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日経記事;『資源、減損から撤退にカジ 選択と集中、銅は保有継続』に関する考察 [事業撤退に関する課題と対応]

                                       2016年4月23日

皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

4月23日付の日経新聞に、『資源、減損から撤退にカジ 選択と集中、銅は保有継続 三菱商事がインドネシアのニッケル鉱山権益売却 100億円』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『資源安で4300億円の減損処理を迫られた三菱商事が資産の入れ替えに着手した。インドネシアのニッケル鉱山開発の権益は約100億円で仏社に売却し、撤退する。銅など3分野は継続して保有し、新たな権益取得も検討する。市況低迷を受けて損失計上を余儀なくされる企業も増える中で、資源分野で選択と集中を進める動きが広がってきた。

三菱商事が売却するのはインドネシア、ハルマヘラ島にある「ウェダベイニッケル鉱床」の権益。約3割を保有しており、約135億円を投じ2009年にパートナー企業の仏エラメット社と合弁会社を立ち上げ、操業に向け準備してきた。

11年に1トン約3万ドルだったニッケルの国際価格は現在、9000ドル台と3分の1に下落した。事業を継続しても採算がとれないと判断し、約100億円でプロジェクト運営会社の株式などをエラメット社に譲渡する。これで三菱商事が海外に持つニッケル鉱山の権益はなくなる。

すでに減損処理は済ませている。最終損益が1500億円の赤字になったとみている16年3月期の業績を悪化させる影響はないもようだ。

一方、銅、石炭、液化天然ガス(LNG)はコア分野と位置づけ、減損処理後も資産を保有する。「資源分野の総資産額を増やさず、手持ち資産の内容を変える」(垣内威彦社長)戦略で、コア分野では経営体力の落ちた資源メジャーなどが有望な資産を手放す際、取得にも乗り出す。

ニッケルのように権益売却で資産から切り離せば市況変動の影響は受けなくなる。対照的に減損処理後も保有を続ける銅など3分野は価格が高くなれば利益が得られる半面、さらに値下がりすれば追加の減損処理を迫られる可能性もある。

大手商社の間では資源分野の見直しが進んでいる。伊藤忠商事は15年、米石油・ガス開発会社の株式25%を同社に1ドルで売却し、シェールガス開発事業から撤退した。11年に780億円を投じて株式を取得したが、資源価格下落で安定収益を確保できないと判断した。

「原油や資源の価格は数年は現在の水準が続く」(大手商社)との声は多い。減損処理後も所有するのか、撤退に踏み切るのか、新規取得にも乗り出すのか。各社見極めが迫られている。』


日本は、ご存知のように、石油、ガス、石炭、銅、ニッケルなどの天然資源をもっていません。基本的にはこれらの天然資源は、海外からの輸入に頼っています。

国内商社は、天然資源の調達・輸入事業を取り扱っており、日本の天然資源調達は、ほぼ国内商社に頼っていると言っても過言ではありません。

2~3年前まで、中国は高度経済成長期にあり、旺盛な需要を満たすため、一時期大量の天然資源を「爆買い」しました。このときは、中国が絡んだ天然資源の輸入コストは高額になりました。

その後、中国が国内市場の低迷により、天然資源の大量購入・調達をストップしました。ほぼ同時期に、欧州市場を中心に経済状況が低迷し始めました。

このため、天然資源の調達・購入量が大幅に低下しました。さらに、天然資源の代表格の一つである石油や天然ガスは、アメリカのシェールオイル・ガスの採掘量拡大と、イランに対する経済封鎖の解除による石油輸出の再開などの要因も加わって、石油と天然ガスの取引価格は大幅下落しました。

国内商社は、このような世界レベルで動く、さまざまな経済・政治状況などのリスク要因を勘案しながら、安定し、且つ、合理的な価格で多くの天然資源の調達・確保に動いています。

国内商社は、天然資源の調達・確保のビジネスから手数料を獲得して、自社の収益拡大につなげています。

さらに、海外の国から、多くの天然資源の開発・採掘権を購入して、保有することで、オーナー企業としても収益源確保をしてきました。

このような天然資源ビジネスは、世界経済が発展しているときは、持つものの強みを発揮して、大きな収益源になります。

しかし、現在のように、アメリカを除く国際市場が不活発なときは、天然資源を所有していると、巨額の減損処理を行う必要があるとともに、大きな資金負担になります。

製造事業者で言うと、巨額の仕掛品や製品の不稼働在庫をもっていたり、生産数量が極端に低く工場の採算がまったく取れないような状況になります。

このような事業状態が続くと、多くの製造事業者は撤退か廃業、あるいは倒産の深刻な状態に直面します。

本日の記事は、大手国内商社の一つである三菱商事がインドネシアのニッケル鉱山権益売却を決めたことについて書いています。「11年に1トン約3万ドルだったニッケルの国際価格は現在、9000ドル台と3分の1に下落した。事業を継続しても採算がとれないと判断し、約100億円でプロジェクト運営会社の株式などをエラメット社に譲渡する。」されます。

三菱商事は、「資源分野の総資産額を増やさず、手持ち資産の内容を変える」やり方を取っています。

これは、総手持ち資産額を一定にしつつ、最新の政治・経済状況に合わせて、手持ち資源の構成を柔軟に変化させることで、減損のリスクを最小化するやり方になります。一種の「事業撤退基準」です。

この事業撤退基準の設定は、製造事業者にとっても最も重要な経営施策の一つになります。

私が、中小製造事業者に対して、新規事業立上や海外事業開拓で、その企業にとって投資リスクを伴うビジネス支援を行う場合、3~5年の期間を想定した事業撤退基準を設けてもらっています。

たとえば、3年後に事前に想定した売上目標に達しない、年間の赤字状態が解消されないなどの場合に直面したときに、その状態が事前に設定した撤退基準であれば、基本的には機械的に撤退を実行してもらいます。

もちろん、事前に市場・顧客開拓の見通し、競合他社の状況なども検討・勘案して決めています。

多くの製造事業者は、これらの事業に未練があり、なかなか撤退を実行できません。私は、その撤退決定を後押しします。

私の経験では、このような事業を継続しても、多くの場合、赤字を垂れ流すだけであり、時間の経過が当該企業に深刻なダメージを与えることによります。

製造事業者だけでなく、ITベンダーやサービスなどの事業者は、新規投資をして事業立上を行う場合、事前に事業撤退基準を設けておいて、そのような事態に直面したら迷うことなく撤退することがやけどを最小化することになります。

その視点から、本日の記事にあります国内商社の動きに注目することが重要になります。

よろしくお願いいたします。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 


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日経記事;『三菱自、米国生産撤退へ アジアに拠点集中 工場売却の方針』に関する考察 [事業撤退に関する課題と対応]

                                        2015年7月24日

皆様、
こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月24日付の日経新聞に、『三菱自、米国生産撤退へ アジアに拠点集中 工場売却の方針』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『三菱自動車は米国の自動車生産から撤退する方針を固めた。イリノイ州にある工場での多目的スポーツ車(SUV)生産を打ち切る。今後は雇用を含めた存続を軸に、他社との売却交渉に入る見通し。

欧州とオーストラリアの生産から撤退する一方、タイ、インドネシア、フィリピンなどで生産能力を高めている。成長が見込めるアジアでの生産にシフトし、世界各地に供給する体制に移行する。

日本の自動車大手で、欧米両方から生産撤退するのは初めて。撤退に関する詳細は今後詰めるが、近く労働組合との協議に入る見通しだ。

イリノイ工場は米クライスラー(現フィアット・クライスラー・オートモービルズ)との合弁で設立し、1988年に稼働した。現在は三菱自の全額出資子会社となっている。2002年には年20万台超を生産していたが、セダンなど北米専用車の生産をすでに打ち切っており、現在はSUV「アウトランダースポーツ(日本名RVR)」のみを手掛けている。

年産能力約12万台に対し、14年の生産実績は6万4000台と世界生産全体の1割に満たない。北米での販売伸び悩みに加え、ドル高によって輸出が苦戦し、稼働率が落ち込んでいる。米国内の三菱自の販売シェアは1%未満とトヨタ自動車など他の日系大手に引き離されている。

三菱自は08年に豪州生産から撤退。12年末にはオランダの生産子会社を現地企業に売却し欧州生産から撤退した。一方でタイに戦略車「ミラージュ」を生産する工場を建設し、インドネシアで新工場建設を進めるほか、フィリピンでも米フォード・モーターから工場を買収するなど積極的に投資し、選択と集中を進めている。

三菱自は2000年代のリコール(回収・無償修理)隠し問題後の販売不振で経営が悪化したが、14年に負の遺産だった優先株の処理を終え、経営再建にめどをつけた。東南アジア3国を主要拠点に各地に輸出する「アジアモーター」として生き残る体制を整える。』


本日の記事は、三菱自動車の米国工場の閉鎖・撤退について書いています。現在の米国工場での生産規模が2014年の生産実績は6万4000台で、生産能力が12万台ですから、稼働率は約半分となります。

この生産水準では、工場は当然のごとく赤字になります。これは、三菱自の米国内でのSUV販売が伸びていないことが主要因になっています。

また、米国工場から海外に輸出しようとしても、US$高で輸出事業の価格競争力がなく採算性が悪化します。これは、以前の日本が異常な円高で直面していた輸出事業の不採算性と同じ問題です。

三菱自のSUVの競争力があれば、多少のUS$高でも価格競争力は維持できますが、残念ながらそのような状況にはなっていません。

通常、中小企業なら自社商品が海外市場で売れずに当該地域に作った工場が赤字に直面する場合、今後の販売増が見込めないならば、工場の撤退を考える必要があります。

一般的に中小企業の場合、海外工場の赤字状態は、人間の体で例えれば毒になりますので、早期に毒を体の外に出す、つまり、撤退や閉鎖などの処置を行う必要があります。

少々古い情報になりますが、「2006年度版中小企業白書」によりますと、中小製造業の 海外進出のパターンは、以下のようになります。

〔1〕製造工程のコストダウンを目的として進出するケース(現地販路開拓はせず、製品を日本に逆輸入する)
〔2〕親企業の海外進出に伴い、要請を受けて進出するケース
〔3〕親企業を含む海外進出した日系企業との取引維持・拡大を目的に自社判断で進出するケース
〔4〕現地市場での新規顧客開拓をターゲットに進出するケース

上記パターンあるいは要因で海外に工場を作った中小企業が、本白書によると数年後には4割強の会社が撤退している事実があります。

撤退の最も大きな理由は、販売不振つまり集客できないことによります。今回の三菱自と同じ状況になっています。

三菱自は大手企業ですから中小企業のように早期に撤退する必要がなく、会社全体で収益改善・拡大ができる時期まで実行することを延期していたのでしょう。

私が中小製造事業者の海外工場展開を支援するとき、常に撤退基準を設定するようアドバイスしています。

撤退基準は、会社の状況により異なります。例えば、3年以内に想定した売上目標にいかない場合、工場の赤字状態が3年以内に解消しない場合などになります。


一方、三菱自は、今後、タイ、インドネシア、フィリピンなどで集中的に工場を展開するようです。ベトナムも候補地に入る可能性があります。

ベトナムは、TPP交渉に入っており、この交渉がまとまれば、ベトナムは自国内で作った商品を米国市場に低い関税率で輸出できる可能性があります。

アセアンは、2015年に経済統合を行う計画をもっており、これが実現するとアセアン域内では関税が基本的にゼロになる可能性があります。

国内自動車メーカーにとって、米国市場は非常に重要な市場になりますので、三菱自も決してあきらめることなく、米国市場での拡販に最大限の努力を当然のごとく行うとみています。三菱自は、アセアン域内の工場から米国市場に輸出することを想定しているとみます。

中小企業も、対象市場やそこでの販売状況に合わせて、どこに工場を作れば良いのか、慎重に検討・計画して、実行することが重要になります。

以前は、海外の消費者市場に近いところで作るのが基本的なやり方の一つになっていました。今後はTPPやFTAなど、各国で結ばれている、あるいは今後結ばれようとする自由貿易協定の状況も勘案して工場建設の場所を決めることが重要であり、必要になります。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『パナソニック,中国・メキシコでテレビ生産撤退 収益重視 日本勢,リストラにめど』に関する考察 [事業撤退に関する課題と対応]

                                         2015年1月31日

皆様、
こんにちは。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

1月31日付の日経新聞に、『パナソニック,中国・メキシコでテレビ生産撤退 収益重視 日本勢,リストラにめど』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『パナソニックは中国とメキシコでテレビ生産から撤退する。中国工場の稼働を停止し、北米市場向けを生産しているメキシコ工場は今春に売却する。世界のテレビ市場では北米と中国の競争が最も激しく、収益改善に向け世界の生産体制を見直す。

北米ではソニーが人員削減を進め、東芝も自社開発・販売からの撤退を決めた。家電大手は長く業績の足を引っ張ったテレビ事業のリストラにめどをつける。

パナソニックは2015年3月期に構造改革を終えると表明しており、14年3月期まで6期連続で赤字が続くテレビ事業の収益改善が最大の懸案だった。海外生産を年70万台程度減らし、世界全体で約1割縮小する。テレビ主要5工場のうち中国とメキシコを閉め、栃木県、マレーシア、チェコの3カ所に減らす。

15年3月期の世界販売は約700万台(傘下の三洋電機ブランド分を除く)の見通し。合計1割を占める北米と中国は販売価格の下落が大きく、コスト面で対応できないため生産から撤退する。

中国では30日に生産を停止した。8割出資する合弁会社(山東省)を清算し、数百人の従業員は解雇する方針だ。年20万台規模だった自社生産分を他社からの調達に切り替え、販売は続ける。

同国でのテレビ生産はパナソニックが中国市場を開拓する原動力のひとつとなった。1978年、中国の鄧小平氏が訪日して創業者の松下幸之助氏に中国近代化への協力を要請した。これを受け87年にブラウン管の合弁工場(北京市)を設立した。ただ、最近では中国大手の台頭などもあって販売不振が続き、12年には上海市のプラズマテレビ工場の生産を停止し今回で完全撤退となる。

メキシコ工場は年50万台を生産し、主に米国の量販店に供給してきた。海外のEMS(電子機器の受託製造サービス)大手などと売却交渉を進めるとみられる。販売も一部の量販店などに絞り、損失を縮小させる。

日本、東南アジア、欧州の主要拠点は収益を確保できるとして、高精細テレビなど付加価値の高い商品を強化する。パナソニックのテレビ事業(パネルを含む)は14年3月期に465億円の赤字だった。16年3月期の黒字転換を目指す。

日本のテレビ大手ではソニーが昨年7月にテレビ事業を分社化し、北米を中心に販売要員などを削減している。東芝は29日、海外でのテレビの自社開発・販売から撤退し、北米は台湾企業にブランドを供与するライセンス事業に切り替えると発表した。シャープも欧州のテレビ生産・販売から撤退するなど、大手各社は事業損益の黒字転換や黒字基調の定着に向け構造改革を急いでいる。』


本日の記事は、パナソニックが赤字事業の一つであるテレビの最終的なリストラ策を実施することについて書いています。

国内家電事業者は、過去数年以上に渡ってテレビ事業の巨大赤字に悩まされてきました。テレビ商品は、差別化・差異化が難しい、汎用品の代表例になります。

一般的な液晶テレビは、市場に流通している汎用部品を使えば、どの製造事業者でも作れます。このため、価格競争が激しくなり、コスト競争力を維持できるメーカーのみが市場に残れる事業環境になりました。

市場価格を下げているのは、韓国・中国メーカーが中心になっています。安い労働力を駆使して、大量生産で製造コストを大幅に引き下げて、低価格商品の供給を実現しています。

国内家電事業者は、もっと早くテレビ事業に見切りをつけて、この赤字事業から早期撤退を行う必要がありましたが、なかなか実行しませんでした。

一時期、テレビは家電メーカーの顔として家電商品の中で中核的事業として位置付けられていました。また、テレビは大きな事業収益をソニー、パナソニック、東芝、シャープ、日立製作所などにもたらしていました。

当然、かってテレビ事業は各家電メーカーの大きな経営基盤の一つになっていましたし、競争力強化のために数年前まで大型投資を行っていました。

このような事情から、各家電メーカーは、韓国や中国勢との価格競争で赤字事業になっていたテレビ事業から早期撤退を出来ずに赤字状態を長く引きずってきました。

テレビのような大型事業の早期撤退は、一時的には売上機会の損失や短期的に代替事業を立ち上げるための施策検討・実施の難しさなどの課題に直面します。

しかしながら、テレビ、パソコン、スマートフォンなどの家電商品は、完全に汎用化が進んでおり、低価格商品を出し続けなければ勝ち残れない市場環境に数年前からなっていました。

国内家電事業者は、汎用化が進む事業領域からもっと早期に撤退すべきでした。巨額赤字は、人間の体に例えれば、毒と同じです。巨額赤字をもち続ければ、企業の体力を徐々に企業の体力を奪っていきます。

国内家電事業者の場合、東芝と日立はいち早くテレビ事業に見切りをつけて、積極的に集中と選択を行いましたので、他企業と比べて比較的早く構造的な赤字から抜け出しました。

この集中と選択行為が、両社の事業収益改善に貢献しています。パナソニック、シャープ、ソニーの3社は、東芝や日立に比べてテレビ事業に対する集中と選択作業に手間取りました。

この3社がテレビ事業の集中と選択作業を加速させたのは、2~3年前くらいからです。赤字状態を続けることが会社経営の根幹を揺るがすようになったためです。

会社経営の基本は、事業収益をあげることにあります。赤字状態から抜け出せない状態を確認したら、早期に集中と選択や撤退作業を行う必要があることは、自明です。

ソニーは、2014年2月にテレビ事業を分社化して、赤字状態からの脱却に道すじをつけました。現在は、収益確保ができる高画質商品などに集中して事業しています。

パナソニックも、本日の記事にあります動きを取ることで、テレビ事業の赤字対策をほぼ終了させます。

パナソニックの場合、民生用途のスマートフォン事業から撤退して、業務用途のスマホ事業に集中しています。パソコン事業も、事業用途に特化して高額商品に集中することで差別化・差異化を実現しており、国内市場で人気商品になっています。

一方、ソニーは、新規事業の柱として位置付けたスマートフォン事業で苦戦しており、赤字対策のためにいくつかの集中と選択作業を行っています。スマホ事業は、ソニーにとって経営の柱にならないことは、確実です。この商品の汎用化が世界市場で進むことによります。

現在世界市場でスマホのトップシェアをもっているサムスンも、中国勢に価格競争で負けており、売上・シェアを落としています。


パナソニックは、環境やエネルギーなどに関連した事業分野を経営の柱とすべく、方向転換しつつあります。

ソニーも、世界市場でトップシェアをもつCMOSイメージセンサーを中核にして、スマホやタブレット市場だけでなく、医療や自動車などの産業事業分野を開拓しようとしています。また、ソニーの場合、インターネットをフル活用を含めた娯楽用途(エンターテインメント市場)の事業開拓を行う動きを2014年度から活性化しています。

両社は、汎用化が起こりにくい事業分野を対象に差別化・差異化可能な技術やノウハウで、新規事業開拓をしようとしています。


さて、中小企業の場合、大手企業と異なって赤字状態を続けていると即座に倒産するリスクがあります。

従って、中小企業は、赤字状態になった場合、その解消が見通せないときは、早期に当該事業から撤退、あるいは売却などの施策を取る必要があります。

もちろん、並行して代替事業分野の早期立ち上げも行う必要があります。私は、中小企業に対して赤字事業からの撤退支援を行う場合、常に並行して新規事業立上を行う作業を行うようにしています。事業撤退も新規事業立上も、時間との戦いになります。

パナソニックやソニーの事業撤退と新規事業立上の動きは、さまざま点から中小企業の経営に参考になることが多いので、今後も注目していきます。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『パナソニック、TV事業を大幅縮小 プラズマ撤退へ 液晶は外部調達拡大』に関する考察 [事業撤退に関する課題と対応]

                    2013年3月18日

皆様、
おはようございます。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

3月18日付の日経新聞に、『パナソニック、TV事業を大幅縮小 プラズマ撤退へ 液晶は外部調達拡大』のタイトルで記事が掲載されました。

本日は、この記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『パナソニックは2013年度からの3カ年でテレビ事業を大幅に縮小する。プラズマテレビは14年度をメドに撤退する方向で検討に入った。

液晶テレビは自社でのパネル生産を縮小し、大半を外部からの調達に切り替える。赤字続きのテレビ事業はパネルの自前主義から脱却して構造改革に区切りをつける。今後は航空機向けシステムや自動車部品など、企業向け事業を中心とする収益構造への転換を急ぐ。

28日に公表する中期経営計画の中で、テレビ事業の方針を明らかにする。同事業はピーク時の09年度に1兆円を超えていた。15年度にはその半分以下に縮小する見通しだ。

プラズマテレビは主力の尼崎工場(兵庫県尼崎市)でのテレビ用パネル生産を、14年度をメドに終了する方向で調整している。尼崎工場には生産棟が3つあり、設備については11年度までに大半の減損処理を実施済み。

残る建屋についても最大で900億円規模の減損処理が必要となる見込み。プラズマテレビから撤退するには小売店など「取引先との関係も十分に考慮する必要がある」(幹部)ため、生産量を徐々に絞りながら14年度中の撤退を検討する。

プラズマテレビの新規開発はすでに中止している。特に国内では薄型テレビの市場が縮小し、液晶とプラズマの2方式を続けるのは非効率と判断。市場の1割に満たないプラズマテレビから撤退する。従業員の配置転換などを検討する。

液晶テレビ事業も縮小の対象。液晶パネルは姫路工場(兵庫県姫路市)で生産しているが、今年度中に外部調達比率を7割に高める。韓国LG電子などからの調達を増やし、最終的には大半を外部調達にする。

商品ラインアップは維持しつつ、液晶テレビ事業に投じてきた人や資金を成長分野に振り向ける。姫路工場はタブレット(多機能携帯端末)向けの中小型液晶などに生産をシフトする。

ソニーと提携して量産技術の確立を目指している有機ELテレビは、14年度の製品発売を目指す。液晶よりも消費電力が少なく画像が鮮明などといった特徴がある。ただ投資負担を減らすため、ソニーなど他社との協業や合弁、生産委託を前提に事業化を進める。

パナソニックの12年度のテレビの世界販売計画は1300万台で、10年度の2000万台強から落ち込む。12年度のテレビ事業は5期連続の営業赤字となる見通し。

同社は1997年に初めてプラズマテレビを発売した。大型画面の画質の良さを売りものにブラウン管に代わる薄型テレビの本命と位置づけ、シャープなど液晶テレビ陣営と激しい競争を繰り広げた。

しかし液晶テレビの画質向上や大画面化で特色を打ち出せなくなり、プラズマテレビ用のパネル事業からは日立製作所が08年度に、パイオニアは09年度に撤退した。パナソニックの撤退でプラズマテレビを手がける国内家電メーカーはなくなる。』

パナソニックは、昨年来新経営陣のもとで、「集中と選択」の検討を行なってきました。その内容がまとまりつつあります。

本日の記事によると、パナソニックは、プラズマテレビからの完全撤退と、液晶テレビの生産拠点の大幅縮小、あるいは閉鎖を行ないます。

家庭用テレビは、どの方式であっても汎用化して低価格化・価格競争の事業環境になることは、歴史が証明しています。

韓国、中国、台湾のテレビメーカーは、量産化によるコスト圧縮で低価格商品を出してきます。これから本格普及期を迎える有機ELテレビも近い将来、汎用化します。

パナソニックやソニーなどの国内家電メーカーは、家庭用テレビに投資して、事業展開を行なうべきではありません。

家電メーカーの顔の一つとして、あるいは販路を維持するために家庭用テレビを商品群にもつ必要があるのなら、主要デバイスを外部から購入して商品化する方法で対応する必要があります。

また、テレビ自体を他社に生産委託してOEM的なやり方で供給してもらうことも可能です。一部の機能・性能を差別化・差異化ポイントとして、ソフトウェアもしくはデバイスの付加で実現する方法もあります。

デジタル化した状況では、多くの機能・性能は汎用化したデバイスやソフトウェアで実現できます。

かって国内メーカーが得意とした主要部品・デバイスから最終商品までを一気通貫で自社内にもって、差別化・差異化を図るやり方は、デジタル技術で汎用化した事業分野では現実的ではありません。

その観点からみますと、同日付の日経新聞に、パナソニックが部品事業の見直しと改革を急ぐとしているのは、合理的です。

パナソニックは、最終商品の競争力確保に必要なもの、あるいは部品単体に付加価値があり高い競争力を持つ部品に特化して、社内に残す必要があります。

本日の記事は、パナソニックが上記視点から部品事業の集約化を行なうことを伝えています。

パナソニックは、3月28日に公表する中期経営計画にて、上記「集中と選択」、新規事業分野などを明確化するとみます。

パナソニックは、可能な限り早期に「集中と選択」を行なって、成長分野に経営資源を集中化して新規コア事業を確立する必要があります。環境、エネルギー分野が有望であり、業務用途に力を入れるとみます。

家電商品では、価格競争に巻き込まれない、白物商品を中心に展開することになります。


さて、事業撤退は、発表したあとは可能な限り早期に行なうことが実現可能とするためのポイントになります。

パナソニックのような巨大企業が主力商品事業の撤退を行なう場合、素材、部品、加工などの製造、あるいは小売業者などの関連事業者への影響が大きいため、事前に発表して実行する必要があります。

中小企業の場合、事業撤退を行なうやり方は、大手企業とは異なります。事前に公表すると、当該企業の信用問題になりますので、秘密裏に迅速に行なうことが必要です。

取引先に対する影響を最小限にしながら、行なうことも重要です。中小企業がある事業分野から撤退しても、多くの場合、既存取引先との関係が続くためです。

例えば、製造事業者がある商品の製造・販売をやめる場合、取引先である小売業者の影響を最小限にするため、代替商品をOEM供給してもらって自社ブランドで販売するやり方もあります。

私は、会社勤務時に事業撤退を担当しました。取引先に対する影響を最小限にする仕組み作りを行ないながら、周りの理解を得て最短で行ないました。

その経験をもとに、何社かの中小企業の事業撤退を支援しました。事業撤退は、自社及び取引先に負荷をかけます。成功のポイントは、秘密裏にマイナスの負荷を最小限にしながら、早期に行なうことです。

事業撤退の長期化は、信用失墜などから当該中小企業の倒産・廃業につながることが多いためです。長くても3カ月が上限です。これは、私の経験に基づきますので、決して普遍的ではありませんが、事業撤退の長期化は、企業の命取りになります。

事業撤退については、本ブログ・コラムで何度か書いています。『事業撤退に対する課題と対応」のカテゴリーに当該記事が入っています。

ご関心のある方は、お読みください。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 


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日経記事;『日立電線、国内銅管事業から撤退 住軽金に設備売却』に関する考察 [事業撤退に関する課題と対応]

                                                                                2011年10月29日
皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月29日付の日経新聞に、『日立電線、国内銅管事業から撤退 住軽金に設備売却』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『日立電線は28日、国内の銅管製造販売から2012年3月末に撤退すると発表した。唯一の生産拠点である土浦工場(茨城県土浦市)の生産設備は住友軽金属工業に売却する方針で、従業員150人前後は社外出向や転籍などを進める。

事業再構築と併せて国内のグループ社員を対象に650人を募集する早期退職・転職支援制度も導入、収益改善を急ぐ。

日立電線は主力の電線事業のほか、電線技術を応用した金属材料や半導体材料なども手掛ける。しかし、いずれも海外展開では後れを取り、国内需要が落ち込む中、手広さゆえに赤字体質に陥った。事業の選択と集中が課題になっている。

日立電線は銅管を年1万9800トン生産する国内3番手。銅管事業の11年3月期の売上高は177億円。銅管はエアコン内で熱交換を担う冷媒をやりとりする配管に使う。
素材は熱伝導率が高い銅が多いが、顧客のエアコンメーカーの海外移転などで国内需要は縮小している。

9月の中期経営計画見直し時点ではスリム化の方針だったが、12年3月期の国内銅管事業の経常損益は2億円の赤字の見通しで、国内生産を継続しても収益確保が難しいと判断した。
事業撤退に伴う特別損失約5億円を12年3月期に計上する。

設備を売却する住友軽金属工業は神戸製鋼所と三菱マテリアルの共同出資会社、コベルコマテリアル銅管に次ぐ銅管国内2位。

日立電線は海外では中国とタイの2カ所で、古河電気工業などと共同出資で銅管事業を展開している。海外事業については「相手もあるので、これから検討していく」(西山光秋執行役)としている。

あわせて導入する早期退職・転職支援制度は35歳以上の国内グループ社員が対象。11月1日から12月31日まで募集し、退職金に特別退職金を加算する。12年3月期の特別損失に加算金など約70億円を計上する。

12年3月期の業績予想も下方修正した。連結最終損益が220億円の赤字(前期は129億円の赤字)になる見通し。従来予想は190億円の最終赤字。半導体製造装置向けなどの需要が落ち込んでおり、赤字幅が拡大する。最終赤字は4期連続。

売上高は5%増の4400億円、営業利益は6.3倍の50億円の見通し。不採算事業から撤退することで、前期比では採算が大幅に改善するが、従来予想比では、売上高で200億円、営業利益で30億円、それぞれ下方修正した。』


私は、本ブログ・コラムで何回か事業撤退について書いています。事業撤退は、私の経験も含めて一般的に新規事業立ち上げに比べて多くの困難を伴います。

それは、現行事業に多くの関係者・関係企業が関与しているためです。例えば、資材の納入企業や販売を担当する特約店などがその企業の関係者や関係企業になります。

事業撤退すると、これらの関係者・関係企業の事業や生活に直ちに影響を与えます。そこで、当事者である企業は事業撤退に対して直ちに行動を起こさないで、先送りする傾向があります。

しかし、先送りすればするほど、最後の最後に事業撤退を決めるとより一層深刻な打撃を関係者・関係企業に与えます。
このことは、会社勤務時に何回かの「集中と選択」を行ったり、経営コンサルタントとして独立後に何社かの事業撤退を支援してきた経験でも実証済みです。

一旦事業撤退を決めたら、所定の行動計画に基づいて迅速に行うことが重要です。これは、M&Aのやり方と同じです。最悪なのはずるずると時間をかけて行うことで、周りの関係者・関係企業からの信用を一気に失い、事業基盤を無くすリスクがあります。

事業撤退は、事業を行う上での一つのやり方であり、決して実行する企業にとって事業の土俵から去るわけではありません。

事業撤退を会社の恥辱とか、社長個人の無能力を示すとか考えて躊躇する経営者がいます。この時は、事業撤退を積極的に行って、新しい領域で事業展開する必要性を説明するようにしています。

今までに、ブログ・コラムで書いてきました通り、経営者は常に事業撤退の可能性について考えておく必要があります。

以前、ある中小企業の経営者から事業撤退の相談を受けました。その時に幾つかの角度から検討し、直ちに実行した方が良いとアドバイスしました。この経営者はその時に諸事情を考慮して先延ばししました。後日、倒産したとの連絡がありました。

事業撤退の方策の中に一部事業の売却を含めておりその資金で別事業立上の施策も提言内容に含めていたので、残念な事態になりました。

日立電線の場合、縮小する国内市場が主要な事業領域で、シェアは3位以下ですので、事業撤退は当然の選択肢です。

事業撤退や縮小或いは売却は、一定のルール(判断基準)を決めて迅速に行うことが重要です。
私の場合、ルールとは客観的な数値・データ・情報に基づき決めます。

例えば、以下のものです。

1.過去3期の売上実績と今後の予想数値
2.現在の世界シェアと今後の見込み
3.現在の市場規模と今後の見込み
4.過去3期の利益・コスト構造と今後の予想数値
5.他社との競合状況と自社の強み・弱み
6.撤退などした場合のエンジニアの処遇や再配分などの選択肢案
7.工場の生産性への影響と再配分選択肢
8.販売ルートへの影響と対応選択肢
9.顧客への影響と対応、など

上記ルールのうち、状況に応じて幾つかのものを組み合わせて使います。

ルールに基づいて事業撤退の案件がまな板に上がったら早期に検討し、行うかどうか決めるようアドバイスします。

撤退を決めたら一気呵成に行い、短期間で終了するようにします。社内の実行ポイントは、全関係者で情報共有することです。これをきちんと行わないと失敗や後遺症の問題に直面します。

事業撤退について『事業撤退シナリオの実行』のタイトル名で10回シリーズの記事をブログに書きました。
当該記事は、 [事業撤退に関する課題と対応]のカテゴリーに入っています。
第1回目の記事は、下記Webサイトからご覧になれます。

http://p.tl/y-Uc

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事;『総合電機からの脱却、なぜ必要? 安定収益の事業を選択 フィリップス社長兼CEO ジェラルド・クライスターリー氏に聞く 』に関する考察 [事業撤退に関する課題と対応]

                                                                  2011年2月20日

皆様、
こんにちは。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

2月20日付の日経新聞に、『総合電機からの脱却、なぜ必要? 安定収益の事業を選択 フィリップス社長兼CEO ジェラルド・クライスターリー氏に聞く 』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『欧州電機大手のフィリップス(オランダ)が事業の集中と選択により、収益構造を一変させた。液晶パネルや半導体などの事業から撤退し、医療・照明・家電の3事業に絞り込んだ。10年間にわたり改革を先導し、4月に退任するジェラルド・クライスターリー社長兼最高経営責任者(CEO)に聞いた。

―10年前と現在では会社の姿が大きく変わった。

「私が社長に就任した時、フィリップスは日本にもあるようなユーザー向け製品と半導体などの電子部品を同時に手掛ける総合電機メーカーだった。両事業の性質は全く違う。部品事業では大量生産のノウハウや生産技術がカギ。投資家の観点から見ても、収益の波が激しい事業だ。

一方、最終製品・サービス事業はブランド管理や市場開拓戦略が中心。利益も比較的安定している。

性質や方向性の異なる2つの事業を同時に抱えることは効率的なのか。そこで選択をした。わが社は、「健康と安らぎ」をキーワードにフィリップスブランドをユーザーに届ける企業になる、と。

半導体や液晶パネルは売却し、その資金で医療機器や照明関連の企業を買収した。2000年時点で7つあった事業は3つに集約された。」

ー改革には抵抗が伴う。

「選択と集中を実行する際、トップは売却対象事業の社員も明確な展望を持てる様にする必要がある。
簡単に切り捨てるわけにはいかない。

液晶パネルの売却は韓国LG電子ととの共同出資会社という形を取り、全株式売却に10年かけた。
06年に分離した半導体事業も、一定比率持ち続け、昨年全て売却した。

両社で元社員が活躍している姿を見ると、改革の進め方が正しかったと確信している。」

ー改革後のフィリップスは強くなったか。

「08~09年の経済危機を乗り越え、07年に設定した“10年に事業利益10%”という目標を達成できた。

健康関連に事業を絞り込んだからこそ新興国の勢いを取り込み、危機後に迅速に事業が回復した。
部品事業を抱えたままなら、相当に困難な状況に陥っていた。」

ー新興国の売上比率は3割に達した。

「15年には4割にする。経済成長を考えれば、5割を超えるだろう。新興国戦略は地域の事情に合った製品開発がカギ。今後も現地企業の買収は続ける。

資本支出の5割はM&Aに費やす。高齢化が進む日本も重要な市場だ。日本企業の買収には今後も関心を持ち続けるだろう。」。。』


フィリップスは、1995年過ぎから積極的に事業拡大のため、積極的にM&Aを行ってきました。
その経営姿勢に変化が見られ始めたのは、2000年以降です。2000年前半には、集中と選択を行い始め、2000年後半に活発化させていました。

この2000年代の集中と選択をリードしたのが、クライスターリー氏です。

先進国地域で経済が成長し、市場拡大が続いていた時は、大手家電メーカーは、そろって部品や関連事業などを積極的に取り込み内製化して、最終製品とのシナジーを出して、部品でも最終製品の双方を強化できる総合家電メーカーを目指すのが大手企業の共通戦略でした。

規模の拡大で、市場の川上から川下まで全ておさえることで他社との競争に勝つ戦略です。
市場が拡大していましたので、シェアが低いメーカーでも生き残れました。

逆に、市場が縮小し始めると当該市場で大きなシェアを取っていない企業は、固定費をカバー出来る売上確保が出来なくなり、赤字に陥ります。

国内の家電メーカーもこの問題に直面し、大規模な集中と選択やM&Aを行っており、多くの企業がまだ続行中です。

フィリップスも同じ状況でした。
私は、フィリップス本社を何度か訪問しました。国内企業と同じ雰囲気を持った企業だと、初めて訪問した時感じました。

2000年代後半から集中と選択が加速し、儲からない或いは先行きが見えない事業は、売却されていきました。
国内メーカーよりは、早くから集中と選択を行っていた、との印象を持っていました。

クライスターリー氏のコメントの中で印象的なのは、「ユーザー向け製品と半導体などの電子部品の両事業の性質は全く違う。部品事業では大量生産のノウハウや生産技術がカギ。」と言っていることです。

フィリップスは、今も昔も大量生産を低コストで行う技に秀でていないと思います。
市場拡大には、フィリップスのスピードでも部品事業が出来ました。

今は、市場拡大が再び始まりましたが、顧客は高性能付部品をより安く提供するように要求しています。
競合他社はこの業界で専門メーカーとして勝ち残って来た強力企業です。
このような事業環境下で、スピードやコスト競争力で劣る企業は生き残れません。

事業環境が大きく変わってしまったのです。

苦手な事業から撤退し、得意分野に経営資源を集中させるのが「集中と選択」であり、正しい方向だと考えます。
フィリップスが国内企業と異なるのは、売却しながら新分野を強化するため買収を積極的に行っていることです。
この点は国内企業が参考に出来ると考えます。

クライスターリー氏は近々に英ボーダフォンに移るようです。
フィリップスの集中と選択に一区切りついたと判断されたのでしょうか。

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー GBM&A 山本 雅暁


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日経記事:『シャープ:PC事業から撤退 多機能携帯などに転換』に関する考察 [事業撤退に関する課題と対応]

                                                        2010年10月22日

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

10月22日付の日経新聞に、『シャープ:PC事業から撤退 多機能携帯などに転換』のタイトルで記事が掲載されました。

本日はこの記事に関して考えを述べます。

記事の主な内容は以下の通りです。

『シャープは21日、パソコン事業から撤退することを明らかにした。「メビウス」ブランドのノート型などを販売していたが、端末単体では採算確保が難しいと判断した。多機能携帯端末の販売とコンテンツ配信を組み合わせて12月に始める「GALAPAGOS(ガラパゴス)」事業などにビジネスモデルを転換する。

シャープは液晶や半導体、通信に関する独自技術を生かしてパソコン事業を展開してきた。1990年代にはハードディスク駆動装置とフロッピーディスク両方を内蔵したタイプで世界最小・最軽量のノート型を開発。2009年6~10月には液晶パッドで手書き入力ができるノートパソコンを出したが、その後は新商品を出していない。生産も昨年末までに打ち切っている。

シャープはパソコンを海外で委託生産していたため、撤退に伴う設備の除却損などは発生していないとみられる。販売済み商品の修理などサポート業務は今後も続けるという。

シャープのパソコン事業からの撤退は、国内メーカーでは07年に生産から撤退した日立製作所に続く動き。パソコンは基本ソフト(OS)は米マイクロソフト、半導体は米インテルに握られ、パソコンメーカーにとっては差異化が難しく、利幅が低い製品。このためシェア上位企業でも採算はぎりぎりだ。

同時に「iPad」などの多機能携帯端末や、スマートフォン(高機能携帯電話)など、端末の垣根を越えた競争が激化するのは確実。従来型のパソコン事業を縮小する動きが相次ぐ可能性もある。。。』


90年代から国内の電子電機セットメーカーは、集中と選択に取り組んできました。
国内市場の飽和と海外企業との競争激化で、国内メーカーの採算が悪化したためです。

しかし、その動きは遅く中々進みませんでした。

理由は、各会社ごとに異なると考えていますが、海外企業に比べて動きが遅いのは否めません。

事業撤退や縮小或いは売却は、一定のルール(判断基準)を決めて迅速に行うことが重要と考えています。
ルールとは、客観的な数値・データ・情報に基づき決めます。

例えば、以下のものです。

1.過去3期の売上実績と今後の予想数値
2.現在の世界シェアと今後の見込み
3.現在の市場規模と今後の見込み
4.過去3期の利益・コスト構造と今後の予想数値
5.他社との競合状況と自社の強み・弱み
6.撤退などした場合のエンジニアの処遇や再配分などの選択肢案
7.工場の生産性への影響と再配分選択肢
8.販売ルートへの影響と対応選択肢
9.顧客への影響と対応、など

私の場合は、上記ルールのうち、状況に応じて幾つかのものを組み合わせて使いました。

ルールに基づいて事業撤退の案件がまな板に上がったら早期に検討し、行うかどうか決めます。
行うと決定したら、社内に関係部署にまたがるプロジェクトチームを起こして、数か月以内に実行・完了するように動くことが肝要です。

事業撤退については、しょうしょう古い記事になりますが、月刊誌に特集記事が組まれ、私の執筆記事が掲載されました。

月刊誌とタイトル、及び、内容は以下の通りです。

◆発行会社:宣伝会議 
◆誌名:広報・IRの専門雑誌「PRIR(プリール)」2008年6月号(5月1日発売)

特集記事「特集1:事業撤退をマイナス情報にしない!引き際の広報」 で掲載されました記事;(タイトル名)“引き際の広報その流儀”の中で“case.2 大手機器メーカーで事業撤退を経験 カギは、情報管理の徹底”にインタービュー記事が掲載されています。

URL;http://www.sendenkaigi.com/hanbai/magazine/kouhoukaigi/index_0806.html

但し、現在バックナンバーは無いようですが。(-_-;)

また、事業撤退については、『事業撤退シナリオの実行』のタイトル名で10回シリーズの記事をブログに書きました。
当該記事は、 [事業撤退に関する課題と対応]のカテゴリーに入っています。
第1回目の記事は、下記Webサイトからご覧になれます。

http://bzsupport.blog.so-net.ne.jp/archive/c351383-3

よろしくお願いいたします。

グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁


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ファストリに見る事業撤退と事業強化の対応の仕方:集中と選択 [事業撤退に関する課題と対応]

                                               2010年7月23日

皆様、
おはようございます。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

7月22日付の日経新聞に、『ファストリ、婦人服店部分撤退を発表 200店を転換・閉鎖 特別損失30億円を計上へ』のタイトルで記事が掲載されました。

主な内容は、以下の通りです。

『ファストリテイリングはキャビンの急成長は難しいとみて、撤退を決めた。

ファーストリテイリングは22日、婦人服専門店運営子会社、キャビンの事業を整理すると正式発表した。同じくファストリ子会社で高価格の婦人服や紳士服のブランド事業を展開するリンク・セオリー・ジャパンが9月1日に吸収合併。キャビン運営の「ザジ」などのブランドは来年初頭をメドに休止する。この事業整理に伴い、10年8月期連結決算で約30億円の特別損失を計上する。

ファストリはキャビンの買収に約300億円を投じており、買収後に撤退する事業としては最大規模になる。

キャビンは「ザジ」「アンラシーネ」などの店舗名で主にショッピングセンターに出店している。ファストリは婦人服強化を狙い、キャビンに06年に出資、07年に完全子会社化。買収時に約200億円だった年商の1000億円への拡大を目標に新型店開発などを進めてきた。』

だが業績は好転せず、店舗数や売上高は現在も買収時と同規模にとどまっているもよう。ファストリは事業を継続しても構想通りに成長させるのは難しいと判断。今後は人員や資金をユニクロのアジアなど海外出店加速に集中する。。。。』

ファストリは、過去においても、キャビン以外にも04~05年に婦人服アパレル「ナショナルスタンダード」、靴専門店「ワンゾーン」などを相次いで買収したが収益を好転させられず、事実上撤退しています。

ファストリは、国内のアパレル業界で殆ど唯一と言ってよいほど、積極的な世界展開を行っており、将来は数兆円の売上確保を目標としています。

売上拡大は、扱いブランド品と店舗数の増加で実現する考えです。
ブランド品の確保は、M&Aで対応してきました。

これは、推測ですが、M&Aを実行する時に、費用対効果を計算し、数年後の売上目標を立て、その実現に向けて人材を投入していると考えます。
同時に、売上目標を達成できない場合、売却や撤退のシナリオも持っていると考えます。

売上目標を達成できない場合、買収に要した投資を回収できませんので、見切りは早めに付けた方が損失は少なくてすみます。

他の企業では、この『損切り』がなかなか出来ません。
損失の計上になる事と、将来好転するかもしれないとの淡い期待があるためです。
多くの場合、具体策は持っていないケースが多いようです。

この点、ファストリのやり方は単純明快です。

買収、売却、撤退を決める物差しがあるのでしょう。
同時に、柳井さんの決断力が大きいと思います。

M&Aや集中と選択を日常業務的に行っていくと、ノウハウが蓄積され、合理的な物差しの確立と、迅速な決定がより容易に行われるようになります。リーダーシップの発揮は当然のごとく必要です。

この事により、欧米の世界企業と同じかより早いスピードで事業展開できるようになります。

同じ日の日経新聞に、『ファストリ、高価格ブランド強化 「セオリー」中国店舗を倍増』の記事が掲載されました。撤退と同時に拡大を行っています。

M&Aを活用して、集中と選択を繰り返しているファストリの今後の動きを注視したいと思います。
ベンチャー・中小企業にとっても、M&Aや集中と選択を行う際の参考になります。

よろしくお願いいたします。
グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁

 


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事業撤退についての考察 [事業撤退に関する課題と対応]

                       2010年5月3日

皆様、

こんにちは。グローバル・ビジネスマッチング・アドバイザー 山本 雅暁です。

日経ビジネス2010年4月26日号は、特集記事として「勝つための撤退 」を組んでいます。まず目につくのは、マクドナルド400店閉鎖の記事でした。
現在、採算が取れている店も閉鎖対象としたとの事です。

私も事業撤退を経験しておりますので、その時の痛みと共に、慎重かつ大胆に、及びしょうしょう強引に推進したことを思い出しました。

事業撤退を行った理由と目的は、採算割れをした事業をストップし、その経営資源を新規事業に振り向けることでした。いわゆる、「集中と選択」です。

勝つための撤退とは、単に赤字事業を止めるだけでなく、経営資源を集中して新規事業の立ち上げや他の既存事業の強化に活用することだと考えます。

これを確実に行うためには、トップのぶれない明確な意志と戦略が必要であり、私の経験で申しますと、トップダウンで動かないと失敗する確率がとても高くなると思います。

また、撤退は明確なスケジュールと行動計画を作って一丸となって、所定の期間内に終了させる必要があります。撤退は、当然のごとく、顧客や取引先に大きな影響を与えますし、社内の当事者たちは今後のことに不安を持ったりしますので、組織のモチベーションも下がることが多いのが実情です。

これらのネガティブな事を最小限にして、今後の新規展開に結びつけるためには、撤退を予定通りに進捗させて、終了する必要があります。

これを実現するためには、上述したトップのぶれない意志と共に、このプロジェクトを直実に行うプロジェクトチームの発足です。特に、プロジェクトリーダーの役割は重要です。


以前に、事業撤退についてのブログ記事を書きました。
本ブログで、「事業撤退シナリオの実行」名でシリーズ化して書いています。ブログのカテゴリー名は、[事業撤退に関する課題と対応]になります。


上記ポイントの詳細は、上述しましたブログ記事をお読みください。


なお、事業撤退については、しょうしょう古い記事になりますが、月刊誌に特集記事が組まれ、私の執筆記事が掲載されました。

月刊誌とタイトル、及び、内容は以下の通りです。

◆発行会社:宣伝会議 
◆誌名:広報・IRの専門雑誌「PRIR(プリール)」2008年6月号(5月1日発売)

特集記事「特集1:事業撤退をマイナス情報にしない!引き際の広報」 で掲載されました記事;(タイトル名)“引き際の広報その流儀”の中で“case.2 大手機器メーカーで事業撤退を経験 カギは、情報管理の徹底”にインタービュー記事が掲載されています。

URL;http://www.sendenkaigi.com/hanbai/magazine/kouhoukaigi/index_0806.html

この特集記事についてご興味のある方は、上記Webサイトからバックナンバーを購入できますのでご覧いただければ幸いです。

 

グローバル・ビジネスマッチング・アドザイザー 山本 雅暁


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事業撤退シナリオの実行ーその10;顧客・販売代理店などへの周知・徹底-4 [事業撤退に関する課題と対応]

2007年9月24日

こんにちは。

本日は、代替製品の販売活動の開始 について述べます。
“事業撤退シナリオの実行”に関する記事は、今回が最後になります。

代替製品を販売する前にきちんとやっておく必要のあることは、今まで販売していた自社製品と、今後販売する他社製品の機能・性能面での違いをきちんと確認し、例えばリストアップしておくことです。

これは、自社の営業担当に周知徹底をきちんと行い、顧客から質問が出されたときに必要且つ充分な説明が出来るようにしておくためです。

多少の機能や性能などの違いはあっても、代替製品が新しい“自社製品”として前製品に遜色のないものであることを、営業担当にしっかりと理解してもらい、顧客にアピールしてもらうことが肝要です。

先ず、自社の営業担当にきちんと理解してもらっておかないと、お客からの質問に対して説明できませんし、信頼も勝ち取れません。

代替製品は、今まで売っていた自社製品と異なりますので、価格、機能、性能は当然異なります。

これらの違いをきちんと把握して、明確に顧客に説明できてこそ、今後の商売も継続できるわけです。

また、お客がその違いをきちんと理解し、納得してもらうためには、代替製品のカタログの中に、今までの自社製品との違いを説明し、且つ、代替製品の良さを明確に打ち出すことも必要です。

それから、代替製品の導入キャンペーン、例えば、新商品展覧会などのイベントを行って、今後代替製品を自社製品としてきちんと責任を持って売っていきますよという、打ち出しも行った方が良いと考えます。

今回の事例では、代替製品は最低限3年間は売り続けることにしてありますので、上述しましたように、アフターサービスも含めて、当社はこの新しい“自社製品”をきちんと売っていくことを顧客にアピールすることが何より必要です。

今回はここまでとします。

今回の記事について、ご関心或いはご質問がある方は、私まで下記アドレスにeメールにてご連絡下さい。

 bzsupmy@nna.so-net.ne.jp
(迷惑メール防止のために全角の@を使っていますが、メールを私宛に送られる場合は、半角の@を使用して下さい。ご不便をおかけしますが、ご理解願います。)

私は、すぐにはご回答出来ない場合もありますが、24時間以内にはご連絡します。

よろしく御願いします。

以上、


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