた歴史になります。

本ブログ・コラムでは、国内企業が今後ASEANに対して事業展開するときに、ASEANの今後の動きをみるやり方(視点のもちかた)などについて述べます。

日系自動車メーカーの長期間投資の結果、タイには国内と同じような多数の中小企業を含む産業集積が実現しました。

タイには、自動車と共に電気電子機器についても、日系電気電子機器メーカーの長期間投資の結果、国内と同じような産業集積が構築されています。

タイは、このような産業集積に加えて、経済規模と人口数から現時点ではASEAN内の中核国家となっています。ASEAN域内自体の経済は、有望な輸出先であった中国の経済不調による輸入減少で、一時期の絶好調状態ではありませんが、総じて堅調に推移しているとみます。タイ経済もASEAN全体と同じように堅調に推移すると考えます。

タイの自動車産業については、本日の記事にありますように、ASEAN域内の需要が落ち込んでも、欧州やオーストラリア向けなどの需要が伸びているため、輸出事業は伸びています。

タイでは、最近バンコク市内で発生した爆弾騒ぎや軍事政権の長期化などの不安定要因がありますが、総じて短期間には現在の中核国家としての位置づけは変わらないと考えます。

現在のタイは、中間所得層の厚みが増して、タイの国内経済を活性化させるだけでなく、日本などへの観光客が増加し、周辺国を潤しています。

しかし、このタイについても、今後、人口減少や中間所得層の中核である15歳から64歳までの生産年齢人口の減少という厳しい状況に直面します。

生産年齢人口減少は、働き手の減少と経済規模の縮小の問題に直面します。タイが今後とも経済発展をしていくためには、この二つの問題解決を考え・実行する必要があります。

ASEANは、2015年末までに経済統合して、ASEAN経済共同体(AEC)を発足させることになっています。この経済統合が実現すると、基本的に域内の関税が撤廃されますので、物流費を考えなければモノの移動を自由に行えるようになります。

タイは、カンボジアなどの周辺国との連携を強化して、不足する労働力確保などを実現しつつあります。AECの発足はその動きを加速させることは確実です。

自動車や電気電子機器の製造に関しては、タイやベトナム、インドネシア、フィリピンなどの国との間で、分業を行って対応する動きが出ており、今後拡大することは確実です。

ベトナムは、TPP交渉参加国です。TPPが成立すると、タイはベトナムを経由することで、TPP参加国とのビジネスを拡大できることになります。

タイは、同時に自国の産業構造をより、高度化する必要があります。これは、労働者賃金の高騰と、労働者不足から現行の事業構造を維持できなくなる可能性が高くなることによります。

タイの学生や労働者の能力は、決して低くありません。しかし、大学や高校でのカリキュラムが最新のものではないことなどにより、既存産業構造を医療、バイオ、環境、エネルギー、ITなどへの高度化や多様化するときに、専門人材の不足問題に直面しています。

この問題は、学校カリキュラムの改善、学生・勤労者の再教育などを行うことで解決できます。すでに複数の日系企業がこの潜在需要を満たすべく動きを活発化させています。

このように、タイ一国だけみてもASEAN域内外について多面的に情報収集して、十分に検討・考察して行動計画を立てる必要があります。

日系企業が海外で販路開拓や工場建設などの投資を行う場合、ASEANは有望な地域であることは間違いありません。

ASEAN域内での事業展開前に、上記しましたように、多面的に情報収集して、十分に検討・考察して行動計画を立てることが有効であり、必要です。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『マツダ、タイでエンジン生産 海外初の一貫拠点 』に関する考察 [海外進出・海外移管]

             2015年8月8日

皆様、

こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

8月8日付の日経新聞に、『マツダ、タイでエンジン生産 海外初の一貫拠点 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は、以下の通りです。

『マツダは7日、タイで10月にエンジンの現地生産を始めると発表した。まず排気量1500ccのディーゼルエンジンを生産する。当初の生産能力は年3万基。マツダにとってタイは基幹部品であるエンジン、変速機の製造から車両組み立てまで手がける、海外初の一貫生産拠点となる。

先行して変速機を生産する(チョンブリ県の工場)。

100%子会社のマツダ・パワートレイン・マニュファクチャリング・タイランド(MPMT、タイ東部チョンブリ県)で生産する。2016年1月には1300ccのガソリンエンジンを追加する。組み立て工程のみの初期投資額は45億円。約50人を雇い入れる。

生産するディーゼルエンジンは小型車「マツダ2」(日本名デミオ)に搭載する見通し。当面はエンジンの組み立て工程のみだが、将来は前工程の金属加工などを含む本格生産に発展させる。

MPMTは1月に稼働し、現在はAT(自動変速機)を生産している。マツダ本体の小飼雅道社長は7日の正式な開所式で、一貫生産体制の構築を見据えて「いまやタイは最も重要な拠点だ」と話した。

小飼社長は今後の増産投資について「日本は工場のスペースの制約や働き手の減少もある。能力を増やすのは海外になる」と指摘。タイ、中国、メキシコが有力候補との見解を示した。』


自動車用エンジンは、自動車用部品の中で最重要なものになります。エンジンは、自動車の差別化・差異化を実現するコア部品になることによります。

また、エンジンは、高度な技術やノウハウを駆使して、開発・実用化する必要があります。熟練度の高いエンジニアや作業労働者と、エンジンを構成する主要材料・部品の調達や新規開発が必要になります。

自動車産業は、エンジンだけでなくブレーキ、変速機や車体などのコア部品まで含めると、非常にすそ野が広い産業群になります。

したがって、自動車部品の開発実用化は、日本のように6次下請けまで含めた多様な企業群が集積していない場所でないと実現できません。

多くの国内自動車メーカーは、日本の工場をマザー工場にして、エンジンのような高度機能・性能を必要とする部品を日本のマザー工場で開発・実用化と生産を行っています。

本日の記事は、マツダがエンジンの生産をタイで行うことについて書いています。このことは、マツダはタイに集積している日系製造事業者の技術と設備、熟練労働者を活用すれば、自動車用エンジンを生産できると判断したことを意味しています。

国内製造事業者は、自動車と電気電子機器の両分野を中心に、今まで約50年の時間をかけて、投資を続けた結果、日本とほぼ同じ産業構造が出来上がりました。

マツダがエンジン生産をタイで行うことを決めたことは、タイの自動車産業群が日本と同じ水準になったことを意味しています。

タイは、日本を含む多くの外資系メーカーが投資した結果、失業率はほとんどゼロに近い状態になっています。

タイの15歳から64歳までの生産年齢人口は、今がピークで今後徐々に減少していきます。タイでは、生産年齢人口の減少と高い労働者賃金から、靴や繊維産業などの労働集約型産業の工場展開には適していません。金型や鋳物などの新規工場展開にも、タイは適していません。

タイ政府は、このような事業環境を理解しており、今後、日本と同じように産業の高度化を図ることで、経済の持続的発展を実現しようとしています。

たとえば、新規投資優遇制度(BOI)は、当該文脈で制度化され適用されています。エンジンは、高度化製造事業に入ります。

タイは、アセアン域内の第二の日本として製造事業としての拠点化が進むとみています。タイを中心に、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマーなどの周辺国で製造事業の集積が進むとみています。

TPPが締結されますと、関税引き下げなど貿易障壁が低くなりますので、ベトナムとアメリカ間の貿易がさらに活性化することになります。

一つのやり方として、タイの主力工場で開発・実用化した部品や製品をベトナムの工場で生産して、アメリカに輸出する仕組みが有効になります。

自動車の場合、タイの主力工場で開発・実用化した主要部品を、アメリカ市場向け製品についてはメキシコで生産するやり方も想定できます。

本日のマツダに関する記事は、今後中小製造事業者が海外販路開拓や工場の新規展開を計画・実行するときに、アセアン地域、米国や欧州の先進地域での事業展開のやり方を総合的な見地から
判断することの重要性を示唆しています。

この視点から今後のマツダのタイ工場での事業展開のやり方に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『車部品中堅、海外企業に的 買収・提携先を活用』に関する考察 [海外進出・海外移管]

              2015年6月21日

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

6月21日付の日経新聞に、『車部品中堅、海外企業に的 買収・提携先を活用 三桜工業、BMW向け新工場/リケン、ダイムラーに拡販』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日本の車部品中堅が買収・提携先を活用し、海外完成車メーカーとの取引を広げる。配管などを手掛ける三桜工業は中国に新工場を設け、独BMWに初めて納入する。エンジン部品のリケンも業務提携先と中国で合弁会社を設立し、独メーカーに売り込む。

主力取引先の日系完成車メーカーが欧米の部品会社からの調達を増やす中で、生き残りをかけて中堅各社は販路の多角化を急ぐ考えだ。

三桜工業は約6億円を投じ中国・瀋陽に樹脂部品の工場を新設する。2017年に稼働予定で、まず現地工場がある独BMWに納入。将来的には他の欧州メーカーとの取引も開拓し、5年後をメドに30億円の売り上げをめざす。

三桜は13年、BMWとのつながりが深い独部品メーカー、ガイガー社を買収。新工場ではガイガーの樹脂部品のほか、三桜のブレーキ配管を製造し納入する。これまでホンダや日産自動車向け売り上げが大きかったが、米国やメキシコでも欧州車向けの工場新設を検討し、売上高の約85%を占める日系メーカーへの依存度を引き下げていく。

リケンは4月に業務提携を拡大した独KSコルベンシュミット社と年内に中国に合弁会社を設置し、ピストンリングの生産・販売に乗り出す。

ピストンリングは日本と欧米で供給経路が異なるため、欧米メーカー向けの販売実績が伸びず、四輪車用で年25億円程度にとどまっている。KSの販路を生かし、手薄だった独フォルクスワーゲン(VW)や独ダイムラーへの納入を進めることで、20年度をメドに75億円に引き上げる。

ニフコも約30億円を投じ、16年夏完成を目指し米ジョージア州に新工場を設ける。14年に買収した独KTW社との合弁工場で、KTWの納入先であるBMW向けにドアノブや速度計回りの樹脂部品を作る。ニフコは欧米メーカー向けの売上比率を現在の14%から25%超に増やす目標を掲げており、これに弾みをつける考えだ。

日本の部品メーカーはこれまで、特定の日系完成車メーカーと資本関係を持つ系列企業が多かった。特に中堅企業は事業規模が小さく、資金力に乏しいため、海外工場の新設は納入実績のある日系メーカーの進出に追随することが大半だった。

ただ、グローバル化が進む中で、「日本車には日系部品」という構図は崩れてきた。日系企業に頼るだけでは、成長は難しい。中堅各社は欧米メーカーと取引実績がある海外企業と手を組み、新販路の開拓を進める。』


本日の記事は、国内中堅の自動車部品メーカーが、既存の国内自動車メーカーに加えて、欧米などの自動車メーカー向けの販路開拓を行うことについて書いています。

より小規模な中小部品メーカーの中には、すでに既存取引先だけでなく、海外の自動車メーカーやその一次下請けや二次下請けメーカーに対する販路開拓を行う企業も出てきています。

私も、数社の自動車部品メーカーの新規海外顧客企業の販路開拓や集客を支援しましたし、今も支援継続中のメーカーもあります。

自動車や電子電機業界では、すでに完成品メーカーによる強固な縦系列の下請け構造は、崩れているか、崩れつつあります。

典型的な例は、タイやベトナムなどの海外に、大手完成品メーカーや一次下請けや二次下請けメーカーによる進出に伴って、同地域に工場建設した中小・中堅部品メーカーが、既存取引先から継続して受注できなくなることです。

従来、日本国内で強固に存在していた各大手完成品メーカーによる縦系列のグループ企業運営は、当該完成品メーカーが海外進出するとともに、弱体化し変化してきました。

海外に工場建設した完成品メーカーは、海外の大手メーカーとの激しい競争に直面します。必然的にコスト競争力を高める必要があります。

自社系列外の部品メーカーが、同等あるいはそれ以上の機能・性能をもち、納入価格を安くして部品納入できるのであれば、当該メーカーから部品購入することは合理的です。

少々古いデータになりますが、中小企業庁が発表しました「2006年度版中小企業白書」にみる中小製造業の海外進出のパターンは、以下の通りなります。

〔1〕製造工程のコストダウンを目的として進出するケース(現地販路開拓はせず、製品を日本に逆輸入する)
〔2〕親企業の海外進出に伴い、要請を受けて進出するケース
〔3〕親企業を含む海外進出した日系企業との取引維持・拡大を目的に自社判断で進出するケース
〔4〕現地市場での新規顧客開拓をターゲットに進出するケース

白書による上記四つのパターンに関する考察は、以下のようになります。

・〔1〕のパターン:最大のメリットは安い人件費を活用した工場立地
〔1〕のリスク要因:時間の経過とともに、進出地域の経済成長に伴う人件費高騰や現地調達の遅れ→想定したコスト削減メリットが出ない。ここに中国に進出した企業が安い労働力を求めてアセアンなどの新・新興国に工場移管する理由がある。

・中堅・大企業との関係で考えると、仕事の多くが発注先の動向に左右される中小企業では、自発的な海外進出を意図するよりも、〔2〕や〔3〕のように親企業からの要請に応じる形や、あるいは自社判断で追随する形で海外進出するケースも1990年代以降多くなっている。

・〔2〕のパターン:ある程度販路の保証がある反面、親企業の動向に大きく左右されるため、親企業が撤退する局面に当たったとき、別の販路開拓ができていないと共倒れになるリスクがある。

・(上記しましたように)最近の国内における取引構造の変化もあって、世界最適調達を進める親企業が下請企業の仕事量を保証するとは限らなくなっている。

・国内市場だけでは先細りである、国内のみの生産体制ではコスト削減に限界がある、受注量の増加には海外マーケット進出しかないと判断とし、リスクを取って海外へ生産拠点を展開した企業も相当数いる。
しかし、現地での仕事の保証がない中で、最終的には中小企業自らの経営判断で進出するか否かの判断を迫られるような〔3〕のパターンが多くなっていることが実情。

・顧客開拓が進まないことや現地における競合相手との競争が大きなリスク。中小企業の海外進出は、取引先確保の見通しや現地市場の開拓必要性が増加

〔1〕から〔3〕のような目的で進出した企業も、次第にその目的の変化が生じ、現在では
人件費の上昇などのコストダウン効果の低下、あるいは取引先との関係の変化の結果〔4〕現地市場の開拓へ軸足を移す中小企業が多くなっている実態がある。


さらに、厳しい現実がデータで示されています。

・中小製造事業者が海外に工場を作ってから、7年後に事業継続している企業数は、4割強です。つまり6割弱の中小製造事業者が海外から撤退したり、廃業に追い込まれています。

撤退、あるいは廃業する最大の理由は、集客できないことによる売上不振です。海外に工場建設した中小製造事業者は、自前で販路開拓をしないと事業継続が難しい実態があります。

私が中小製造事業者の海外進出支援するときに、最も重要視していることが事前の販路開拓・集客の見極めです。

もし事前に販路開拓・集客が期待通りに見込めないときは、海外進出を中断してもらうこともあります。


この観点から、国内中小製造事業者が海外進出する前から、積極的に海外顧客の販路開拓・集客を行って、輸出事業を拡大する支援も強力に行っています。

自前で輸出事業を立ち上げた中小製造事業者は、海外顧客の要求仕様・機能や納入価格などの生の声を聞けますので、海外事業を肌で感じ、理解することが可能になります。

この経験・感触をもっていると、自前で海外に工場をもつときに販路開拓・集客をより容易に行えるようになります。

さらに、自動車業界は、その事業環境が激変しつつあります。ガソリンエンジン車からハイブリッド車・電気自動車・水素自動車への変化・移行、自動ブレーキや自動走行の実現、部品やデバイス・自動車に対するIoT化(Internet-of-Things)の対応などが挙げられます。

最新状況を見つつ、自社の強みを最大化する動きをしながら、世界市場で販路開拓・集客を行う努力をしないと、中小製造事業者は勝ち残れなくなっています。

私は、中小企業向け海外販路開拓セミナーの実施や、各企業の個別支援を強化しながら、1社でも多くの成功企業を出したいと考えています。

ジェトロ富山のご協力をいただいて、2015年5月19日(火)、2015年5月20日(水)に行いました「海外販路開拓のための海外営業力強化セミナー」は、その一つになります。

また、7月にジェトロ香川とジェトロ高知のご協力をいただいて、同様の海外販路開拓セミナーを開催する計画です。
本セミナー詳細は、近々にブログ・コラムで紹介いたします。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


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日経記事;『海外子会社,収益6.5兆円 投資で稼ぐ鮮明 昨年最高更新,2年で7割増 ASEANけん引 』に関する考察 [海外進出・海外移管]

               2015年5月6日

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

5月6日付の日経新聞に、『海外子会社,収益6.5兆円 投資で稼ぐ鮮明 昨年最高更新,2年で7割増 ASEANけん引 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
「日本企業の海外子会社の収益が急拡大し、2014年は6.5兆円と過去最高を更新した。域内の貿易や米国向け輸出が伸びた東南アジア諸国連合(ASEAN)からの収益がけん引した

。輸出と比べた割合も高まり「直接投資で稼ぐ」傾向が強まってきた。企業が海外からの収益を国内に戻し、設備投資や雇用を増やすかどうかが今後の国内景気の焦点となる。

財務省の国際収支によると、海外現地法人からの配当・利子と現法の内部留保額を合わせた直接投資収益は14年に6兆5477億円だった。1ドル=80円を超す円高だった12年と比べると7割近くも増えた。四半期ベースを合算した14年の全産業の経常利益(79兆円)の8%に相当する。

地域別で大幅に伸びたのは、日本からの直接投資残高の12~13%を占めるASEANだ。14年1~9月は前年同期比53%増加した。貿易自由化に積極的で、タイなど6カ国に続き、ミャンマーを含む4カ国も今年末までに原則関税をなくす方針。日中韓やオーストラリア、インドとも自由貿易協定(FTA)網を築く。

この立地競争力を生かそうと、日本の製造業がASEAN域内に工場を建設し、ASEANの海外現法からの輸出が増えた。タイ大手銀のアユタヤ銀行を傘下に収めた三菱東京UFJ銀行など非製造業の進出も収益を押し上げた

。一方、中国からの収益は6%増にとどまった。中国向け直接投資残高は全体の10%を占めるが、中国の景気減速の影響が出たもようだ。

14年の直接投資収益は日本の輸出総額に対して9%に達し、比率は2000年代半ばの4%台から倍増した。日本企業が国内の輸出拠点をASEANなど海外に移して、そこから米国や中国に供給する「第三国向け輸出」が広がったためだ。日本からの輸出だけでなく直接投資も通じて海外の成長を取り込む形となりつつある。

企業が海外現法の利益を配当金などで日本に戻す動きも増えた。14年の国内還流分は4兆2615億円と、直接投資収益の65%を占めた。比率はリーマン・ショック後に本社での資金管理を強めた09年(72%)以来5年ぶりの高さとなった。

目立つのは自動車産業だ。三菱自動車はタイの連結子会社から配当金を受け取った。大和総研の熊谷亮丸氏は「円安基調が2~3年続くと、国内で設備投資が出始める。配当金などの増加はそうした資金の流れとも読める」と指摘する。企業が国内に戻したお金を安定的に設備投資などに回すには「企業の国内経済への期待成長率を高める規制緩和など成長戦略が不可欠だ」(熊谷氏)。

一方、日本への資金還流は一時的な動きとの見方もある。クレディ・スイス証券の白川浩道氏は「大幅な円安のうちに海外資金を円に戻しておき、円高局面など時期をみて、海外でのM&A資金に充てる」と読む。上場企業の今期の対ドルの想定為替レートは1ドル=115円に集中する。円相場が足元の120円前後で推移すれば、海外からの資金還流が続く可能性もある。』


本日の記事で注目することは、日系企業がASEANに今まで継続的に投資してきたことが、海外子会社の収益拡大が加速して、経営数字に大きく表れ始めたことです。

今まで一般的に、国内企業は、少子化で人口減少が進み国内市場が縮小するので、海外とくにASEANに投資して域内外の需要を取り込まないと事業拡大を実現できないと言われてきました。

ASEAN域内の子会社の収益が大幅に伸びたことは、今まで継続的に行ってきた投資が果実を生み始めていることを示しています。

日系企業がASEAN内で信頼されている主な理由は、下記の通りです。

・いったん投資を決断し会社や工場を設立したら、よほどの理由がない限り、会社や工場の閉鎖や人員解雇を行わない。
・従業員を長期に雇用して、教育訓練をきちんと行う。
・福利厚生設備が充実している。
・長期的には、現地従業員も管理職になれる可能性がある。など

工場投資・建設の観点からみますと、電気・電子機器や自動車などの業界が、長期間タイに投資してきました。

その結果、バンコク周辺の工業団地では、上記業界関連では、日本と同じような下請企業が集まって、大きな産業集積が実現しています。

日系企業による長期的な投資継続の結果、タイでは失業率がほとんどゼロの水準になっています。このことは、タイの中間所得層である15歳から64歳までの生産年齢人口層の所得水準を大きく引き上げました。

現在のタイは、投資対象国だけでなく消費者市場としての魅力をもっています。ここ2~3年の間に、タイから日本への観光客数が著しく増加していることは、タイ人の豊かさを示しています。

第2のタイを目指して、積極的に投資受け入れを行っているのが、インドネシア、ベトナム、フィリピンです。共に大きな人口をもっており、人口も増えています。これらの国々は、日系企業がタイで継続的に投資してきたことをみています。

さらに、日系企業に対して上記しました信頼感をもっています。このことは、一般的に日系企業が投資することに対して、ASEANが積極的に受け入れることになります。


また、ASEANは2015年末までに経済統合を行う計画をもっており、実現しますと域内の関税は基本的に撤廃されます。

これは、ASEAN域内どこで生産しても、物流コストを除けば、どこでも同じ条件下で売れることを意味しています。たとえば、ベトナムで作った商品をタイで関税ゼロで売れることになります。

ASEAN域内の国が、日本、アメリカ、欧州、中国、韓国などと自由貿易協定(FTA)を結んでいますので、このことも域外との貿易促進に貢献します。

さらに、ASEAN域内のシンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイがTPPに参加表明していますので、成立後、TPP加盟国での貿易拡大も期待されます。

このように、さまざまな理由や事業環境から、日系企業が事業拡大するために、ASEANに投資して、販売会社や工場などの子会社設立する動きは、継続するとみています。


しかし、これからASEANに新規投資する国内企業は、より慎重に市場、競合、投資条件、規制などの面から十分な情報収集と分析を行って、投資先、投資方法、販路開拓などを見極めることが重要になります。

しょうしょうきつい言い方になりますが、まだ投資していない中小企業は、取引先からの依頼や他社の動きなどから、安易に(付和雷同的に)投資の決定と実行を行わないようにすることが必要です。

今までの相談、あるいは支援案件の中に、工場を作ったが集客できないなどの深刻なものもありました。

確かに、ASEAN域内の需要を取込むことは、事業拡大に貢献する可能性はありますが、自社の状況を冷静に見つめて、上記するように徹底的な事前準備と入念な実行計画作成が必要です。

これらの基本的なことの実行なしに、ASEANへの投資は成功しません。

たとえば、いきなり投資しないで、ASEAN域内の販路開拓を行って、輸出事業を行いながら当該市場の特徴や競合状況などを確認したあとに、子会社となる販売会社や工場建設を行った方が失敗リスクを低く抑えることができます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『NEC・鴻海、クラウド事業 アジア市場を共同開拓』に関する考察 [海外進出・海外移管]

                                       2015年4月26日

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月26日付の日経新聞に、『NEC・鴻海、クラウド事業 アジア市場を共同開拓』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『NECは電子機器の受託製造サービス(EMS)大手、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業と中国などアジアでクラウド事業を展開する。年内にもインターネット経由で自前の設備を持たずに業務システムを構築できるサービスを共同で始める。

NECのクラウド関連技術と鴻海の持つ中国、台湾のデータセンターや顧客網を組み合わせ、アジアの需要を開拓する。

米調査会社IDCによると、2018年に世界のクラウド市場は14年の2.2倍の1220億ドル(14兆5千億円)に拡大し、その3割程度をアジアが占めるとみられる。

顧客企業が自前でのシステム構築に比べ初期負担を抑え柔軟に規模を変えられるため、事業が急拡大する新興国で利用の増加が見込まれている。

両社は鴻海が台湾南部の高雄市と中国・貴州省貴陽市に持つ大規模データセンターを主に活用し、クラウドサービスを提供する。

NECの管理ソフトや最新の通信システムを導入し、サービスを安定供給する体制を整える。NECの顧客である日本企業のアジア拠点や、鴻海のEMSでの顧客などを相互に紹介し、営業も共同で進める。

NECは高機能サーバーを時間貸しし顧客が多様なサービスに使うクラウド事業を国内中心に手掛け、海外は出遅れていた。

鴻海は米アップルの「iPhone(アイフォーン)」の受託生産が中核を占めるが、成長は鈍化している。事業拡大へデータセンター運営やクラウド事業に参入しており、高品質サービスのノウハウを得るため、NECと組むことにした。

NECのクラウド事業の14年3月期の売上高は240億円で、国内が9割を占めた。鴻海と旺盛な需要が見込めるアジアの顧客開拓をテコにして18年3月期に1200億円に拡大する考えだ。』


アセアンは、2015年度末までに経済統合を行う計画で進んでいます。経済統合が実現しますと、モノ、ヒトの往来の自由度が増しますので、域内貿易や経済が活性化します。

ここ3~4年の間に、スマートフォン(スマホ)の急激な販売台数増加により、アセアンは一気にブロードバンド環境が整備されつつあります。

スマホやパソコンを道具にして、インターネットを活用したさまざまな新規事業が立ち上がりつつあります。

また、製造や流通、飲食などの既存事業者が、情報発信、広告宣伝、販売行為などを行う際にインターネットをフル活用するケースが急増しています。

国内ITベンダーがこのアセアン域内の動きに注目して、新規事業立上に動いています。インターネット通販のプラットフォーム構築・提供、LineやFacebookなどのSNSと連動させた情報発信・広告宣伝ツールの提供、スマホ用ゲームソフト、アニメーションなどの提供、などさまざまな新規事業が立上りつつあります。

アセアン域内のローカル企業やこれら日本から出ていくベンチャーや中小企業の多くは、資本力が脆弱であること、多くの人員を雇用できないことなどから、自社内にサーバーやサーバー管理担当者を置けない状況にあります。

必然的にクラウドサービスを活用する企業がアセアン域内で増える状況になっています。アセアン域内では、先進国のシンガポールから開発が始まったミャンマーやカンボジアまで、経済格差が広いので、クラウドサービス活用は一様ではありません。

クラウドサービスの活用度では、シンガポールが一番手でダントツに伸びています。二番手は、マレーシアになります。

三番手に属しているのが、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナムです。一番手と二番手のシンガポールとマレーシアは経済発展していますが、市場規模は小さいのでクラウドサービス事業者にとって大きなビジネスは見込めません。

三番手の国々がクラウドサービス事業の大きな対象になります。シンガポールやマレーシアに比べると、クラウドサービス基盤はまだぜい弱ですが、近々に大きな市場となることは確実です。
上記しましたように、スマホの急激な普及は、クラウドサービス需要を確実に高めつつあります。

タイやベトナムの政府は、eガバメント構想を打ち出しており、官民挙げてインターネットの高度利用と産業育成を最優先事項の一つにしています。

必然的にITプラットフォームのぜい弱性から、クラウドサービス事業に対する需要は高くなります。

この潜在市場の需要獲得のために、世界のクラウドサービス事業者や通信事業者などが当該市場に積極的に参入しています。

AWSで世界を席巻しつつあるアマゾン、Salesforce.com、Google、IBM、Microsoftなどの米大手ITベンダーに加えて、日本からはNTTコミュニケーションズやIIJなどが参入しつつあります。

本日の記事は、このような状況下、NECが台湾最大手のEMS事業者である鴻海(ホンハイ)との連携・協業でアセアン域内のクラウドサービス事業に参入することについて取り上げています。

日系企業が、インターネットやクラウドサービスを使ってアセアン域内で事業する場合、基盤のもとになるデータセンターの設置場所が重要になります。

自社のサービス、顧客情報、営業管理データなどの貴重なデータ・情報が、万が一災害や海外政府の思惑で破壊、あるいは、接収などされると、命取りになります。

この点から多くのクラウドサービスを使う企業は、多くの場合、データセンターの設置場所に高い関心を持っています。

NTTコムやIIJ、NECなどの日系クラウドサービス事業者がアセアン市場に参入することは、域内で事業する日系企業には大きな援軍となります。

今後も大きな成長が見込めるアセアン域内のクラウドサービス事業に、より多くの日系企業が参入することを期待します。

アセアン域内では、より多くの日系企業がクラウドサービス事業を活用して、商品のインターネット通販、アプリソフトやゲームソフトのネット配信、情報発信、広告宣伝などをSNSも利用しながら、行っていく必要があります。

より安定し、信頼できるクラウドサービス事業の基盤強化が、日系企業のアセアン域内でのビジネス拡大の援軍になります。

今後の動きに注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


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