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日経記事;『ディーゼル車 最安170万円 マツダ、「デミオ」今秋発売 燃料割安、HVに対抗』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月17日付の日経新聞に、『ディーゼル車 最安170万円 マツダ、「デミオ」今秋発売 燃料割安、HVに対抗』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『マツダは今秋に発売する小型車「デミオ」のディーゼル車の価格を170万円程度とする方針を固めた。日本で販売中のディーゼル車で200万円を下回るのは初めてで、同じ大きさのハイブリッド車(HV)並みの水準。

割安な軽油を燃料にするディーゼル車の需要が高まっている。ガソリン価格の上昇が続くなか、燃費性能と合わせて販売価格の安さも打ち出してHVに対抗する。

デミオの全面改良は7年ぶり。当初は今夏に予定していたが、カーナビゲーションシステムの機能を改善するため秋に延期する。

新開発した1.5リットルの小排気量のディーゼルエンジンを搭載。国内で買える唯一の小型ディーゼル乗用車となる。

ディーゼル車は燃費性能の高さからHVや電気自動車(EV)に次ぐエコカーに期待されるが、国内の販売車種はセダンやSUV(多目的スポーツ車)が多く、価格は安くても300万円前後になる。

マツダが現在、国内で販売するSUV「CX―5」のディーゼル車は267万円からと、ディーゼル乗用車では最も安いが、同じクラスのガソリン車とは最大で50万円の価格差がある。デミオは大幅に価格を抑え、ガソリン車との価格差を30万円前後に縮め、HV並みにする。

燃料代を含めた保有費の安さを訴える。現在の燃料価格で見ると軽油はガソリンよりも13%安い。1000キロメートルを走った場合の燃料代を単純計算すると、トヨタ自動車の小型HV「アクア」より300円ほど多くかかる程度。ホンダのガソリン車「フィット」に比べると2000円近く節約できる。

デミオやフィットなどの小型乗用車の13年度の国内販売は150万台で、軽自動車を含む乗用車全体の3分の1を占めている。

ディーゼル車は排ガスによる地球環境への影響が懸念されたが、汚染物質の排出を抑える技術が進化。排ガス規制に対応してエコカー減税の対象になったことで購入者が増えている。国内販売は11年まで1万台以下だったが、13年は7万6千台と前年比8割増。14年も増加傾向にある。

資源エネルギー庁が16日発表した14日時点のレギュラーガソリンの全国平均小売価格は12週連続で値上がりし、5年10カ月ぶりの高値を付けた。ガソリン高を背景に、ディーゼル車はエコカー市場をけん引してきたHVの有力な対抗馬に浮上する可能性がある。』


ディーゼルエンジン車は、現在、欧州市場で主力になっています。これは、ディーゼル車に使用する軽油の価格が、本日の記事にありますように、ガソリンに比べて二桁以上安いことによります。

欧州は、日本と同じように環境問題にシビアな地域です。この欧州市場で、ディーゼル車が主役になっているのは、軽油の価格の安さと、欧州自動車メーカーによりディーゼルエンジンに対する環境対策が実現できていることによります。

一方、日本では、かってディーゼル車がトラックなどから出される排気ガスにより、深刻な環境問題を起こしたため、ディーゼルエンジンに対してマイナスイメージをもっていました。

国内自動車メーカーであるトヨタ自動車や本田技研などは、環境対応車の切り札として、ハイブリッド車(HV)を選び、さらに、究極のエコカー(環境対応車)として、燃料電池車を開発・実用化しようとしています。

HVや電気自動車(EV)の開発・実用化で得たノウハウは、燃料電池車で活用することができます。その視点からも、今まで主要国内自動車メーカーは、HVやEVの開発・実用化に集中してきました。

HVやEVの難点は、ガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車に比べて販売価格が高いことです。
HVの場合、燃費性能が向上しても、ガソリンを使用することになりますので、現時点で販売価格が上がっているガソリンに対するコスト上昇の影響を受けます。

欧州自動車メーカーは、HVに対する販売価格の高さや技術的難易度から、ディーゼルエンジン車の環境対応や燃費改善に力を注ぎました。また、消費者もこの選択を支持しています。軽油の価格が石油に比べて安いことも大きな理由になります。

最近、日本市場でも、ディーゼルエンジン車が見直されつつあります。理由は、ディーゼルエンジンに対する環境対策技術が進化したことと、軽油の安さにあります。国内自動車メーカーは、ディーゼル車に対して見直しを進めています。

また、この国内自動車メーカーの動きは、欧州市場を中心に、ディーゼルエンジン車に対する一定規模の支持と需要があることによります。

このような事業環境下で、マツダは大衆車になる小型車「デミオ」のディーゼル車の価格を170万円程度とする方針を固めたようです。

この販売価格帯は、トヨタやホンダが主力としている普及型HVと直接競合することになります。今までのディーゼルエンジン車は、200万円以上の価格帯が中心でしたので、マツダは普及型HVと直接競合する車種に攻勢をかけることになります。

マツダが国内市場でディーゼル車デミオの販売に成功しますと、欧州市場での事業展開に弾みをつけることになります。

さらに、欧州市場以外でも、価格の安い軽油を使う環境対応型ディーゼルエンジン車として、拡販できます。

今回私が注目していますのは、他の国内自動車メーカーの動き方です。マツダに刺激されて、大衆車としてのディーゼルエンジン車を開発・実用化するかどうかです。

例えば、自社開発しなくても、他の自動車メーカーとの連携・協業で、ディーゼルエンジンかディーゼル車をOEMベースで提供してもらえれば、事業展開が可能になります。

ポイントは、欧州や他のディーゼル車に対する需要がある市場での展開施策になります。自動車業界は、世界市場で巧みに連携・協業を行っている実績をもっています。

何度か本ブログ・コラムで書きましたように、自動車業界の連携・協業の仕方は、想定成果を見据えて巧みに実行してきました。

この連携・協業のやり方は、ベンチャーや中小企業にとって価値ある参考事例になります。各自動車メーカーが、ガソリン車、ディーゼル車、HV、EV、燃料電池車の将来を見据えて、どのような経営施策を計画・実行していくか注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『テルモ、オリンパスに統合提案 ソニーと争奪』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]

               2012年7月26日

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月26日付の日経新聞に、『テルモ、オリンパスに統合提案 ソニーと争奪』のタイトルで記事が掲載されました、

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。
 
『医療機器大手のテルモはオリンパスに対し、共同持ち株会社方式による経営統合を提案した。26日に発表する。

財務基盤の強化を急ぐオリンパスは、ソニーから約500億円の出資を受け入れる方向で最終調整しており、内視鏡やデジタルカメラでの協業内容を詰めている。テルモは経営統合の提案内容を公表し、オリンパスの株主らの支持を取り付けて巻き返す狙いがある。

東証1部上場企業がM&A(合併・買収)に際し、合意前に統合提案を公表するのは異例。提携交渉で先行するソニーに対抗し、どちらがオリンパスの企業価値向上につながるかを株主に問いかける。オリンパスは慎重に検討して提携先を決める方針だが、ソニーがなお優位とみられる。

テルモはオリンパス本体への500億円出資と、両社で統合を協議する委員会の設置を提案した。共同持ち株会社の下に事業会社のテルモとオリンパスを置く形を想定している。テルモは現在、オリンパスに2.1%を出資している。追加出資が実現すれば15%弱の筆頭株主となる。

オリンパスとテルモの医療機器の売上高はそれぞれ世界15位程度。経営統合すれば単純合算で8位に浮上する。テルモは心臓血管治療などに使うカテーテルが、オリンパスは消化器の診断などに用いる内視鏡が強み。得意な製品が重複しておらず、テルモは相乗効果が高いとみている。

一方、ソニーはオリンパスに約500億円を出資したうえで、内視鏡分野で共同出資会社を設立する交渉を進めている。オリンパスの内視鏡に、ソニーの画像センサーや映像技術などを組み合わせ、事業を強化する狙いだ。

両社は資本・業務提携に向けて社内に専門チームを設立し、情報交換を進めている。オリンパスの経営課題である赤字のデジカメ事業での連携も探る。ソニーはテレビなど主力のエレクトロニクス事業が不振で、オリンパスとの提携を通じて医療機器市場を開拓する。

オリンパスは過去の損失隠しによって、財務の健全性を示す自己資本比率が3月末時点で4.6%と大幅に低下している。2017年3月期までに30%以上に高める計画で、他社との資本提携を通じて財務体質を改善する。

提携先には富士フイルムホールディングスやパナソニックなども名乗りを上げたが、オリンパスはソニーを最有力候補に絞って交渉中。テルモは医療機器分野での統合効果の高さを訴え、ソニーとオリンパスの交渉にくさびを打ち込みたい考え。』


オリンパスの提携については、本ブログ・コラムで何度か取り上げてきました。にオリンパスは、6月22日ソニーと約500億円の資本受け入れで最終調整していることを明らかにして早急に具体的な連携スキームを検討・構築するとしていました。

今回、しょうしょう突然に、テルモは、医療分野での事業強化を行うため、ソニーが出すとされる出資金、500億円と同額の金額を出資し、両社共同で経営統合する案を発表しました。

テルモからの情報では、両社統合で世界シェア8位の医療メーカーになれるとのこと。ちなみに両社の順位は、それぞれ世界15位程度とされています。

オリンパスにとっては、連携;アライアンス相手の選択肢が増えますので、ソニーとの交渉に有利なカードを持つとする見方もあるようです。

オリンパスの視点でみますと、医療及びデジカメ事業の両分野で世界市場の勝ち組になるために、どの事業のスキームが最も的確かという判断が重要です。

記事によると、オリンパスはデジカメ事業の再強化を最優先課題にしています。この観点からみますと、テルモと経営統合してもデジカメ再強化には何の貢献もせず、将来的には集中と選択の対象となって事業撤退か事業売却の対象になる可能性があります。

デジカメ事業分野では、ソニーとの連携で最先端の技術習得に加えて部品の共同調達などを通じて生産コストを削減し、採算の改善を見込める、メリットがあります。

テルモの経営統合の目的は、医療分野の拡大と競争力強化です。従って、経営統合後は医療関連に経営資源を集中し、勝ち組になるための努力を行う必要がありますし、そうしなければ統合の価値が発揮できないためです。

オリンパスがソニー或いは、テルモのどちらの企業と連携するかは、デジカメ事業の扱いの優先度によるとみています。

片一方、同日付の記事によると、テルモは欧州、オリンパスは米国での医療機器の営業に強い。海外市場の開拓でも効率よく進められる可能性が高い。

オリンパスが強い内視鏡やテルモが得意なカテーテルといった患者の体をあまり傷つけず治療する機器の需要は世界的に高まっている、とされています。

医療分野での重なる分野が少なく、両社の強みを持ち寄れる利点があるようです。

医療市場は、国内だけでなく世界の成長分野です。政府も新規事業分野の一つとして医療を上げています。

医療分野の世界市場で勝ち残っていくには、最先端の医療機器を持ち続けることが必要です。以前の記事で、オリンパスがソニーとの提携に強い関心を持った理由の一つに、オリンパスの主力の内視鏡事業でソニーの最新鋭の高精細画像センサーを内蔵する新製品開発などを加速できるとされていました。

オリンパスは、今回の経営統合について早急に結論を出して、株主や取引先に説明する必要があります。

オリンパスは、判断基準を明確に、且つ、シンプルなものにして、連携;アライアンスや経営統合の判断を合理的に行うことが非常に重要です。

世界市場で、医療及びデジカメ事業(もし継続するならば)の両分野で勝ち組になるための必要条件から判断すれば良いのです。

仮に、オリンパスがソニーとの連携;アライアンスを選択した場合、その後に、是々非々ベースで医療分野でのテルモとの連携強化や資本提携もありえるとみています。

三者には競合する分野が少ないからです。

オリンパスの経営判断に注目していきます。中小企業にとって連携;アライアンスを勉強できる良い事例になるからです。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁


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日経記事:『EV150万台販売、燃料電池車開発…日産が計画』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]

                  2011年10月25日

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月25日付の日経新聞に、『EV150万台販売、燃料電池車開発…日産が計画 16年度までに3000億円超投資』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日産自動車は24日、2016年度までの中期環境行動計画「グリーンプログラム2016」を発表した。今後6年間で環境技術に3000億円超を投資、電気自動車(EV)を16年までに累計150万台販売する。

独ダイムラーと新型の燃料電池車を共同開発する。二酸化炭素(CO2)を排出しない「ゼロ・エミッション車」を環境技術の中核に据え、エコカー市場で主導権獲得を狙う。

カルロス・ゴーン社長が記者会見で明らかにした。同計画は6月に発表した16年度までの中期経営計画「日産パワー88」を環境面で補完する。「低炭素化、再生可能エネルギーへの転換、資源の多様化の3分野を最重要課題」(ゴーン社長)と位置付けた。

研究・先行開発予算の7割に相当する3000億円超を環境技術に振り向ける。注力するのはゼロ・エミッション車の開発だ。ゴーン社長は「16年度までにEVを含むゼロ・エミッション車の生産と販売でナンバーワンになる」と宣言した。

EVは16年までに新たに3車種を発売する。EVで使う充電池の充電・放電技術を活用し、環境配慮都市「スマートシティ」との連携を進める。住宅や工業用途など社会インフラの一部としてEVを普及させる。

日産は資本提携先の仏ルノーや独ダイムラーとの連携を強化、環境技術の共同開発や情報の共有化で負担を軽減する考え。ゴーン社長は「3社を合わせた環境技術開発への投資額や技術力は自動車業界でも最大だ」と強調した。

ルノーとは充電池の生産・販売で協力し、15年までに日本や仏など世界5拠点の生産能力を50万台に引き上げる。ルノーと共同でEVなどゼロ・エミッション車を16年までに累計150万台を販売する。

ダイムラーとは燃料電池車を共同開発する。「(実用化は)2~3年ではなく、もう少し時間はかかるが必ず実現する」(同)。すでにダイムラーとはエコカーでディーゼル車を共同開発、今後、ハイブリッド車(HV)の分野でも協力を広げる可能性を示唆した。

トヨタ自動車やホンダはHVや家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)をエコカーの品ぞろえの中心とする。

日産も15年に独自開発のPHVを発売する計画だが、エコカーの主軸はゼロ・エミッション車だ。独フォルクスワーゲン(VW)とスズキはエコカー技術を巡って提携交渉が暗礁に乗り上げている。エコカーの勢力争いが過熱するなか、新たな陣営作りも激しくなりそうだ。』


現在、私が自動車業界で最も注目しているのは日産です。カルロス・ゴーン社長のもと、巧みに連携を行いながら、環境対応で必要とされる巨額な技術投資を分散しつつ「Win/Win」の関係を作っています。

日産とルノーは、EVなどゼロ・エミッション車の開発を共同で行っています。もともと、ルノーは日産の資本提携先ですからグループ会社になります。
両社は、上下関係にあるというよりも、得意分野を分担しあって緩やかな連合体を作っています。

この連合体を有効にしているのは、カルロス・ゴーン氏を含む両社の経営陣がその目的・成果を共有し、グループシナジーを出せる様に「Win/Win」関係を作っているとみています。

2010年4月7日に発表されました、「ルノー・日産アライアンスとダイムラーAG、幅広い分野で戦略的協力」では、以下の分野について連携するとしています。

◆電気自動車バージョンと、スマートとトゥインゴ・シリーズの拡充を含む、次世代スマート・フォートゥーとルノー トゥインゴでの協業
◆乗用車・小型商用車全般に適用する幅広いパワートレインの共用及び共同開発。具体例は以下の通り
・ルノー・日産アライアンスによる、新型スマート、ルノー トゥインゴ及びメルセデス・ベンツの次世代プレミアム・コンパクト・カー用のディーゼルエンジンとガソリンエンジンの共用及び共同開発
・ダイムラーによる、インフィニティ向けのガソリンエンジンとディーゼルエンジンの供給。今後、更に協業を拡大する可能性あり
・ルノー・日産アライアンスのディーゼルエンジンとトランスミッションをメルセデス・ベンツのヴィト向けに供給
◆小型商用車での連携
◆ルノー・日産アライアンスとダイムラーとの間で一度限り、それぞれに3.1%相互出資
◆事業活動におけるベンチマーク、特定部品の共同購買、ベストプラクティスの共有等、さらなるシナジーの追求

現在、全ての分野で連携が行われているとは限りませんが、次世代電池車である「燃料電池車」に主軸を置いて共同開発しているようです。既にダイムラーとはエコカーでディーゼル車を共同開発したとのこと。
ダイムラーとは、信頼感を醸成しながら連携範囲を広げていくやり方です。

トヨタやホンダは、現時点で他メーカーと日産ほどの連携体を組んでいません。自社開発を中心に行っています。

10月23日付のブログ・コラムで、ルノー・日産が中国市場で地元メーカーとの連携を深めており、それが車の販売結果に表れ、国内メーカーでは2011年上半期(1月~6月)の売上で最大の6.4%を獲得したと述べました。
ルノー・日産の中国国内での販売実績がそのまま続くかどうかは、現在は連携の良い面が出ています。

環境対応車の開発には巨額の投資が必要であり、1社単独負担することはトヨタにとっても大きなリスクを伴います。
トヨタも中国企業などと共同開発などの分野で連携を始めようとしています。

今後の日産、トヨタやホンダの連携に関する動きを注目しています。彼らの動きは中小企業にとって参考になります。

連携で一番やっていけないことは、今回のVWとスズキのケースです。上手く行かなくなった原因や詳細は判りませんが、最悪の喧嘩状態になる前に両社はもっと早期に、連携内容を見直し、維持出来ないと判断したら直ちに解消を行うべきでした。

連携を上手く構築・維持するには、明確な目的と期待経済効果設定があり、それを達成するために作業します。これらのことが不明確になったらその時点で解消します。これがとても重要です。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『日産と三菱自、相互OEM拡大 電気自動車も対象に』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]

                                                                     2011年9月23日
皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

9月23日付の日経新聞に、『日産と三菱自、相互OEM拡大 電気自動車も対象に』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『三菱自動車は22日、日産自動車に電気自動車(EV)をOEM(相手先ブランドによる生産)供給すると発表した。

三菱自が年内に発売する軽商用EVを2012年度内に供給する。両社は相互にOEM供給をしているが、協力関係をEV領域まで広げて販路と品ぞろえを充実、EVの販売拡大につなげる。

日産と三菱自はすでに商用車や軽自動車の計4車種を相互にOEM供給している。今回、国内市場向け商品で互いに欠けている分野を補完し、国内販売台数の積み増しを狙う。

三菱自が日産に供給するのは自社製EVの第2弾となる軽商用EV「MINICAB―MiEV(ミニキャブ・ミーブ)」。現在、供給開始時期など詳細を詰めている。供給台数は明らかにしていないが、三菱自の同車種の11年度生産計画は4千台程度。日産への供給で販路を広げ、量産効果を高める。

日産と三菱自はそれぞれ他社に先駆けてEVを国内販売しているライバルだが、三菱自が軽自動車ベースのEVの商品化に注力しているのに対し、日産は軽ベース車の開発を手がけていない。

日産は現行のEV「リーフ」に加えて14年までに3車種のEVを発売する予定だが、対象は高級ブランド「インフィニティ」など。軽ベース車をOEM調達して自社EVの品ぞろえを拡充する。

また、三菱自は12年から日産の上級セダン「フーガ」の供給を受ける。フーガは日産のセダンの旗艦車種で10年度は約7800台を国内で販売した。

三菱自は経営危機に陥った04年以降、上級セダンの国内販売を終了している。フーガの調達で7年ぶりに上級セダンを発売する。

日産と三菱自は今年10月からは新たに日産が商用車「NV200」を三菱自に供給することも決めている。2社は今年6月に軽自動車の共同開発会社「NMKV」も設立するなど協業拡大を進めている。』


現在、各自動車メーカーは単独で生き残ることは難しくなっています。これは、今後EVやハイブリッド車(PV)を含めた環境対応を1社単独で行うと、過大な投資が必要になり回収出来ないリスクが発生するためです。

また、今後大きな需要の伸びが期待されている新興国市場では、世界企業との厳しい競争に加え、各市場に合った車づくりを要求され、これも大きなと負担となります。

これらの投資リスクを低減させるため、各自動車メーカーは競争関係にありつつも、協業・提携して「Win/Win」関係作りを積極的に行っています。

日産と三菱自の場合、共にEVを次期戦略車として位置づけ、この分野ではPVで市場を引っ張っているトヨタが最大の競合相手になります。

日産は、軽自動車の自社商品のラインナップを持っていません。現在、国内市場では軽自動車の売上比率が高まっています。また、新興国でも軽自動車に対する需要が一定量見込まれます。

三菱自は、経営危機に直面した1994年移行、商品ラインナップを整理してセダンタイプを廃止しました。三菱自は、セダンタイプの穴を埋めるべく、2012年から日産より上級セダンフーガの提供を受けることのこと。

こうして以下の様なOEMベースによる補完関係が生まれました。

・日産は、現在商用車を三菱自に供給
・三菱は、軽自動車や中東向けのSUVを日産に供給
・日産は、フーガを2012年から三菱自に供給

これに加えて、三菱自は軽商用EVの日産への供給を検討しています。また、日産と三菱自は、軽自動車の企画・設計を行う共同開発会社「NMKV」を立ち上げています。

このように、OEMの相互補完体制に加えて、軽商用EVの共同開発まで提携関係が進化しています。
提携関係の進化は、両社が「Win/Win」の成果を実ビジネスとしてエンジョイしていることと、お互いの信頼関係が向上していることを表しています。

言葉では誰でも提携・連携が大事であり、「Win/Win」の関係を構築したいと言います。

「Win/Win」の関係構築と維持は、それほどたやすいことではありません。「Win/Win」の関係は、実ビジネスから売上・利益が生まなければ単なる「おまじない」と同じです。

9月12日のブログ・コラムで書きました、スズキとVWの提携関係の破たんは、両社がこの提携の発表後、1年以上実ビジネスで何の協業活動を行えなかったことが原因の一つだと推測しています。

通常、これだけの大型提携を行う場合、契約前に両社の関係者間で提携実施の目的・成果を具体的に共有し、実ビジネスに反映させるための行動計画表(ロードマップ)が作られます。

この事前順の詰めが甘かったのでしょう。

日産と三菱自の動きは、対照的です。当面、実ビジネスで成果を共有しつつ、「Win/Win」の関係を進化させることになります。

成果が見えなくなった時は、さっさと提携関係を破棄します。
これが提携・連携のうまみであり、柔軟に対応できる利点です。

国内企業は、提携・連携を戦略的に活用し、実ビジネスで成果を取れるようもっと巧みに動くことを期待します。
少なくとも私が支援する中小企業同士の連携は、実ビジネスで成果を出せる様にしています。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『「スズキ、提携趣旨に反した」 フォルクスワーゲンが見解』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]

                                                                                     2011年9月12日
皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

9月12日付の日経電子版に、『「スズキ、提携趣旨に反した」 フォルクスワーゲンが見解 フィアットからのエンジン調達を批判』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)は11日、19.9%を出資するスズキとの提携についての見解を発表した。VWはスズキが、VWと競合するイタリアのフィアットからディーゼルエンジンを調達するなど「提携の趣旨に反する行為をした」と表明。

一方で「スズキは投資先として依然魅力的だ」との見解を発表し、資本提携関係を継続したい考えを示した。

VWはスズキと2009年12月末に資本提携したが思うように協議が進まない状況を受け、7月に同提携を再評価する作業に入った。
今回、評価作業の「第1段階の結果」を表明した格好で「最終段階の見解ではない」ことも強調している。

VWは、6月にスズキがフィアットから欧州でディーゼルエンジンの供給を受けることで合意したことについて「提携の趣旨に反するものだ」として批判し「スズキ側は現在、提携関係を正しい状態に戻すために数週間の時間を与えられている」とした。

「スズキ側が提携関係を破るような行為をし、遺憾だ」とし、スズキ側と同問題で協議することを提案したという。一方でVWにとってスズキは依然、魅力的な投資先であるとも強調した。』

スズキとVWの提携は外部からみますと、非常に奇妙です。
スズキとVWは、2009年末に資本提携を公表しました。VWはスズキ株19.9%を持つ筆頭株主で、スズキもVW株1.5%を持っています。

当時の発表記事をみますと、VWはインドに強いスズキと連携して低価格車のノウハウも得る、一方スズキはVWの環境技術提供を得る、とのWin/Win関係を書いていました。

しかし、その後の進展はなく、VWはスズキを批判し、スズキはVWとの提携は、「対等関係が大前提」と再三発表しています。

この提携は最初からボタンの掛け違いを起こしていたようです。今回、スズキがフィアットからディーゼルエンジン調達することを決定したのが事実だとすると、スズキはVWから満足のいく環境技術を提供されなったか、提供を受ける際の条件について合意しなかったことなどが推測されます。

提携は、Win/Win大前提で成り立ちます。
今まで流されてきました幾つかの情報をみると、両社間で指導的役割をめぐる見解の相違があったと言われています。
そのため、上記のようにスズキは「対等関係が大前提」と何度かコメントを発表してきたようです。

一例として、今年5月にVWが株主向けの年次報告書の中で「スズキはVWの持ち分法適用会社で、VWはスズキの財務、経営方針に重要な影響を与える」と明記。これにスズキ側が態度を硬化させていました。

提携交渉を担当するスズキの原山副社長は2011年7月18日に、静岡県浜松市内での共同インタビューで「提携当初の原点である対等の関係に返る必要がある」という考えを示し、VW側が現在のような認識を改めない限り、「VWとの協力を進めることはできない」と提携解消の可能性に含みを持たせていました。

さらに原山副社長は、ディーゼルエンジンの調達契約を結んだ伊フィアットグループを含めて「新しい提携関係も模索している」と述べ、VWを牽制(けんせい)していました。

通常、このような両社間の関係になれば、提携を維持できませんし、維持する必要もありません。さっさと解消すべきです。

スズキからみますと、VWは筆頭株主でいますので、その株を自社で買い取るか、第三社に購入してもらうのかの経営判断も必要になるます。当然、株の売却についてVWの同意を取る必要もあります。お金も時間もかかりますが、早期に動くべきと考えます。

提携は、M&Aほどリスクは高くありませんが、失敗すると自社の商権や商品・サービスに傷がつく場合があります。

提携は、どちらかがWin/Winの関係を見いだせないと認識したら直ちに止めることが大事です。

私は、現在数件の中小企業間の提携・連携活動を支援しています。全ての参加企業がWin/Win/Win・・・の関係を持つことを大前提に行っています。
そこで、ある1社がその提携に不満を持った場合、状況確認後必要があればその企業は提携の土俵から退場して頂きます。

現在多くの企業が新事業立上や投資リスク低減化、販路開拓などを目的に提携・連携を行っています。これから提携を考えている企業は、スズキとVWの提携の状況が参考情報の一つになります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁
                                                                 


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日経記事;『住友化学、タッチパネル参入 スマートフォン向け』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]

                                                                                    2011年5月8日

皆様、おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です、

5月8日付の日経新聞に、『住友化学、タッチパネル参入 スマートフォン向け 韓国に新工場、サムスンに供給 』 のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。


『住友化学はスマートフォン(高機能携帯電話)に使うタッチパネル市場に参入する。

韓国に約200億円を投じて、新工場を建設し、2012年に生産を開始。製品は全量、サムスングループに供給する。液晶よりも高精細な有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)と組み合わせた視認性の高いタッチパネルを世界に先駆けて供給する。

タッチパネルは画面に指で触れてページをめくったり、画像を拡大したりできる。住友化学は液晶パネルに不可欠なフィルムや発色材料の大手で、そのノウハウを生かして透明度が高く画面の応答速度が速いタッチパネルの開発に成功した。

ガラスの表面に指の動きを感知する微妙な回路をつくり、サムスンに供給する。新工場は韓国京畿道にある住友化学会社の敷地内に建設する。
すでに着工しており、12年1~3月の稼働予定。初年度150億円の売上高を目指す。

サムスンのスマートフォンは画面に有機ELパネルを使っているのが特徴。有機ELは自ら発光するため、液晶のように後ろから照らす光源が不要で消費電力も少ない。

米アップルの「iPhone」に対抗して昨年発売した「ギャラクシーS」は、世界で累計1400万台以上を出荷するヒット商品になった。

サムスンはこれまでタッチパネルを内製するか台湾企業などから調達しているもよう。住友化学から高機能タッチパネルを安定調達し、他のスマートフォンとの違いを鮮明にする戦略だ。

住友化学は携帯電話や薄型テレビのパネル用部材など情報電子科学部門の売上高を13年3月期までの3年間で5割増の約4000億円にする計画。

米調査会社ディスプレイサーチは世界のタッチパネル市場が16年に10年比で2倍強の149億ドル(約1兆2000億円)になると予測する。』


今回の提携は、有機ELを使って低消費電力で、透明度が高く画面の応答速度が速いタッチパネルを開発した住友化学と、このタッチパネルでスマートフォン市場を席巻したいサムスンの思惑が一致して成立しています。

世界市場で勝者になるための、勝者連合を目指していると考えます。

住友化学の決意のほどは、有機ELパネルの量産工場を韓国内の自社敷地内に建設することで読み取れます。
製造コストなどの問題もあって工場を国内ではなく、韓国に決めたと推測します。

最も重要な要因は、サムスンの近くに工場を作り、需要に合わせて柔軟に供給できる仕組み作りだと考えます。
つまり、サムスンとの提携を軸にスマートフォンや薄型テレビのディスプレー部品市場で、世界ナンバーワンを目指す戦略を住友化学が立案・実行したと見ています。

現時点で国内の携帯機器メーカーは、世界市場を席巻できる力を持っていません。
情報端末機器の部材市場で、勝者になるために海外の機器メーカーと提携するのは自然の流れです。

中小企業の輸出事業拡大を支援している身としては、住友化学が韓国に新規タッチパネルの量産工場を建設するのは、少々残念です。

しかし、顧客企業の近くに提供部材の工場を作ることも世界市場での事業拡大には必要な選択肢の一つです。

国内で作りながら、円高や製造コストなどの削減対策などを行って、世界市場に輸出していく中小製造業者への一層の支援強化の必要性を再認識しました。

住友化学は、タッチパネルなどのディスプレー部材市場で、インテルのようにぶっちぎりの部材メーカーになることを期待します。

よろしくお願いたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『IHI、産業用圧縮機で世界最大手と提携』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]

                                                                  2011年4月2日

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

4月2日付の日経新聞に、『IHI、産業用圧縮機で世界最大手と提携 スウェーデンのアトラスコプコと販売事業で』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。


『IHIは、スウェーデンのアトラスコプコ(ストックホルム)と産業用圧縮機の販売事業で提携する。アトラスが得意とする小型圧縮機をIHIが日本で販売する一方、IHIはアトラスに大型圧縮機の基幹部品を供給する。

アトラスは産業用圧縮機で世界最大手。IHIは提携を機に、圧縮機事業の売上高を2014年までに現在の倍の500億円に高めたい考え。

近く覚書を結ぶ。産業用圧縮機は生産設備の動力源や塗料の吹きつけに使うなど多様な用途がある。
IHIは中大型の圧縮機に特化し高い技術を持つ一方、アトラスは小型で世界シェアの半分を握っており、2社ともに提携で相互補完ができると判断した。

具体的にはIHIがアトラスから小型圧縮機の完成品供給を受け、約30あるIHIの国内営業拠点を使って販売する。IHIは顧客に提案できる圧縮機の幅が広がり、受注競争力が高まると期待している。

一方でIHIはアトラスに中・大型の圧縮機の基幹部品を長野県辰野町の工場から供給する。
アトラスはこれをもとに同社ブランドの最終製品をベルギーの工場でつくり、欧州やアフリカ、中東などの市場で販売する。

日本ではIHIのほか神戸製鋼や日立製作所が産業用の圧縮機を手掛けている。
アトラスは日本でも代理店を持つが、国内勢が幅広く販売網を敷いておりシェアを伸ばせないでいた。今回の提携で国内での競争が激しくなりそう。圧縮機業界は企業数が多く、今後再編が進む可能性がある。』


今回の提携は、以下の観点から連携を組むやり方について参考になります。

1.先ず対象商品分野で競合しないことです。

・IHIは、中大型の圧縮機の分野を強化し、アトラスコプコは小型圧縮機の分野での強化を目指します。
お互いに強化したい商品分野を分け合っています。

・特にIHIは、中大型の圧縮機に特化していますので、小型圧縮機市場では競合しません。
得意なかつ競合しない商品分野を持ち寄っていることが特徴です。

2.販売分野ではお互いに伸ばしたい地域が明確に分かれています。

・IHIは、アトラスから小型圧縮機の完成品供給を受けて国内の販売網を通じて売ります。IHIは国内の顧客に対してより幅広い商品群を揃えて要求に応えることが出来ます。
同時にIHIの販売網は幅の広い商品群を扱うことで事業基盤が強化されます。

アトラスにとっても国内需要を取り込めて市場開拓につながります。

・IHIは得意な中・大型の圧縮機の基幹部品をアトラスに供給し、アトラスが自前の販売網で海外顧客に売ることにより売上増につなげると共に、結果として世界市場に供給できます。
アトラスにとってもIHIと同様に、扱い商品群が増えることにより自前の販売網を強化できます。


このように商品分野でも販売分野でも競合せず、お互いに伸ばしたい事業を協力して実行できる観点から完全な「Win/Win」スキームが成り立ちます。

記事を読む限り、完全な連携・提携スキームと言えます。
同じ業界で事業している他社に与える影響が大きい可能性があります。

中小企業が連携・アライアンスを行う上で参考になる事例だと考えます。
曖昧さが無くてお互いにメリットを見出せることが重要です。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『生活用品開発へ研究成果交換、「自前」改め期間短く』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]

                                                                     2010年12月17日

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

12月16日付の日経新聞に、『生活用品開発へ研究成果交換、「自前」改め期間短く』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『生活用品の大手企業が研究開発のオープン化に乗り出す。自社技術などを開放して外部から技術・アイデアを取り入れる手法を使い、化粧品最大手の仏ロレアルは日本法人が国内外80以上の企業・機関と提携、資生堂も世界商品を増やす。新興国市場の成長や高齢化に対応して商品開発のスピードを上げるのが狙い。

すでに米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は主力品の3分の2を新手法で開発しており、自前主義からの転換が加速してきた。

新しい手法は「オープンイノベーション」と呼ばれ、他社や大学、機関が持つ技術・特許や研究成果を基礎研究から商品開発まで生かし、開発期間の短縮とコスト抑制を狙う。包括提携・クロスライセンスや特許・技術を互いに開放したり、インターネットを通じて解決策・アイデアを発明家も含め外部から募集したりして手を組む。

仏ロレアルでは日本ロレアル(東京・新宿)が成長市場であるアジアの研究機能を統括する体制を構築した。日中の開発拠点やインドやタイでの外部との共同研究を一元管理。インク用顔料の戸田工業や韓国の化粧品大手コスマックス(華城市)といった国内外の80社・機関と、抗加齢などの世界商品を開発する。

資生堂は同手法の専門組織を設けており、これまで三菱化学の高分子技術を使ったヘアケアの世界戦略ブランド「ツバキ」などを開発した。現在は日本大学と、認知症患者の脳の血流改善に効果が期待される化粧療法の開発を進めている。

生活用品は年齢、地域ごとに消費者ニーズが多様化している。安全性が問われる化粧品やヘアケアの新商品は、すべて自社開発だと基礎研究から商品化まで10~15年かかる場合が多い。

開発しやすい成分、素材や技術はそのほとんどが発掘されたといわれる。さらに化粧品は欧州連合(EU)の欧州委員会が新成分開発を目的とした動物実験を規制。資生堂が2011年3月に実験を廃止するなど自社研究が制限される中、オープンイノベーションが有効になっている。

P&Gは年数千件の技術・アイデアの応募があり、日本法人も昨春からネットで募集を始めた。仏メーカーから抗加齢成分を導入した化粧クリームなどは新興国でもブランドが浸透し、迅速な商品投入が業績を支える構図。
ただP&Gは衣料用洗剤の中核成分である界面活性剤の開発は自前で続ける方針で、各社は対象の技術・分野を選択しながら外部連携を強化する。

総務省の国内約1万社(全産業)調査によると、企業が社外に支払う研究費(特許使用料や委託研究費)は08年度で計2兆2400億円と00年度に比べて6割増えた。産業界全般に自前主義からの転換が進みつつある。』


企業間連携の仕方は多様化しています。
一時、短期間に技術や新規事業を獲得する手段の一つとして、M&Aが積極的に採用されました。自動車や製薬などの業界が代表的な例です。

しかし、M&Aは、必要とする技術や製品などを短期間で獲得できないリスク(例えば主要なエンジニアや研究者が辞めてしまうことや、想定した技術の再評価の結果が期待通りでないなど)があります。
M&A後にその様な事態に直面した場合、短期間での解決は困難です。

M&Aは言わば結婚みたいなもので、通常「嫌いになったから即時に離婚する。」的なことは簡単にできません。

連携は、その観点から見ますと上記リスクを負わずに柔軟に対応できるメリットがあります。

上記記事の例は、 「オープンイノベーション」 と言われる手法で、2000年代前半にヘンリー・チェスブロー米カリフォルニア大学バークリー校教授が提案したもので、一種の技術アライアンスです。
自社の技術リソースと他社のリソース」を有機的に組み合わせて、開発・新事業展開を行うものです。

技術革新や経済環境の変化が急速で進む中、他社との連携・提携で開発期間を短縮し、共に新事業をエンジョイしようという考えです。

連携の仕方は記事にある通り色々あります。
自社から連携を仕掛ける場合、自前でのコア技術資源確保、他の必要な技術の洗い出し、相手先の探し方や連携の組み方(特許の扱い、ライセンス料率や条件など)をきちんと整理して行う必要があります。

相手先が魅力的に感じる条件提示が「Win/Win」関係構築の決めての一つになります。
計画をきちんと立てて迅速に実行することが大事です。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁


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日経記事;『米テスラ、トヨタなどに電気自動車の技術供与も』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]

                                                    2010年11月13日

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

11月13日付の日経新聞に、『米テスラ、トヨタなどに電気自動車の技術供与も バッテリー開発競争で主導権 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事をもとに連携のあり方について考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『米電気自動車(EV)ベンチャーのテスラ・モーターズ(カリフォルニア州)は12日、提携関係にあるトヨタ自動車などに対し、バッテリーなどEVの駆動技術のライセンス供与を検討していることを明らかにした。同社の技術は汎用バッテリーを活用、専用バッテリーを使う他社とは大きく異なる。大手との協業で独自技術を広め、開発競争で主導権を握ることを狙う。

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が同日、日経の取材で明らかにした。
テスラは、トヨタとGEの旧合弁工場の跡地を利用した自社工場でEVの量産を計画中。2012年半ばに米国で発売する新型セダン「モデルS」から生産機種を拡大する方針。

テスラのEVの特徴は、パソコンなどに使用する円筒形のリチウムイオン電池を数千本組み合わせた独自のバッテリーを搭載すること。専用バッテリーを用いる他メーカーとは大きく異なる。

他メーカーは、電気メーカーと連携して高性能な電池の開発を急いでいるが、電池コストが高いことがEV普及へ向けた課題となっている。

汎用電池を使うテスラの技術は、調達を効率化し、量産を円滑化できる可能性もある。

ただテスラの自社生産だけでは技術普及に限界があるため、他メーカーにモーターやバッテリーの制御技術などをライセンス供与、自社技術をEV生産に活用してもらうことを検討する。
既に提携関係にあるトヨタや独ダイムラーにはライセンス供与を打診した(マスクCEO)という。。。』


上記記事は、ベンチャーと大手企業との連携のあり方の一例として参考になります。

ベンチャー企業でも、優位性のある独自技術を持っていれば、大手企業と対等なパートナーシップを持つことが出来ます。
対等なパートナーシップを持てる前提は、“勝者連合”であり、且つ、「Win/Win」の関係が成立することです。

テスラとトヨタの場合だと以下のようになります。

◆テスラからトヨタへ提供するもの;トヨタのメリット
・モーターやバッテリーの制御技術(ライセンス供与)
⇒トヨタは、汎用バッテリーを使用したEVの技術情報を獲得できます。
 この技術を量産車に適用できれば、低価格タイプEV車のラインナップを広げられる

◆トヨタから提供されるもの;テスラのメリット
・販売網
・保守・サービス網
⇒トヨタの販売・サービスインフラを活用して販売数量の拡大と、安定したサービス網を構築できる。
 テスラ方式のEVが低価格タイプEV社の標準の一つになる可能性がある。

現時点では、トヨタとテスラの顧客層が重なっておらず、競合分野がないため、上記連携で「Win/Win」関係が成立します。
両社協業で、顧客開拓の可能性もあります。

将来、テスラとトヨタの競合する部分が大きくなると、「Win/Win」関係がなくなるため提携は消滅する可能性があります。

提携・連携は、「Win/Win」関係が成立する間、柔軟に自社のメリットをエンジョイするために行うことが大事です。
無価値な提携・連携は、百害あって一利なしです。

今後のテスラとトヨタの提携に注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁


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日経記事;『米P&G,商品の共同開発3倍に拡大 小売のPBに対抗』に関する考察 [アライアンスが決まる要因は?]

                                                          2010年10月29日

皆様、
こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月28日付の日経新聞に、『米P&G,商品の共同開発3倍に拡大 小売のPBに対抗』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主内容は以下の通りです。

『米日用品最大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、競合メーカーを含む他社との間で商品の共同開発を拡大する。共同開発商品の年間売上高を5年後に現在の3倍になる30億ドル(約2400億円)に引き上げる計画。消費者の節約志向で世界的に安売り競争が加速する中、商品の付加価値を高めて収益を確保する。

約150社・団体のメーカーや研究機関の開発担当者を招いた会合で27日、明らかにした。「有力パートナーと技術や知恵を出し合えば(商品の)成功率が高く、商品化までの時間を短縮できる」(P&Gのボブ・マクドナルド最高経営責任者=CEO)とみて、外部の経営資源を活用する商品開発を強化。安さを売り物にした小売業のプライベートブランド(PB=自主企画)商品に対抗できる高機能商品の開発を加速する。

特許など自社技術を他社に開放し、商品化の利益を分け合う「オープン・イノベーション」はP&Gが掲げる戦略。技術提携による商品の売上高は現在、全体の1.3%の10億ドルで、これを2015年に30億ドルに増やす。世界の消費者がP&G製品に支出する平均額は年間で1人あたり12ドルだが、15年には14ドルに高めるという目標の達成も目指す。

米化学大手デュポンや独化学大手BASF、米日用品コルゲート・パルモリーブなど競合メーカーや大学などの研究機関が多かった提携相手の幅も拡大。バイオベンチャーや中小企業などにも積極的に開放していく。商品そのものだけでなく、容器やパッケージなどでも技術提携を増やし、革新性を強める考えだ。

P&Gは研究開発(R&D)を重視し、年間で約20億ドルをR&D投資に充ててきた。
現在、1年間に発売する新商品の約6割は技術提携によるもの。代表例は従来より大幅に薄くしながら乾燥性を高めた紙おむつ「パンパース・ドライマックス」や、汚れを落とす能力を高める一方で衣類を傷めにくい洗濯用洗剤「タイド・トータル・ケア」などだ。値段はやや高い場合もあるが、機能の高さが支持されて売れ行きはおおむね好調で、特に日用品市場が伸び悩む先進国で伸びが高いという。

ブランドに強みを持ってきたP&Gだが、足元では原材料価格の高騰に伴うコスト増や、小売企業による値下げ競争やPBの拡大などで収益を圧迫されている。10年7~9月期は純利益が前年同期比6.8%減の30億8100万ドルとなった。』


P&Gの連携のやり方は、私の知っている限り、国内の大手企業では行っていません。
スケールの大きい連携だと思います。

P&Gは、先進国で圧倒的なブランド力を持っています。
また、R&Dを重視し、年間約20億ドルを使って多くの技術を特許化しています。

P&Gは、このブランド力と特許を自社事業のプラットフォームとして活用しています。
P&Gは、特許を「Win/Win」の関係が成り立つ他社(競合他社を含む)まで開示して、共同で開発を進め、開発期間とコストを圧縮し、高付加価値商品を送り出します。

この商品は、P&Gブランドで販売され、特に先進国で好調に売れているようです。
高付加価値商品で値下げ競争やPB商品と対抗していく戦略です。

上記記事にある、『商品化の利益を分け合う「オープン・イノベーション」』は利益の折半を意味しているとすれば、競合他社にとってもうまみがあり、「Win/Win」の関係が容易に成り立ちます。
共同開発した商品が確実に売れるのであれば、他社は開発資金の回収を容易にできます。

連携は、M&Aや資本提携と異なり、お金の動きや組織の融合など複雑な手続きやエネルギーを使わないで、「Win/Win」の関係が成り立つ相手と気楽に動ける手段です。
しょうしょう極端に言いますと、「Win/Win」の関係が成り立たないと判断したら、さっさと連携を解消できます。

連携を行うには、自社の強さや魅力を持つ必要があります。
これらがないと、相手側は連携を組む為の条件である「Win/Win」の関係を確認できません。

P&Gの場合は、ブランド力と特許開示を含む技術力です。

中小企業の場合も同じで、他社と連携を組むには自社が提供できる「強み」が必要です。技術力、販売力、サービス力などの分野で強みを持っている必要があります。

また、連携の維持・強化もかなりの専門性、エネルギー、時間、コストを使うので、これらの点を考慮して実行する必要があります。
P&Gの場合は大手企業ですので、担当役員や専任スタッフを抱えることが出来ます。

中小企業の場合は、P&Gと同じようにできないので、社長が自ら行うケースが多いですね。
私も連携の専門家の一人として複数のプロジェクトを支援しています。

私の経験では、中小企業の場合、異業種他社で各企業が強い専門性を持っていることが、連携を効果的に行える条件の一つです。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁

 


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